ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年11月18日号

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週刊ダイヤモンド17年11月18日号

特集 右派×左派かもしれない。 世の右傾化が指摘され、猫もしゃくしも保守を主張する時代にあって、鈴木は自民党内で強まる保守色に違和感を覚えたからこそ、立憲民主党の応援演説に立った。「自民党の保守派は普段、韓国を批判しているのに、『歌手でも俳優でも徴兵制があるからきちんとしている』と韓国の徴兵制は評価している。自由さをぎりぎり締め上げ、徴兵制を導入して軍備を増強する。それが愛国心?」 鈴木は今も愛国者を自任するが、右翼活動からは身を引いている。「実際に右翼運動を長年やってきて、私は日本で一番多くの愛国者に会ってきたけど、自称愛国者ばかり。(右翼が)暴走する危険性も分かったから」だという。 右派か左派か、愛国か反日か、両極端な二者択一を迫る風潮に、鈴木は「劣化」を感じている。安倍政権は左派取り込みのため労働者目線の政策 野党のみならず、与党自民党内にも左右のねじれが存在する。 保守政党である自民党が打ち出す左派的な経済政策のことだ。例えば、1970年代前半の田中角栄政権が典型だろう。「日本列島改造論」を掲げて首相となった田中は公共事業関係費を大幅に増やし、超大型予算を編成した。さらに73年を福祉元年と位置付け、社会保障の拡充にかじを切ったのだ。まるで社会党のような経済政策といえた。 慶應義塾大学経済学部の土居丈朗教授は、「伝統的な保守層ばかりに焦点を当て、社会党、共産党支持層を軽視していては与党から転落するとの危機感から、自民党が左派政党の政策を取り込んでいった」と指摘する。 中曽根、小泉政権期などは財政再建や構造改革が重視され、右旋回した時代だった。一方、憲法問題や安全保障で極めて右派色の強い安倍政権は経済政策で左旋回。介護士・保育士の賃金引き上げや長時間労働の是正など、労働者目線の政策を多数打ち出し、左に大きくウイングを広げている。 かようにねじれた右と左。すでに壊れた冷戦構造の残滓であるイデオロギーから現代を読み解くことを無意味と断じる向きもあるが、そうとも限らない。ねじれがあるところにこそ社会の矛盾が凝縮されるからだ。本特集では右派と左派の視点から日本社会の矛盾や闇に切り込んでいく。 (敬称略)31 週刊ダイヤモンド 2017/11/18Prologue右翼の元最高顧問が左翼政党を応援するニッポンのねじれ「寛容な改革保守」「誠実なリベラルの復活」「やさしい保守政治」──。10月の衆院選ほど、候補者が右派と左派のイデオロギー色を出した選挙は近年なかった。なぜそうした事態になったのか。