目次


中堅崩壊

ミドルマネジメント再生への提言


[目次] [著者紹介]


表紙




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プロローグ

ミドルマネジメント・エクセレンスを求めて
かつての「憧れの課長さん」はどこへ行ってしまったのか
バブル入社組に当たるミドル前期が本書の主役
意気揚々と入社したのに、彼らは数年で奈落の底に落とされた
教えられた経験のない者に、人を教えることはできるか
ミドル問題を解決するためには抜本的な構造改革が必要


第1章 長期不況がもたらしたミドル崩壊の実相


トップマネジメントが嘆く、ミドルの弱体化
彼らを多重責務者にしてしまったのは、いったい誰か
OJTの欠如、教える経験の乏しさが最大の問題
競争の仕方が変わったことを、まずは認識しよう
ポストモダンマーケティングに重要なコンテキスト
小括りの組織=コンセプトアウト型組織の必要性
ポストフラット化で表われ始めた小括りの組織論
イノベーションはキメ細かな顧客との対話からしか生まれない
プロフェッショナルは、塩漬けからは決して生まれない
人が育つための修羅場体験、そのための「企て」が少なすぎる
内発的動機づけを促す評価システムとはどのようなものか


第2章 バブルミドルの焦りと問題意識──ミドル&ジュニア一〇〇〇人アンケート調査結果


皆、将来に不安を感じている
プレーイングマネジャーこそが多重責務者だった
ミドル層のプレーヤーはすでにあきらめの境地か?
役職者は格差をポジティブにとらえている
何をもって「勝ち組」というかは立場によって異なる
多くのビジネスパーソンが十分に成長しているとは感じていない
特にジュニア層は教育機会の不足を嘆いている
OJTに必要なピグマリオン効果
ますます確信を得るプレーイングマネジャー主役説
ミドル期には多重責務感が強いが、総じて評価に不満はない
会社よりも仕事、仲間に対するロイヤリティが高い
「崩壊するのは従来の中間管理職」という概念と組織構造
ミドルの感情問題にもメスを入れてみた
感情パーセプションと各質問項目の関係を見てみると


第3章 丹羽宇一郎会長が考えるミドル問題の本質


ミドル層の力は決して落ちていない。構造が変化しただけだ
ミドル期には、一〇年をかけてグローバルに戦えるだけの理論武装をする
「認めて、任せて、褒める」で人は育つ
自分のために働け、そして引く手あまたの人間に成長しろ
リスクを取らない“くれない症候群”では、経営者も相手にはしない
三昧境、あるいはフロー体験が、DNAにランプをともす
経営とは人をマネージする、人を動かすことをいう
最も必要なのは自立心。自立する人間に人はついていくもの


第4章 ミドルマネジメント・エクセレンスに向けた先進事例


1 変化を常態とすることで、リーダーシップを育成する──シャープ株式会社
  成果主義がリーダーシップ研鑽の機会を減らした
  自ら管理職の道を選ぶチャレンジコースという実験
  準管理職とは、次期課長職候補を指す
  絶対評価を相対評価にする弊害をクリアするための諸策
  係長制度を復活し、「目配りの力」を養い始めた
  草の根のリーダーシップ向上作戦が企業文化を変える
  緊プロを可能にするシャープの組織文化の秘密
  試験的にではあるが、技術者の多能工化の推進も始めた
  成果主義と昇進を結びつけたチャレンジコースの効果
  従業員は常に変化を受容することを求められている

2 徹底した個の尊重が必然的にミドル層を成長させる──株式会社リクルート
  自ら機会をつくり出し、機会によって自らを変えよ
  「ぐるぐる図」で表されるミドルマネジメントの位置づけ
  半期ごとに検証するミッションのグレードで報酬が決まる
  個の尊重と自立心がリクルート成長の源泉
  「お前、どう思う?」「お前、どうしたい?」と問い続ける
  自らの動機を探し続けることがリーダーシップ発揮の原点

