目次


増税が日本を破壊する

本当は「財政危機ではない」これだけの理由


[目次] [著者紹介]


表紙




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はじめに
 日本は世界の笑いもの
 日本国民は騙されている
 魔女に呪文をかけられた日本
 本書で主張したいこと
 騙されないために
 本書の構成内容
 さあ国民のみなさん、罠から抜け出そう

序章 なぜ政府には大増税しか策がないのか

 問題点(1) 財政均衡至上主義に陥っている
 問題点(2) 日本の財政を「粗債務」だけで捉えている
 問題点(3) 大失敗した政策の反省がない
 問題点(4) 財政政策に経済活性化の要素を盛り込む考えに乏しい


第1章 日本は財政危機ではない

1 純債務でみれば日本の財政は健全

 「粗債務」でみた日本の財政
 「純債務」でみた日本の財政
 「粗債務」だけで財政危機と判断した橋本財政改革
 日本とアメリカの国債保有者比較

2 借金七九五兆円の嘘

 日本の粗債務と純債務

3 日本には巨額の対外債権がある

4 危機煽る財務省に騙されるな

 政府は債務超過ではない
 債務をかさ上げした内閣府

5 財政の日本型モデル

 米英は対外債務国、債務を増やしても景気対策を重視
 ドイツは日本とともに対外債権国、国内は低調で財政赤字が続く
 財政の「日本型モデル」
 日本は財政赤字を必要とする経済体質

6 日本は投資不足

 ドーマーの定理

7 国債格下げの理由

 デフレによる名目GDPの低迷が原因
 小泉内閣のデフレスパイラル緊縮予算が格下げの原因
 S&Pは純債務、MDは粗債務で格付けをする
 財務省は格下げに対して「純債務論」で反論

8 国会でも純債務論はたびたび出ている

 国会にみる純債務論
 衆参両院予算公聴会での私の説明
 純債務に対する財務大臣の見解
 新聞は本質的問題を正しく理解して記事にすべきである

9 国債の発行はまだ十分できる

 資産の流動化対策が必要
 財政の罠からの脱出と財政規律


第2章 なぜ増税論が出てくるのか

1 デフレを起こした財政改革、国民に謝罪した橋本元首相

 ゴア副大統領が来日、緊縮財政への懸念を表明
 一九九七年の財政改革が長期デフレの原点
 金融恐慌と信用収縮を引き起こした財政デフレ
 金融恐慌が発生、信用収縮が拡大

2 財政再建凍結で税収増加

 成功だった一九九八〜二〇〇〇年の財政金融政策

3 構造改革が財政悪化を招いた

 小泉構造改革がなければ、税収は六〇兆円に達していた
 公共投資削減で税収激減
 税収が激減したのはなぜか
 デフレのもとでは「実質」成長は幻想にすぎない
 デフレが国民生活を崩壊させている
 貧富の差が拡大、家計の二四%が預貯金ゼロ、失業率の実態は一〇%
 雇用機会を潰す金融庁行政
 自殺者数最悪、社会不安の増加、凶悪犯罪の多発もデフレが原因
 景気のいい話は一部の大企業だけ、偏向する新聞情報

4 虚妄の構造改革の落とし穴

 アメリカ大恐慌と日本の昭和恐慌の教訓
 アメリカ大恐慌の推移——均衡財政が経済を破壊した
 ルーズベルト大統領は財政支出の増大で危機を救った
 財政支出の効果に消極的な見解は大きな誤り
 日本の大恐慌の推移——緊縮財政が日本国家を破滅させた
 デフレ政策を積極的に支援した新聞論調
 高橋是清蔵相は財政支出の拡大で危機を救った
 財政支出を増やせば債務負担は減少する
 財政規律のあり方
 大恐慌と同じ落とし穴に落ち込んだ現在の日本

5 大前提から「虚構」だった構造改革

 (1)「公共投資はGDPの増加に寄与していない」
 (2)「銀行に不良債権があるから貸し出しが伸びず、デフレが長引いている。だから、不良債権処理を加速すべきだ」
 (3)「需要不足経済なのに供給過剰と断定して、供給サイドを削減する政策を進めてきた」
 (4)「主要先進国の水準も参考としつつ、公共投資の対GDP比率を中期的に引き下げていく必要がある」

