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ゴリラ 雑学ノート

「森の巨人」の知られざる素顔


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表紙




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 1 言葉を覚えたゴリラ「ココ」
   
ココとの会話
   子供を救ったゴリラ「ビンティ」
   ゴリラの思いやり

 2 マウンテンゴリラとローランドゴリラ
   
3種類のゴリラ
   ゴリラのふるさと

 3 ゴリラはこんなふうに暮らしている
   
「森の隠者」は、なわばりをつくらない
   満員電車の他人の関係
   「白い背中」がもつ魔法の力

 4 なぜ、ゴリラの脚はあんなに短いのか
   
上半身動物のゴリラ
   ゴリラの身長と体重は
   ゴリラの手は柔らかい
   ゴリラも声変わりをする
   ゴリラの血液型
   ゴリラには尻尾がない
   ゴリラは泳げるのか
   プロはどうやってゴリラを見分けているか

 5 ゴリラは一日に何をどのくらい食べるのか
   
ゴリラの好物教えます
   大ざっぱだけれど、細心なゴリラの食べ方
   ゴリラの摂取カロリー
   ゴリラはなぜ太鼓腹なのか
   フンから何がわかるのか
   [コラム]フンの分析法
   ゴリラは食べて森をつくる
   [コラム]動物園のゴリラは何を食べているのか──黒鳥英俊

 6 ゴリラの一生
   
小さく生まれて大きく育つ
   思春期とメスの去就
   厳しいリーダーへの道
   ゴリラの寿命

 7 ゴリラの病気
   
最も多いのは風邪
   漢方を用いるゴリラ

 8 ゴリラの恋のテクニック
   
ゴリラのオスはフェミニスト
   ゴリラのホモセクシュアル
   遊びが「性」をつくる 

9 ドラミングは、どんな時、何のためにするのか
   
一人芝居のドラミング
   「森のドラマー」の性格
   笑うゴリラ

10 ゴリラはキングコングではない
   
キングコング物語
   ゴリラ狩りの歴史
   ゴリラにつた人々

11 ゴリラと友達になる方法
   
野生のゴリラに会いに行くために
   これがゴリラの正しい観察法だ
   [コラム]野生のゴリラを見るための留意点
   [コラム]ゴリラと仲良くなる方法<動物園ビギナー編>──阿部知暁

12 野生のゴリラと会える場所
   
ブウィンディ国立公園(ウガンダ共和国)
   ムガヒンガ国立公園(ウガンダ共和国)
   火山国立公園(ルワンダ共和国)
   ヴィルンガ国立公園(コンゴ民主共和国)
   カフジ・ビエガ国立公園(コンゴ民主共和国)
   [コラム]ズーストック計画と「ゴリラのすむ森」──黒鳥英俊
   [コラム]ゴリラ・ウォッチャー阿部知暁おすすめ「世界の動物園」

13 ゴリラを絶滅の危機から救え
   
なぜ、ゴリラを保護するのか
   ゴリラの保護のために活動しているNGO

14 鼎談「ゴリラを語ろう」山極寿一/黒鳥英俊/阿部知暁



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解 説

ゴリラは、キングコングではない!
頑固親父のツラ魂。そのくせ、どこかユーモラス。ドラミングの秘
密から恋のテクニックまで、心優しい「ゴリラの実像」に迫る。

 ゴリラは 100年以上もの間、大きな誤解のもとに不当な扱いを受けてきました。人間に似て人間にあらざる密林の悪魔。これが発見当初、ゴリラに与えられたイメージであり、それはつい最近まで人々のゴリラ観を支配していました。ゴリラは、決してキングコングではないのです。
 この十数年、ゴリラの野外調査が進展し、動物園でゴリラの行動がつぶさに観察されるようになって、この間違ったイメージは大幅に改められるようになってきました。ゴリラを好戦的に見せていたドラミングなどのディスプレイが、実は戦いを避けるための演技であること。凶暴と思われた巨大なオスゴリラが、実は子供たちの面倒をよく見る優しい父親であること。悪魔の子と恐れられたゴリラの子供たちが、実は遊び上手でひょうきんな性格をもっていること。こうした事実が明らかになって、ゴリラを見るまなざしも変わってきたのです。
 しかし、ゴリラへの誤解はまだ解けたわけではありません。ゴリラの平和な姿が一目に触れるようになると、今度は逆にゴリラを人間と同じように見なす考え方が横行しはじめたからです。これはゴリラに限ったことではありません。私たちは身近な動物の行動をつい「人間的」に読んでしまう。人間と似たようなしぐさを見て、人間と同じように考えていると思ってしまう。それがゴリラのように姿かたちが人間に似ている場合には著しいのてす。だが、ゴリラにはゴリラ独特のしぐさがあり、一見人間と同じように見える表情や行動でもその意味が異なっている場合があります。そして、その背後には人間とは違う心の世界が広がっているのです。
 そういったさまざまな誤解を解き、読者に真の「ゴリラの世界」を知っていただきたいという意図から企画したのが本書です。そのため、信頼できる最新のゴリラの情報を集め、それをなるべく正確にわかりやすく描写しました。本書からぜひ、私たち人間とよく似たゴリラだけでなく、人間とは微妙に異なるゴリラの姿や、しぐさを読みとっていただきたいと思います。

