ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年2月10日号

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週刊ダイヤモンド18年2月10日号

Special Featureに人間の仕事が奪われるとあおり立てる。 革命の先にある世界は天国か地獄か──。 一つ、言えることがある。あらがいようのないこの激流に対応できるか否かで、個人間そして企業間のそれぞれで「AI格差」が明確になるということだ。 実はAI革命には産業革命よりも恐ろしい側面がある。歴史をひもときながら個人の格差について解説していこう。 まずは左ページ図を見てもらいたい。これは「クズネッツの逆U字カーブ」と称され、資本主義経済の発展で格差は拡大するが、ある時期から格差は縮小し、不平等が是正されるという説をグラフ化したものだ。 実際、産業革命ではイノベーションで生まれた富が資本家らに集中し、格差が拡大した。 BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏によれば、「英国でこの逆U字カーブの上昇(格差拡大)が止まったのは1860?70年代。『ルイスの転換点』を迎えてからだった」という。 ルイスの転換点とは、工業化の進展で農村から都市への低賃金な農民の移転が進んだ結果、農村の余剰労働力が底を突くことを指す。この人手不足によって労働者の賃金が大幅に上昇し、産業革命の恩恵が広く行き渡るようになったとされる。 さらに大恐慌後の1930年代以降、累進的な税制や社会保障制度が整備されたこともあって、格差は縮小していくことになる。人が要らなくなるAI革命において格差拡大は続く 戦後、一貫して低下していた「逆U字カーブ」が80年代以降、再び上昇(格差拡大)に転じた。それを指摘したのが、フランスの経済学者、トマ・ピケティ教授だった。 ではAI革命は拡大し続ける格差を是正できるのか。答えはノーだ。むしろ格差を助長しているとさえいえる。 河野氏は「今回の革命では労働が不要になるから、困難な時代が長引く可能性がある。現在の米国で機械に仕事を奪われた低スキル労働者を吸収するのは、ウーバーイーツのような仕事ばかりであって、経済格差の拡大が止まるきっかけがなかなか見えない」との懸念を示す。 一方で、AI革命による付加価 界で今、AI(人工知能)による革命が起ころうとしている。AIがあらゆる産業で激烈な生産性の向上を実現し、18世紀後半に始まった産業革命を超えるインパクトを経済に与えるといわれているのだ。 AIでビジネスをしようとする者は、ばら色の未来を語りたがり、メディアはAIを組み込んだ機械世50兆円の押し上げ効果出所:三菱総合研究所実質GDPの予測600(兆円)5804805005205405602005年10 15 20 25 30AI革命ありAI革命なしAIを取り込めるかで企業間に大きな格差企業格差AIによる産業別企業収益へのインパクト労働集約型が大幅増収*AIを加味しないシナリオからのGVA(粗付加価値)の増加率出所:アクセンチュアおよびフロンティアエコノミクス教育卸売り・小売り製造84% 59% 39%週刊ダイヤモンド 2018/02/10 30個人も企業も逃れられない二つのAI格差Prologue