目次


ペルソナ戦略

マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする


[目次] [著者紹介]


表紙




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刊行に寄せて(1)
企業戦略の基本は市場適応、顧客・ユーザー適応である
同志社大学商学部教授 高井紳二


刊行に寄せて(2)

ユーザー中心デザインにおけるペルソナの位置づけ
東京芸術大学大学院映像研究科助教授 桐山孝司


監訳者まえがき

日本企業の顧客志向のビジネス創出にペルソナが貢献する日


プロローグ ペルソナ戦略の意義

——顧客志向の組織的製品開発プロセス
THE NEXT FRONTIER FOR USER-CENTERED DESIGN

1 製品開発のための創造的手法

 1 より効果的なユーザー描写のために
 2 想像力のプロフェッショナルになる
 3 人々のために製品を作るということ

2 ユーザーの理解

 1 「ユーザーを中心にすること」が難しい理由
 2 「ユーザー」という言葉は役に立たない
 3 ユーザーを理解するためにデータを収集する
 4 未加工のデータやレポートは実用に供さない
 5 ユーザー理解だけでは優れた設計はできない

3 ペルソナの必要性

 1 顧客志向デザインを支援する
 2 ユーザーに関する仮説と知識を明らかにする
 3 「全員」でなく特定のユーザーに焦点を当てる
 4 選択範囲を狭めることで、よい意思決定をサポートする
 5 ペルソナは設計チームと開発チームの間を結ぶ

4 ペルソナ・ライフサイクル

 1 ペルソナ・ライフサイクルのフェーズ
 2 フェーズ1:「準備と計画」
 3 フェーズ2:「受胎と妊娠」
 4 フェーズ3:「誕生と成長」
 5 フェーズ4:「成人」
 6 フェーズ5:「功績、再使用、引退」


フェーズ1 新製品開発のジレンマ

——「準備と計画」
PERSONA FAMILY PLANNING

1 調査と分析のフェーズ

 1 「準備と計画」の位置づけ
 2 「準備と計画」の4つのステップ

2 コア・チームの立ち上げ

 1 なぜ、コア・チームが必要なのか
 2 コア・チームは何人編成がよいか
 3 コア・チーム構成メンバーの候補
 4 最初のミーティング前に準備しておきたいこと
 5 コア・チームを組織できない場合はどうすればよいか
 6 コア・チームの初ミーティングを開催する

3 社内調査

 1 「社内調査」から導き出されるもの
 2 「社内調査」から、抱えるニーズや問題を探り出す
 3 質問1 : どのように顧客志向を実現しようとしているか
 4 質問2 :ユーザーのことをどのように考え、どう伝えているか
 5 質問3 :ユーザー情報は、製品設計や開発プロセスの中でどう生かされているか
 6 ペルソナによって、何が可能になるのか

4 アクション・プランの作成

 1 アクション・プランに盛り込む内容
 2 ペルソナの価値と使い方を社内に啓蒙する
 3 マイルストーンと成果物を確認する
 4 いつ、どのようにコンサルタントを関与させるか

5 データ収集

 1 データ・ソースを探し、データを収集する
 2 データ・ソースの種類と内容
 3 データ・ソースを効率よく収集する
 4 社内の一次データ・ソースを検索する
 5 社外の一次データ・ソースを検索する
 6 ユーザーに関する定性データを収集する
 7 定性データ収集のためフィールド調査を実施する
 8 二次データ・ソースを収集する
 9 簡易ペルソナとは 簡易ペルソナのメリット
 10 仮説を収集し、簡易ペルソナを作成する
 11 簡易ペルソナ作成にどれくらい時間をかけるか
 12 データ・ソースを追跡・管理しながらデータ収集する


フェーズ2 顧客の「骨格」を理解する

——「受胎と妊娠」
PERSONA CONCEPTION AND GESTATION

1 ペルソナ作成のフェーズ

 1 「受胎と妊娠」期の問題点
 2 「受胎と妊娠」の6つのステップ

2 作成時間と必要なペルソナ数

 1 「受胎と妊娠」にどの程度の時間を費やすか
 2 作成期間が1〜2週間しかない場合にはどう取り組むか
 3 ペルソナは、何体作成すればよいのか
 4 1体の主要ペルソナに関する議論
 5 対象となるペルソナの作成は簡単ではない
 6 作成するペルソナ数はいつ決めるべきか

3 ペルソナの受胎期:ステップ 1

 1 ユーザーのカテゴリーを特定する
 2 データを処理する前にカテゴリーを特定する理由
 3 ユーザーの役割、ゴール、セグメントを考える
 4 ユーザー・カテゴリーを決定するためのミーティング

