ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年2月10日号

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週刊ダイヤモンド18年2月10日号

特集 AI格差値は「高スキルの技術者、資本やアイデアの出し手が持っていき、平均的な会社員の取り分が増えない」(河野氏)。 つまり、AI革命は人が不要になる革命であるが故に賃金が上昇せず、その結果、格差が拡大し続けるリスクが高いというわけだ。 人手不足による賃金上昇で格差拡大が止まった産業革命。格差が拡大し続けるという点では、AI革命はその産業革命より恐ろしいといえる。 だからといって、AIがけしからんと言っても始まらない。AIが進化の歩みを止めることはなく、むしろAI時代を生き抜く知恵を身に付けることが重要だ。AIは遠い世界の話ではなく、あなたの身近にある絶対に知っておくべき教養になったのだ。AI革命でGDPが50兆円増加労働集約型は大幅増 AI革命は個人のみならず、企業にも格差をもたらす。 三菱総合研究所はAIで生産性を向上させた場合、2030年の日本の実質GDP(国内総生産)は595兆円となり、活用できないシナリオと比べて50兆円も上積みされると試算した。いち早くAIを導入し、活用できた企業がその果実を得られるのだ。 世界的にも、AIの導入を急速に進めて生産性を向上させた企業が評価を高めている。 特に、日本は就業者1人当たりの労働生産性がOECD加盟国中21位。主要7カ国では最低と生産性の改善余地が大きく、革命の恩恵を受けやすい。右ページ左図はAIが企業収益に与えるインパクトを業種別に示したグラフだ。「教育、卸売り・小売りなど労働集約型の業界で特に大幅な増収が期待できる」(アクセンチュアの保科学世マネジング・ディレクター)。 勘違いしてはいけないのが、AIを導入しさえすれば効果が出るわけではないということ。AIは膨大なデータを解析して、先入観や偏見、感情に左右されることなく、人間が予想だにしない法則を導き出す。その大半は地味なトライ&エラーの繰り返しであり、その積み重ねが他社との差を生む。 AIの導入に二の足を踏んでいた企業がいつの間にか競争力を失い、淘汰の憂き目に遭うかもしれないのだ。 AI格差時代の到来に、個人と企業はどう対処すべきなのか、本特集でその処方箋をお届けする。Q Qクズネッツの逆U字カーブ経済成長現在ポスト工業時代のスタート(1980年代)戦間期の社会保障制度の導入(1930年代)ルイスの転換点(1870年代)ナポレオン戦争(1815年)経済格差産業革命より怖いAI革命の格差拡大出所:○○○○○○2018-02/10号 Danita Delimont/gettyimages Prasit photo/gettyimages産業革命期、富は資本家らに集中し、格差は拡大していくが、「ルイスの転換点」に達して労働者の賃金が上昇。さらに大恐慌を経て社会保障が拡充され、格差は縮小再び格差拡大期に突入。産業革命とは異なり、AI革命は人が要らなくなる革命のため、「ルイスの転換点」は訪れず、格差が拡大し続けるリスクが指摘されているクズネッツの逆U字仮説とは?資本主義経済の発展は格差の拡大を招くが、格差はいずれ縮小し、不平等が是正されるという説ルイスの転換点とは?工業化で農村から都市へ余剰労働力の移転が進んだ結果、余剰労働力が底を突くこと個人格差出所:BNPパリバ証券31 週刊ダイヤモンド 2018/02/10