3 セッションCで、できる人材をストレッチさせ続ける──GE横河メディカルシステム株式会社
  リーダーのDNAを四つの要素で規定する
  セッションCを通して、常に優秀な人材をストレッチさせる
  チームワーク重視が、できるリーダーを産む秘訣
  ミドル層は支店長、営業所長、そしてグループ長
  GEでは、常に上を目指すしか生き残る道がない
  二対七対一の「七」からもコア人材を選抜し育成する
  ストレッチした目標だから、必然的に部下の育成が必要になる

4 スキルからマインドへ、経営者自らが挑むリーダー育成──伊藤忠商事株式会社
  シニアの抱く危機感をミドルやジュニアにも届けたい
  執行役員制度がシニアの立ち位置を変えてしまった
  若手登用が生む早送り人事には弊害もある
  経営トップは、ミドルそしてシニアに強く自立を求めた
  小リーダー、中リーダーを育てるための豊富な研修プログラム
  豊富な経験から得られた至言こそ、リーダーが語るべき言葉

5 フラット化組織を進化させたトヨタ流人材戦略──トヨタ自動車株式会社
  フラット化組織を支える三長体制の役割分担
  アメーバ組織と人材育成を主眼としたポストフラット化改革
  手を挙げて、自ら動く者を支持する。それがトヨタの文化
  連綿と続くアクションラーニングの連鎖が人材を育てる
  リーダーシップとマネジメントの違いは人間力に尽きる


第5章 創造するミドルのための新たなキーワード


ミドル層を変革主体にするために
イタリアの産業が持つ二つの大きな特徴
個人、家族、地域、そのために存在する手段としての企業
小規模な企業をつなぐプロジェティスタという存在
お金ではなくやりがいを求めてプロジェティスタになる
プロジェクト主体組織に企業を変えることを推奨したい
自分を律して、立つ。自立主体ということの意味
プレーイングマネジャーにプロジェティスタの萌芽を見た
プロジェティスタに必要なのは、知識よりもヒューマンスキル
全員がリーダーシップを発揮できなければ戦いには勝てない
イノベーティブであることが、リーダーの絶対条件
トヨタのように、マネジャーの役割を分断するという方法もある
若いうちからリーダーを育てるには、“サル山”が効果的
無任所のプロフェッショナルが社内プロジェクトを請け負う
管理・監督が好きですか? それとも改革が好きですか?
プロジェティスタと組織長の二階層人事モデル
スリーエムに見る、ダブルレイヤーを支える組織構造
ゴア社に見る、「仕事は自分が作り出すもの」という文化
プロジェティスタを援護するプロジェクトオフィスの存在
プロジェティスタはプロセス評価で、主観評価が基本
プロジェティスタを評価する七つの要件
社内プロジェティスタから「プロジェティスタ」へ


第6章 ミドルマネジメントに必要なコンピテンシーを探る


1 現実主義という名の理想主義を実践する 民長憲生統括部長(新IT戦略推進本部兼官公営業本部)──日本電気株式会社(NEC)
  現場が必要な組織をつくり、猛者を育てる
  ビジネスの環境変化に相応するための駆け込み寺
  e-Japan構想が、そもそもの始まりだった
  自分がおもしろいことをやり続けたいだけ
  人材公募で、人間力を持った人間を集めるのが一番
  高邁な志をブレークダウンして示すことができる現実主義者
  猛者を育てるための「なんとかしてやろう人材の育成」
  いつまでも先頭を走る、プレーイングマネジャーでありたい

2 場づくりの名手が、組織の危機を救った 須賀 亨グループリーダー(画像生産事業本部 生産統括センター 電子部品技術統括室 企画管理グループ)──株式会社リコー
  部門長の死、組織の危機に際して踏みとどまった男
  コミュニケーション、関係性の再構築を優先
  全体の工数が減るのなら、我々の工数は増えてもいい
  世話人という立場を選んだ須賀氏のリーダー像
  不退転の決意を持って、メンバーの思いをすり合わせていく

3 ヒューマンスキルでSEを束ねる独裁者? 薮田裕子統括部長(ICTマネジメントサービス事業部ICTマネジメントサービス)──ユニアデックス株式会社
  「人をいかに束ねることができるか」。それだけを追い求めてきた
  「任せることと、任せっきりは違う」ということを学んだ瞬間
  場に合った目的を掲げ、柔軟に組織を束ねてしまう
  一にも二にも、コミュニケーションが大事
  若いうちは学ぶ姿勢、ベテランになれば聞く姿勢が問われる
  人間が好きだから、自然と気配りもできる