4 ペルソナの受胎期:ステップ 2

 1 ファクトイドを引き出す
 2 ペルソナ作成のためのデータ処理手法
 3 共同で行う統合作業の副次的利点と問題点
 4 データ統合のミーティングを開催する
 5 ミーティングの規則、ゴール、成果を説明する
 6 データ・ソースからファクトイドを抽出する
 7 ファクトイドを付箋紙に転記する
 8 ユーザー・カテゴリーのラベルを掲示する
 9 ファクトイドを統合する
 10 ファクトイドのグループにラベルをつける

5 ペルソナの受胎期:ステップ 3

 1 サブカテゴリーの判別、スケルトンの作成
 2 どのサブカテゴリーを作成すべきか
 3 スケルトンを作成する

6 ペルソナの妊娠期:ステップ 4

 1 スケルトンに優先順位をつける
 2 優先順位づけの構造
 3 主要ターゲットと副ターゲットを識別する

7 ペルソナの妊娠期:ステップ 5

 1 選択したスケルトンからペルソナを作成する
 2 ペルソナの「基本文書」とは
 3 基本文書に入れるペルソナの特徴を選択する
 4 ファクトイドをスケルトンに転記する
 5 コアとなる特徴に具体的に置き換える
 6 厳密な描写はかえって正確さを欠く
 7 物語的な要素を盛り込む
 8 ステレオタイプには注意が必要
 9 感情的反応を引き起こす詳細にも注意
 10 新しいデータや情報を追加していいか
 11 ペルソナに写真やイラストを入れる
 12 ペルソナに名前をつける

8 ペルソナの妊娠期:ステップ 6

 1 ペルソナを評価する
 2 もとのデータにさかのぼってチェックする
 3 ターゲットをよく知る人に評価してもらう
 4 実際のユーザーにペルソナを見せる
 5 「実態調査」のために現地視察をする
 6 大規模な世論調査やインタビューを行う
 7 評価はデータ収集のチャンスになる
 8 ペルソナの作成は、ユーザー調査の終わりではない

9 フェーズ3: 「誕生と成長」期への準備

 1 次のステップへ進む時期を知らせるサイン


フェーズ3 顧客「像」を現場に取り込む

——「誕生と成長」
PERSONA BIRTH AND MATURATION

1 ペルソナ紹介のフェーズ

 1 ペルソナは使われて初めて意味がある
 2 「誕生と成長」の3つのステップ

2 「誕生と成長」期:ステップ 1

 1 誕生とその先のステップのための準備
 2 コミュニケーション戦略の質を高める
 3 主要関係者が常に状況をつかめるように
 4 誰がどの情報を必要としているかを見極める
 5 ペルソナの「誕生」は非公開でもかまわない
 6 ペルソナ紹介のタイミングを逃さない
 7 「ペルソナ・キーパー」への移行

3 「誕生と成長」期:ステップ 2

 1 「誕生」はコミュニケーション・キャンペーンの始まり
 2 ペルソナの紹介、3つのポイント
 3 顧客志向の製品の設計/開発のメリットを伝える
 4 ペルソナを使用するメリットを伝える
 5 ペルソナ・プロジェクトの経緯と詳細を伝える
 6 「連続的な公開」手法でペルソナを紹介する
 7 ペルソナに間違いがあることに気づいたら……
 8 「誕生」がうまくいかなかったら……

4 「誕生と成長」期:ステップ 3

 1 「成長」は継続的なプロセス
 2 徐々にペルソナに関する教育を深め、興味を維持する
 3 ペルソナの成長を見守り、ペルソナに変更を加える
 4 ペルソナの信頼性を構築する
 5 ユーザー調査を継続し、ペルソナへの理解を深める
 6 知ってもらうだけでなく、使用してもらえるように

5 ペルソナ広報ツールの制作

 1 何により、いかにしてペルソナを伝えるか
 2 コミュニケーションのための広報ツール
 3 ペルソナ広報ツールの3つのカテゴリー

6 バズ・ジェネレータ

 1 ペルソナへの興味を呼び起こすツール
 2 初期のバズ・ジェネレータ
 3 主要ペルソナ紹介ポスターの制作
 4 後期のバズ・ジェネレータ

7 コンパリソン・ファシリテータ

 1 ペルソナ間の重要な違いを理解させるツール
 2 初期のコンパリソン・ファシリテータ
 3 後期のコンパリソン・ファシリテータ

8 エンリッチャー

 1 ペルソナの詳細な情報を伝えるツール
 2 ペルソナ・ペーパー
 3 ターゲット詳細ポスター
 4 ターゲット詳細配布物
 5 ペルソナ・メール・キャンペーン
 6 アンチ・ペルソナを作成する
 7 実在ユーザーのポスターを制作する