6 グローバリズムの罠にはまった日本

 グローバリズムは冷戦終了後のアメリカの世界戦略
 アメリカの対日要望書
 日本はグローバリズムに対する対策と戦略がない
 自己資本比率規制(BIS規制)
 ペイオフ完全実施が金融システムを不安定にした
 時価会計と減損会計が日本を破壊していく
 日本だけが導入した時価会計——デフレ下での導入、世界の笑いもの
 減損会計は企業を破壊し、税収を激減させる
 大手新聞が時価会計と減損会計のキャンペーンを実施

7 間違った財政健全化の思考

 誤解(1) 「政府の債務」は全額返済すべきである
 誤解(2) 日本は「小さい政府」を目指す。だから財政支出も削減すべきだ
 誤解(3) 赤字国債を発行すれば、いずれ増税になる(増税しないと赤字国債を削減できない)
 誤解(4) 財政赤字の削減には、財政支出の削減と増税以外に道はない
 誤解(5)  国の財政赤字は家計の赤字と同じである。収入を上回る支出は削減すべきだ。国債残高を子供に引き継がせてはならない
 誤解(6) このままいけば日本はアルゼンチンのようになる
 誤解(7) これからは高齢化社会になる。だから国債の発行は抑えるべきである
 誤解(8) 新規国債の発行額を金額で「○○円まで」とすべきだ
 誤解(9) 粗債務だけの残高をみて、「日本の財政は破綻状態だ」

8 国を破綻させる識者の実態

 粗債務だけで日本財政をみる識者
 大増税を招く経済財政諮問会議の民間委員の見解


第3章 税収減少を招いた金融改革

 二〇〇〇年度で不良債権処理は終わっていた
 小泉デフレで不良債権が増加した
 日米首脳会談で不良債権処理の加速を公約

1 銀行と企業を破壊した金融再生プログラム

 大前提から間違いだった「金融再生プログラムの内容」

2 デフレのもとでDCFと減損会計はやってはいけない

 DCF方式による企業と銀行潰し
 減損会計による企業と銀行潰し
 金融庁の企業と銀行潰しのプロセス
 銀行と企業を破綻させる監査法人
 日本経済を萎縮させるから税収が減る
 金融改革プログラムは強度の金融引き締め政策
 UFJ銀行とダイエーは潰すべきではなかった

3 ペイオフ完全実施は金融システム破壊の起爆剤

 ペイオフ完全実施で貸し出し機能が弱体化した
 本来のペイオフ制度は貸し出し機能の保護も目的としている

4 日本はオーバーバンキング(銀行過剰)ではない

 日本はショートバンキング
 国内で進む金融の寡占化と硬直化
 銀行の寡占化と硬直化にどう対処すべか(主要国のルール)
 オーバーバンキング論は誤り

5 金融庁行政には全面的な方針転換が必要だ

 強まる銀行利用者の不安感
 国民に安心感を与えよ
 国内基準行の自己資本比率規制を撤廃し、早期是正措置を復活させるべきだ
 大手行の株式保有に対する外資規制を導入すべきである
 金融庁の責務
 金融庁を廃止せよ


第4章 増税が国を滅ぼす

1 大増税はどうして出てくるのか

 基礎的財政収支の赤字二〇兆円の穴埋め
 構造改革路線から増税路線に転換
 義務教育費から生活苦の母子家庭の援助まで削減
 日本は一定の財政赤字を必要としている(財政の日本型モデル)
 妥当な財政赤字は一七・二兆円か
 公共投資が名目GDP成長を支えている
 新規国債発行額の推移と内訳——赤字国債を増やした小泉内閣
 日本国民の租税負担は高いのか低いのか
 税収の推移——落ち込みの激しい法人税
 法人税の国際比較
 大増税を主張する識者