4 社内の立場を冷静に判断して、自ら辺境に打って出る 高野誠司代表取締役社長──NRIサイバーパテント株式会社
  望まない異動を機に、社内ベンチャー制度に応募する
  紆余曲折の末の成功。企画書に基づくプロジェクトがスタートした
  劣等感に駆り立てられて、辺境に身を置こうと思った
  利用するが決して呑み込まれない、適度な距離感を保つ
  四〇歳で老け込むのは嫌だ。先が見えないから楽しい

5 文化を意識しないミドルは、ただの会社人間になってしまう 白鳥陽裕代表取締役社長──NRIウェブランディア株式会社
  野村證券の企業文化を変えるための新ビジネスに携わった
  人頼み、会社頼みはだめだ。自分でやるしかない
  辺境にあって、本業と顧客を結ぶハブになる
  失われた志をもう一度思い出し、作り出すのがミドルの仕事
  素直な気持ちでたくさんの人から学ぶことが大事

6 常識の呪縛、成功体験の罠をいかに振りほどけるか 楠 真執行役員(金融ITイノベーションセンター長兼証券システム事業本部副本部長)──株式会社野村総合研究所
  フロー体験の連続が、先見の明を生んだのかもしれない
  二階層下までうまく人を動かせて、初めて一人前


エピローグ


ミドルマネジメント・エクセレンスの先にあるもの
ブラジルの企業が発するメッセージ
サラリーマンを憧れの的にしたい
期待したい、経営トップの覚悟


ミドルアンケート調査Profile

謝辞



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著者紹介

野田 稔(のだ・みのる)
多摩大学経営情報学部 教授(2008年3月まで)
明治大学大学院グローバルビジネス研究科 教授(2008年4月より)
株式会社ジェイフィール 代表取締役 社長
株式会社リクルート ワークス研究所 特任研究顧問
1981年一橋大学商学部卒業後、株式会社野村総合研究所入社。83年設立メンバーの一人として同社経営コンサルティング部の創設に参加。人間の組織における行動を研究すべく、一橋大学大学院商学研究科に国内留学。野中郁次郎教授の下で学ぶ。87年同大学院修士課程修了、博士後期課程進学。NRI復帰後、同社における組織・人事コンサルティング領域の立ち上げに着手。92年経営戦略コンサルティング室長、経営コンサルティング一部長を最後に2001年3月末退社。多摩大学経営情報学部助教授就任。同時に株式会社リクルート フェロー(新規事業担当)(07年10月まで)。2007年11月、タレント事務所大手の株式会社アミューズの下で感情のマネジメントの専門会社、株式会社ジェイフィールを立ち上げ、代表取締役社長に就任。
著書に『企業危機の法則』(角川書店)、『会社の仕組み』(日本経済新聞社)、『コミットメントを引き出すマネジメント』(PHP研究所)、『やる気を引き出す成果主義 ムダに厳しい成果主義』(青春出版社)、『会社のしくみがわかる本』(日経ビジネス人文庫)、『組織論再入門』(ダイヤモンド社)、『燃え立つ組織』(ゴマブックス)など多数。また、テレビ・ラジオ出演多数。
 
ミドルマネジメント研究会
野田の呼びかけで集まった私的研究集団。わが国ミドルの再活性化を心から願い、多様な側面から解決策を探っている。メンバーは次のとおり。
野田稔(研究会代表、株式会社ジェイフィール)、赤城稔(研究会副代表、株式会社エフ)、平岡淳一郎(事務局長、株式会社ジェイフィール)、遠藤和人(伊藤忠人事サービス株式会社)、片岡裕司(株式会社ジェイフィール)、重光直之(株式会社ジェイフィール)、白石久喜(株式会社リクルート ワークス研究所)、高津尚志(株式会社リクルート ワークス研究所)、福岡賢祐(多摩大学)、松盛千佳(株式会社野村総合研究所)、山中健司(株式会社フルハウス)順不同。


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