9 ペルソナ資料の管理と保存

 1 ペルソナの広報ツールを集中管理する
 2 すべての資料をペルソナ・ウェブサイトに保存する

10 あなたがコンサルタントの場合

 1 クライアントの理解が得られない場合の対処方法


フェーズ4 開発プロセスでの適確な意思決定

——「成人」
PERSONA ADULTHOOD

1 ペルソナを使用するフェーズ

 1 ペルソナの「成人」とは
 2 「成人した」ペルソナに何を期待するか
 3 ペルソナの「正しい使用」を見守る
 4 「成人した」ペルソナをミーティングに参加させる
 5 簡略ウォーターフォール・モデルでの4つの段階

2 第1段階:製品企画に使用する

 1 ペルソナから情報を引き出す
 2 ユーザー要求の理解、製品の構想のために
 3 ペルソナの話を聞き、現状の問題点を探る
 4 ペルソナの目を通して競合製品を分析する
 5 ブレーンストーミングで特徴を調べる
 6 ペルソナ-ウェイテッド・フィーチャー・マトリックスで優先順位をつける
 7 ユーザー価値と実現性の対比プロットを作成する

3 第2段階:設計ソリューションを調査する

 1 デザイン作業にペルソナを取り込む
 2 ウォークスルー・シナリオを作成する
 3 シナリオ収集シートを作成する
 4 視覚的デザインの意思決定にペルソナを使用する
 5 「成人した」ペルソナと開発担当者

4 第3段階:設計ソリューションを評価する

 1 評価のサポートに利用する
 2 デザインレビューや認知的ウォークスルーに使用する
 3 採用基準プロフィールとして使用する
 4 品質保証テストのテスト・ケース作成に使う
 5 テスト・ケースを伝えるためのペルソナとシナリオ

5 第4段階:製品リリースをサポートする

 1 文書作成、サポート、販売などの作業のために
 2 教育用資料やガイドブックの作成に利用する
 3 マーケティングや営業の活動を調整する
 4 ユーザーと顧客の違い

6 「成人した」ペルソナを見直す

 1 ペルソナの功績、再使用あるいは引退への移行


フェーズ5 顧客志向への追求は続く

——「功績、再使用、引退」
PERSONA LIFETIME ACHIEVEMENT, REUSE, AND RETIREMENT

1 最後のフェーズ

 1 ペルソナの功績を評価する

2 ペルソナの投資対効果

 1 ペルソナは本当に役に立ったのか
 2 ユーザー・エクスペリエンス作業のROIを測定する
 3 ペルソナ・プロジェクトのROIを測定する
 4 フェーズ1: 「準備と計画」期に行った作業をROIの測定に役立てる

3 ROIの質問1:費用

 1 ペルソナ・プロジェクトにいくら費用がかかったか
 2 ペルソナにどれだけ時間がかかったか
 3 ペルソナにかかったその他の費用

4 ROIの質問2:貢献

 1 ペルソナによって製品は改善されたか
 2 製品の成功を定義する方法
 3 成功の理由をペルソナの使用に結びつける
 4 「エクスペリエンス・マトリックス」で分析の幅を広げる
 5 エンド・ツー・エンドのユーザー・エクスペリエンスの成功を測定する
 6 製品が実際のユーザーのゴールを反映していることを確認する
 7 顧客満足度を測定する
 8 サポート・コストとメンテナンス・コストの低減を測定する

5 ROIの質問3:プロセス向上

 1 ペルソナによって設計/開発プロセスは改善されたか
 2 設計/開発プロセスにおける効率向上を調べる
 3 不必要な作業を回避することの価値を測定する
 4 ペルソナによるコミュニケーションの向上の成果を調べる
 5 ペルソナの使用によるプロセス改善をたどる

6 ROIの質問4:顧客志向

 1 ペルソナによって会社は以前より顧客志向になったか
 2 組織としての変化の測定についての提案
 3 ペルソナを試す理由の1つに「企業文化の変化」への期待があったか
 4 「ソーシャルROI」を測定する方法を見つけ出す
 5 ペルソナの失敗を注意深く観察する
 6 次のプロジェクトのための事例を作る

7 再使用、再生、引退

 1 次期プロジェクトでのペルソナの処遇
 2 ペルソナのオーナーシップとコントロールを取り戻す
 3 データは次の製品にも有効か
 4 再使用、再生または引退を決定する
 5 ペルソナを再使用する
 6 ペルソナを「引越し」させる
 7 ペルソナ・ライブラリの作成
 8 ペルソナの再使用を管理する
 9 ペルソナを再生する
 10 ペルソナの進化と再生の違い
 11 ペルソナを引退させる