2 増税になるとどうなるか

 増税はすでに始まっている
 サラリーマン大増税計画

3 再び経済失速への道

 デフレ時の緊縮財政と増税は経済を破綻させる
 一九九七年度の増税よりはるかに大きい国民負担
 経済情勢を考えない目標は設定すべきではない
 財政の理念は「量出制入」(支出を量って入りを制す)
 橋本財政改革と同じ発想は危険

4 増税は財政再建にならない

 内閣府モデルによるシミュレーション
 所得税を増税すると
 公共投資を削減すると
 税収二〇兆円はどうやって徴収するのか
 PBをゼロにしても財政は改善しない
 政府の増税案は増税効果が薄い

5 増税が日本を滅ぼす

 日本は政策危機である
 増税が日本を滅ぼすプロセス
 増税破綻を防ぐにはどうすればよいか


第5章 今、必要なのは減税政策

1 どうすれば債務は減るのか——アメリカの良さに学べ

 債務残高はいくら多くてもよい
 名目GDP成長率が純債務増加率を上回ればよい
 アメリカの良いところに学べ
 景気と成長重視の財政政策が債務を減少させる

2 常に拡大路線が状況を打開する

 「投資項目」に財政支出を集中
 義務的経費には上限を設定
 景気回復と拡大路線が財政赤字を削減

3 進む産業空洞化を阻止せよ

 減少する若年層の雇用機会
 三重県「クリスタルバレー構想」と亀山市「産業振興奨励金」
 「投資減税」による「内需拡大策」が空洞化を阻止する

4 自分のために自分のおカネを使え

 われわれのおカネはどこにあるのか
 自分のカネをどうやって使うのか

5 日本再興投資資金枠で経済は活性化する——税収倍増・赤字国債解消

 高齢化が進む今こそ投資を増進すべきだ
 日本再興投資資金枠一〇〇兆円の設定
 日本再興投資資金枠の具体的内容
 日本再興投資資金一〇〇兆円の効果
 投資減税の効果は大きい——経済産業省モデル
 投資減税五〇兆円の効果
 開発投資の効果
 赤字国債の新規発行解消
 投資以外の財政支出の削減

6 国債価格は暴落しない

 外貨準備は日本銀行の資金で購入
 国債安定化政策の確立が必要
 銀行の自己資本比率に与える影響
 大恐慌のアメリカの国債管理政策

7 金融の国際ルールは捨てよ

 (1) ペイオフ制度の適用を停止する
 (2) 時価会計と減損会計は日本では適用しない
 (3) 自己資本比率規制は国内基準行には適用しない

8 日本の伝統をベースにした改革が繁栄をもたらす

 雇用の安定と生活保障の意義こそ日本の誇るべき伝統だ
 日本の土壌に合わないものは取り入れるな
 若者に夢を与えよ、すべては安定した雇用からだ
 家庭の崩壊が社会を混乱させ、人間尊重の精神を喪失させている
 配偶者・扶養控除の増加と少子化対策費の増加が必要
 外資による大手銀行・大手企業の買収を禁止すべきだ
 アメリカの要求に対してどのように対処すべきか
 日本は間接金融中心の国である
 内需拡大こそ日本が生き延びる道だ
 世界から尊敬される国民になろう

おわりに

参考文献



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著者紹介

菊池英博(きくち・ひでひろ)
1936年生まれ。1959年、東京大学教養学部卒業(国際関係論・国際金融論専攻)。旧東京銀行(現東京三菱銀行)へ入行。本部・内外営業部店にて国際投融資の企画と推進、銀行経営に従事。ニューヨーク支店為替課、ミラノ支店長、豪州東京銀行取締役頭取などを歴任。American Biographical Institute“1990 Man of The Year”賞受賞。1995年から文京女子大学(現文京学院大学)経営学部教授。専攻は金融論、国際金融、日本経済。2001年2、3月衆参両院予算委員会公聴会、2002年2月衆議院予算委員会公聴会に公述人として出席。金融財政政策に関して所見を開示。著書に『銀行ビッグバン』『銀行の破綻と競争の経済学』(いずれも東洋経済新報社)などがある。


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