ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年5月27日号

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週刊ダイヤモンド17年5月27日号

特集 人事部vs労基署のエイチ・アイ・エス(HIS、本社は新宿区)である。 その事実について、「捜査をしているかどうかも含めて答えられない」(東京労働局)としているが、社員2人に対して月100時間を超える時間外労働をさせた労基法違反の疑いで書類送検する方針を固めているようだ。 ある厚労省関係者によれば、「電通事件のように、世論を気にして何としても挙げなければいけないケースとは違う。ありていに言えば、お分かりですよね?という事案」である。監督官による再三の勧告にもかかわらず、HISでは同様のことが繰り返されたようだ。 3月末に、格安旅行会社のてるみくらぶが破綻に追い込まれたように、旅行業界では薄利多売のビジネスモデルに限界が見えている。 事業場単位から企業単位へ。大企 そして──。電通捜査が一段落したことで、世間の関心は、かとく部隊が狙う「電通の次」に移っている。「お分かりですよね」と言われるほどの旅行会社の厚顔無恥 実は、現在、東京かとくが照準を定めているのは、大手旅行会社業本社めがけて一点突破で監督する体制は効果的で、すでに6社の書類送検に踏み切っている。 今後、厚労省は監督体制の効率化をさらに加速させる。昨年4月、労働局47局に「かとく監理官」を設置したのもそのためだ。 各労働局にいるかとく監理官がハブとなり、タテの連携(労基署から情報を吸い上げる)やヨコの連携(県境を越えて別の労働局と情報を共有する)を深めることで、全国展開する大企業の〝組織的犯行〟の芽を探そうとしているのだ。 任官25年目の吉村賢一・監督官は滋賀労働局のかとく監理官に任命された。「労基法32条の長時間労働の送検事案を多く手掛けており、経験値があった」(吉村監督官)ことが選ばれた理由のようだ。 もともと、滋賀県は製造業の工場が多く集積しており、規模の小さな局の割には複雑な労働問題を扱う局として知られる。 2007年に発生した居酒屋チェーンの過労死事件の記憶が、県全域の監督官の脳裏に焼き付いていることもあり、「滋賀県は監督官それぞれが、過重労働問題にアンテナを立てている地域」(同)なのだという。かとくによる指導・捜査の広域展開は、一層きめ細やかになるだろう。F.A.2017/5/27号_1特_人事部vs労基署P29オーバープリント済 御子柴肥大する「かとく」組織全国で目を光らせる「かとく監理官」指令塔厚労省16階「過重労働撲滅特別対策室(通称:本省かとく)」4月に「班」から「室」へ格上げ!東京かとく(東京労働局)8人体制大阪かとく(大阪労働局)7人体制エース労働基準監督官エース労働基準監督官全国47労働局に「かとく監理官」を配置全国47労働局下部に労基署321署および4支署企業の〝組織的犯行?に目を光らせる地方A局かとく監理官地方B局かとく監理官地方C局かとく監理官過労死 長時間労働 労災 長時間労働 過労死 労災ヨコの連携タテの連携「かとく」が書類送検した案件労基署の照準は「大手本社」時期社名送検の対象7月8月1月9月10月12月4月2015年15年16年16年16年16年17年エービーシー・マート(靴販売チェーン)フジオフードシステム(外食チェーン)ドン・キホーテ(ディスカウントストア)サトレストランシステムズ(外食チェーン)コノミヤ(スーパーマーケット)電通電通法人と人事担当役員・店長ら3人法人と店長ら16人法人と役員・店舗責任者ら8人法人と部長・店長ら5人法人と専務・本部長の2人法人と幹部1人法人と支社幹部ら3人29 週刊ダイヤモンド 2017/05/27滋賀労働局の「かとく監理官」に任命された吉村監督官。長時間労働事案を多く担当するベテランだ