ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年7月15日号

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週刊ダイヤモンド17年7月15日号

Special Feature高いからというよりも、中国の中心、北京から遠く隔たった辺境の地だからだ。 厳しいのは地理的環境だけではない。何せ中国国内ではチベット自治区と並びセンシティブな地域として知られる、新疆ウイグル自治区である。街中に重武装の公安が溢れているのだ。 手荷物検査の頻度は半端ではない。空港、鉄道の駅はもちろん、ホテル、市場の入り口など至る所に荷物検査のゲートがある。 しかも、日本人がよほど珍しいらしく、公安から不審人物と見られてしまい、カメラやスマートフォンに保存した写真を無遠慮にチェックされる始末。よほど不都合なものが写っていたのか、パトカーで警察署に連行され、尋問されたときには背筋に冷たいものが走った。 こういうわけで、雄大な景色に囲まれているのに、息が詰まることこの上ない。 だが、こんな不自由な社会にもかかわらず、阿拉山口は、習近平国家主席が提唱する「一帯一路」構想を象徴する街として、急速に発展を遂げている(左ページグラフ参照)。 しかも、2017年に入って成長は急加速。現地報道によれば、第1四半期のGDPは前年同期比54・3%増。固定資産投資は倍増したという。 起爆剤になっているのが、貨物の積み替えに加えて、加工・製造や販売まで行う総合保税区の建設である。 界で最も内陸にある都市といわれる新疆ウイグル自治区の烏ウ魯ル木ム斉チから飛行機に乗り、さらに内陸へ400㌔行くと、カザフスタンとの国境の街、阿ア拉ラ山シヤン口コウに着く。 阿拉山口の〝山口〟とは山脈の中で標高が比較的低い場所を意味する。中国から欧州に向けて走る大陸横断鉄道がカザフスタンへ抜けられる唯一の国境が阿拉山口にあり、中国?欧州間でやりとりされる貨物の5~6割が通る最重要拠点である(左ページ図参照)。 街は、黄土色の山々に囲まれている。風の通り道になっているのか、終日乾いた風が吹き付ける。午後10時を過ぎても日が沈まず、調子が狂ってしまうのは、緯度が世1Part中国の西の果てに「一帯一路」に沸き立つ街がある。欧州への鉄道輸送の重要拠点として急成長しているのだ。だが、一帯一路の"現場"に日本の存在感は乏しかった。日系企業は取り残されてしまうのか。週刊ダイヤモンド 2017/07/15 28ひときわ立派な保税区の事務所棟。まだ進出企業の事業が本格化していないからか、人通りはまばらだ保税区を建設するワーカーはトラックやワンボックスカーにすし詰めにされ、出勤するiStock/gettyimagesこれぞ中華思想の極み!「一帯一路」の現場