ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年1月13日号

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週刊ダイヤモンド18年1月13日号

特集 最強の食事術持するという回答(「支持する」「どちらかといえば支持する」)が半数を超えた。実践するエグゼクティブも多かった(上図参照)。 医学界の壁にぶつかった山田医師は、医学界の動きを待たずに社会から先に変えようと、食に関わる企業などとの連携を深めている。また、19年版の診療ガイドラインに間に合うよう、新たな研究にも取り掛かった。 糖質制限が世界に広がるきっかけとなった一つは、10年前に効果を科学的に明らかにした「DIRECT」試験である(上図参照)。 この試験結果についてカロリー制限支持派は、糖質制限群はカロリー制限をしない設計なのに、結果的に摂取カロリー量が減っていると指摘。体重減少はカロリーが減ったからではないかと反撃する。「糖質制限がうまくいっている人は、糖質を制限することがカロリー制限になっていて、糖質を減らした分だけ痩せるんだろう」と、結核予防会の宮崎滋理事(総合健診推進センター所長)。「でも糖質制限をすると脂質が増えて心臓病が増える。糖質制限や脂質制限ははやり廃りがあって、ブームが繰り返されているだけ」という。 何が最強の食事術なのか。科学とデータで迫っていく。出所:N Engl J Med.2008;359:229-41.0(kg)▲2▲1▲3▲4▲6▲7▲5▲802カ月後4カ月後6カ月後8カ月後10カ月後12カ月後14カ月後16カ月後18カ月後20カ月後22カ月後24カ月後体重の変化変化カロリーを制限した地中海食糖質制限食カロリーを制限した脂質制限食出所:N Engl J Med.2008;359:229-41.中性脂肪値の変化変化カロリーを制限した地中海食カロリーを制限した脂質制限食糖質制限食中性脂肪値が減少高いのは悪玉でなく善玉▲11.7▲2.8▲23.0▲21.8▲40.0▲23.706カ月24カ月20 (㎎/?)0▲20▲40▲60出所:N Engl J Med.2008;359:229-41.変化善玉コレステロールの変化カロリーを制限した地中海食カロリーを制限した脂質制限食糖質制限食1.76.42.04.8 6.38.406カ月24カ月10(㎎/?)86420糖質制限は体重減少に効果DIRECT試験の概要と結果最強の  山田 悟●北里大学北里研究所病院糖尿病センター長牧田善二●AGE牧田クリニック院長糖質制限派カロリー制限派宇都宮一典●日本糖尿病学会理事(東京慈恵会医科大学教授)宮崎 滋●結核予防会理事・総合健診推進センター所長2008年に発表された「DIRECT」試験は、イスラエルで中程度の肥満者約300人を対象に、カロリーを制限した脂質制限食群、オリーブオイルなどで脂質を摂取しながらカロリー制限をする地中海食群、カロリーを制限しない糖質制限食群の3群で体重減少効果を比較した。2年後の体重を見ると、糖質制限食群の減量効果が高かった。結果コレステロールの値は、糖質制限が最も優れていた。 「糖質制限をすると肉や脂質の摂取が増え、コレステロール値が高くなる。それが心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める」と言う人がよくいるが、この試験を見ればそれは大うそだといえる。栄養学の王道とされてきたカロリー制限と脂質制限を合わせた食事法よりも、糖質制限の方が圧倒的に体重減量効果が高かった。糖質制限食群は、短期的には体重減少量が大きいが、2年たつと(地中海食群と)ほとんど変わらない。高脂肪食による心血管発症リスクを冒してまで急激に体重を減らす必要があったのだろうか。糖質制限食群はカロリー摂取が自由なのに、結果的にカロリーが減っていた。このため減量効果が糖質制限によるものか、カロリー制限によるものかは分からない。Prologue29 週刊ダイヤモンド 2018/01/13 新春号