ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年5月27日号

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週刊ダイヤモンド17年5月27日号

Special Feature 京・九段第3合同庁舎の13階──。ここに、東京労働局の精鋭部隊で編成される通称「東京かとく」が詰めている。 かとくとは、「過重労働撲滅特別対策班」のこと。悪質な長時間労働を取り締まる専任組織として、ちょうど2年前にできた。厚生労働省にある「本省かとく」が指令塔、東京労働局(東京かとく)と大阪労働局(大阪かとく)が手足となる実動部隊だ。 労働問題にはいろいろあるが、特に長時間労働問題は、企業経営者の意識の変革なくして解決はない。これまで、労基署は事業場単位で一件一件シラミつぶしに取り締まってきた。だが、かとくのターゲットは大企業の本社。企業単位で効率的に取り締まることができるようになった。 東京かとくは、女性社員の過労死を発端に始まった大手広告代理店、電通への強制捜査で、一躍脚光を浴びることになった。実際の捜査を主導したのが、ベテランの高橋和彦・特別司法監督官(労働基準監督官)である。 今、日本で一番有名な監督官と言ってもいいかもしれない。昨年11月、電通本社に〝ガサ入れ〟したときに、捜査チームの先陣を切って闊歩した。その映像が日本中に報道されたからだろう。「人事関係者に面が割れてしまった。私が抜き打ちで企業を訪れただけで、『次はウチの会社がかとくに狙われているのか』と余計な心配をされてしまう(高橋監督官)」という。 それぐらい、監督官の権限は極めて強い。ガサ入れもできれば、被疑者の逮捕・送検もできる司法警察官でもあるからだ。 だが、そうした見た目の華やかさとは打って変わって、監督官の仕事は地味そのものだ。 かとくの業務とて例外ではない。例えば、電通の捜査では、朝から晩まで「捜査部屋(このページの背景写真を参照)」にこもって、ひたすら電通の本社社員6000人の勤怠管理データを一件一件入力し、違反がないかどうか、丁寧に確認作業を行った。 電通の就業規則は、部局ごとに細かく規定されており、膨大な作業量になる。ガサ入れ時には、東京中の労働局から監督官をかき集めて40人まで増員したが、実際の地道な作業に関わったのはほんの数人だった。 地道な作業のかいあって、4月25日、法人としての電通と支社幹部ら3人が、労働基準法違反の疑いで書類送検された。Fusako Asashima電通の労働時間違法性の立証が難しい?基本 法定労働時間*?応用 労使間で合意した「36(サブロク)協定」?特例 例外的な特別条項1日8時間以内、かつ週40時間以内部門によって月最大70時間まで残業してOK業務の種類1日延長することができる時間1日に13.5時間働いてOK*所定労働時間とは異なる月の上限年の上限対外業務部門間接部門5.5時間5.5時間45時間50時間360時間360時間電通捜査を主導した高橋和彦・特別司法監督官(左)と樋口雄一・監督課長。このページの背景写真は、裏付け作業を行うために使用した捜査部屋週刊ダイヤモンド 2017/05/27 28Prologue   の次は? 電通労働基準監督署(労基署)のエースばかりを集めた通称「かとく」。大手企業の本社をターゲットに攻勢をかける「かとく」の快進撃に企業人事部は戦々恐々としている。労基署 精鋭 のターゲット部隊iStock/gettyimages、Ayako Suga 東