ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年7月29日号

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週刊ダイヤモンド17年7月29日号

特集六大企業閥の因縁 第一に、どの企業集団でも幹事を務めてきた大手都市銀行が再編で三つに集約され、その際に多くが幹事を降りてしまったことです。これにより企業集団の求心力は一気に低下してしまいました。 またコーポレートガバナンス(企業統治)改革の流れで、企業集団の結束の手段であった株式持ち合いの解消が進められてきたことも大きな要因でした。 経営史学会会長で、東京理科大学大学院の橘川武郎教授は「経済のグローバル化も衰退に拍車を掛けた」と解説しています。 企業集団に属するメリットが感じられなくなってきたこともあるでしょう。Q4で解説したメリットは、日本経済の成長が止まり、ものが溢れる時代になったことで、一気に色あせてしまいました。約され、企業側も系列を超えて銀行と取引をすることは当たり前になっています。「株式の相互持ち合い」も解消が進んでいます。 今では、残りの二つが実質的な企業集団の条件だといえます。 バブル崩壊までは、企業集団には事業に直接的なメリットがあったといえるでしょう。 企業集団の研究者である京都大学大学院経済学研究科の田中彰准教授は「高度成長期の銀行、商社の成長戦略にとっては国内有力企業を囲い込むことが大事でした。他の事業会社にとっても銀行、商社のサービスを継続的に享受できるのがメリットでした」と分析しています。 しかし現在は、銀行や商社の戦略も変わり、囲い込みも重視されなくなりました。 今の最大のメリットは情報交換、人脈構築といった無形のものとなっているようです。中には「社外取締役の報酬相場を決めるのに役立つ」といった声もあります。 要因は幾つか考えられます。企業集団に属すると、メリットがあるの?Q4企業集団はどうして衰退したの?Q5 かつて条件は六つある(左図参照)といわれていましたが、経済状況の変化で、うち四つはあまり意味を持たなくなっています。「総合商社による集団内取引」は、そもそも商社が事業のモデルや領域を広げており、集団内の企業同士の取引をそれほど重視しなくなっています。また「共同投資会社による新規事業進出」も、企業集団内で、共同で投資会社を設立するまでもなく、自ら投資していく企業が多くなっています。 「都市銀行による系列融資」については、まだ残ってはいるものの都市銀行は再編によって三つに集企業集団の条件は? Q3集に動きます。ただし、戦前の財閥家族のような絶対的な支配者の下に結束するのではなく、傘下企業が相互に株式を持ち合う形で結束していきました。これが後の企業集団に発展していきます。?社長会の結成?株式の相互持ち合い?都市銀行による系列融資?総合商社による集団内取引?包括的な産業体系?共同投資会社による新規事業進出? ? ? ?の重要度は減少2017/2/29号_1特_六大企業閥P31-Q2オーバープリント済 御子柴財閥家族財閥本社(持ち株会社)三井三菱住友株株事業会社C事業会社事業 C会社B事業会社事業 B会社A事業会社AGHQ占領時代(財閥解体期)戦後(企業集団組成期)戦前(財閥全盛期)株放出株持ち合い株持ち合い株持ち合い商号使用禁止社長会発足支配支配31 週刊ダイヤモンド 2017/07/29みずほフィナンシャルグループ誕生は企業集団の地盤沈下のきっかけとなったJIJI