◎ ペルソナ戦略・応用事例 1

大和ハウス工業株式会社/「EDDI′s House(エディズハウス)」プロジェクト


◎ ペルソナ戦略・応用事例 2

日立アプライアンス株式会社/中小販売店への印象強化プロジェクト


参考文献



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著者略歴

ジョン S.プルーイット(John S.Pruitt)
マイクロソフト社タブレット・モバイルPCディビジョンのユーザー・リサーチ・マネジャー。1998年入社以来、Windows 98SE、Windows 2000 Professional、Windows XP、Windows VistaやMSN Explorer バージョン6、7、8 を含む多くの製品リリースのためのユーザー・リサーチに携わってきた。マイクロソフト社以前には、京都のアドバンスド・テレコミュニケーションズ・リサーチ・ラボラトリのヒューマン・インフォメーション・プロセシング・ディビジョンの招待研究員を務め、また米国海軍の民間科学者としてシミュレーションとトレーニングの研究に従事した。
サウスフロリダ大学の実験心理学の博士号を取得。ユーザビリティ・メソッド、スキル・トレーニング、自然主義的な意思決定、スピーチ認識や第二外国語の習得に関する記事や論文を発表している。6年以上にわたりペルソナを作成・使用し、手法へのより厳密なアプローチを継続的に開発。世界中の会社の数多くのプロダクト・チームに対してペルソナ・テクニックを採用するための指導をしている。

タマラ・アドリン(Tamara Adlin)
ワシントン州シアトルにある、カスタマー・エクスペリエンスのコンサルティング会社アドリン社の設立・経営者。UCDやユーザー・インタフェース・デザイン手法の開発に12年以上の経験を持つ。陸軍リサーチ・ラボラトリにおいて軍事システムに関連した人的要因問題を評価することで、エンジニアリング心理学者としてユーザー・エクスペリエンスに関するキャリアをスタート。その後、ウェブアプリケーションのユーザー・インタフェース・デザイン、高度な文書管理のインタフェース・デザインなど、カスタマー・エクスペリエンス・スペシャリストとしてのキャリアを積む。会社設立以前は、アマゾンサービスのカスタマー・エクスペリエンス・チームを管理し、オンライン・マルチチャネルの小売業におけるブランド志向、ビジネス志向、そして顧客志向のe-コマースソリューションの開発に従事した。
バッサー・カレッジで学士号を取得。ワシントン大学でユーザー・インタフェースのデザインテクニックや学際的なコミュニケーションを研究、理学修士号を取得。ワークショップを率いて、世界中からペルソナとその他のUCD手法についての講演に招聘されている。

訳者略歴

秋本 芳伸(あきもと よしのぶ)
沖電気工業株式会社にて、PCの基本ソフトウェアの研究開発に従事。マイクロソフト株式会社にて、PC関連の標準化作業とテクニカル・マーケティングを担当。株式会社オープンインタフェースを共同で設立し、赤外線通信やブルートゥースの標準化作業、テクニカル・マーケティングを担当。1995年、インターネットポータルサイトの構築を開始。1999年、有限会社ワイツープロジェクトを共同で設立。システム設計やシステム・コンサルティングを担当する。共著に『公開鍵暗号とPKIのしくみ』(毎日コミュニケーションズ)、『若手SEのための要求仕様のまとめ方』(ディー・アート)、『90分で学べるRFPの作り方』(日経BP社)。共訳に『インターネット徹底活用』(ダイヤモンド社)などがある。

岡田 泰子(おかだ やすこ)
1992年よりIT関連企業でソフトウェアのユーザー・インタフェースを担当するかたわら、マニュアル作成に携わる。1999年、有限会社ワイツープロジェクトを共同で設立。ユーザーや顧客の要望をエンジニアに伝えてきた経験をもとに、主にコンピュータ関連書籍の執筆を行っている。主な著書に『最新電子メールの英語ハンドブック』(創元社)、『FrontPageで会社のホームページを作る本』(サイビズ)、共著に『ネットワークセキュリティのキホン』(毎日コミュニケーションズ)、『オープンソースを理解する』(ディー・アート)などがある。

ラリス 資子 (Rallis Motoko)
東京都出身。沖電気工業株式会社にて、PCのユーザー・インタフェース設計および開発に携わった後、PC標準化団体において、標準仕様作成、テクニカルサポートに従事。米国にて、SystemSoft Coporation、WaveMark Technologies、Motorola Incの各社で、アジアパシフィック担当プロダクト・マーケティング/プログラム・マネジャーとして、日本・アジア向けソフトウェア製品の企画、製品設計、マーケティングを担当。現在、米国ハワイ州在住。翻訳、テクニカルライティングに従事する。

監訳者について

personadesign.net
ペルソナデザインの日本への普及に貢献するために、セミナー開催、活用事例、手法の提案、海外情報、レポートへのアクセス等を中心に継続的に情報発信を行っている。
ウェブサイトはこちら、http://www.personadesign.net/


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