動物園のゴリラに会いに行くのがますます楽しみに!
 本書には野生のゴリラだけでなく、動物園のゴリラも数多く登場します。おそらく本書を読んだ人々がまず起こす行動は、動物園に行ってゴリラを見ることだろうと考えたからです。そこで、上野動物園で長年ゴリラの飼育を担当してきた黒鳥英俊さんに、動物園のゴリラの生活や食事などの情報をおもしろいエピソードをまじえて書いていただきましたた。ちなみに1日1頭あたりオスで約5000キロカロリー、メスで約3000キロカロリーの餌を食べ、その餌代は2,264円。パンダや象の餌代の5分の1だそうです。
 また、ゴリラ大好き人間を自称し、世界中の動物園をめぐり歩いてゴリラ・ウォッチングを続けている阿部知暁(ちさと)さんには、「動物園でゴリラと仲良くなる方法<ビギナー編>」「ゴリラ・ウォッチャー阿部知暁おすすめ世界の動物園」についてコラムを書いていただきました。動物園のゴリラに会いに行くのがますます楽しみになります。


「ゴリラしか描かない画家」阿部知暁さん。
 阿部知暁さんは「ゴリラしか描かない画家」として知られていて、はるかアフリカの国立公園まで出かけてゴリラを描いています。本書には、いま日本にいるゴリラ39頭すべてをイラストと一口コメントで紹介する「日本のゴリラ紳士淑女録」をはじめ、随所に阿部さんの手によるゴリラが顔を出し、さまざまなしぐさで語りかけてくれます。

野生のゴリラに会ってみたいという、あなたに。
 動物園ではあきたらず、野生のゴリラに会いに行こうという人のためには、現在ゴリラに出会えるアフリカの国立公園とそこへのアプローチの仕方、ゴリラを見る際の注意事項を詳しく紹介。著者の山極寿一氏は、「人間を深く知るためには、その人間が育った土地を見ることが必要なように、ゴリラを知るためにはアフリカの熱帯雨林に足を踏み入れてみなければならない。日本の野山を歩くようなわけにはいかないし、注意を怠れば大ケガをする危険もある。しかし、ゴリラに惚れ込んだ人はぜひ一生の間に一度は野生のゴリラに会いに行ってほしい。貴重な時間とお金を費やして見に行くだけの価値は十分にある。それまでの人生観が大きく変わると私は思う」と語っています。

鼎談「ゴリラを語ろう」
 巻末に、鼎談「ゴリラを語ろう」を収録。「我こそは、ゴリラのことを世界で一番愛している」と自負している、著者、黒鳥さん、阿部さんによる鼎談。野生ゴリラの研究者、動物園の飼育担当、ゴリラ・ウォッチャーという立場からゴリラを論じます。いつの間にか、3人ともゴリラになりきって人間社会を見つめ直していました。
 さて、ゴリラの目には人間社会はどう映っているのでしょうか。



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著者紹介

山極寿一(やまぎわ・じゅいち)
1952年東京生まれ。カリソケ研究センター客員研究員、日本モンキーセンター研究員、京都大学霊長類研究所助手を経て、現在、京都大学理学部助教授。理学博士。1978年よりアフリカ各地でゴリラの野外研究を行う。
おもな著書に『ゴリラとヒトの間』(講談社現代新書)、『サルはなにを食べてヒトになったか』(女子栄養大学出版部)、『家族の起源』(東京大学出版会)、『父という余分なもの』(新書館)などがある。



 


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