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はじめに——会社に「壁」などいらない
序章 「壁を壊す」企業改革
全長一五〇メートル、まるで体育館。「壁」のないフリーアドレスのオフィス
会社には無数の「壁」がある
「物理的な壁」破壊は、「組織の見えない壁」破壊の第一歩
壁の元凶は、本社にはびこる官僚体質
悪しき伝統と風土、低収益・借金経営からの脱却
破壊的改革とは、「選択と集中」、そして「破壊と創造」
「べき論」はいらない。「やり抜く」ことこそ仕事
第一章 破壊のはじまり——合理化への道
1. 砂上に楼閣は築けない
「売り上げとともに増え続ける借金」経営
円高による国内鉱山への大打撃
迷走した、売上倍増「桃太郎計画」
利益の源泉は、資産の切り売り
実情を知らされていなかった社員たち
「年間一〇〇億円の赤字でも三〇年は大丈夫」という神話
異端者“セマカズ”と呼ばれて——光栄なるニックネーム
IT先進企業からの遅れを痛感
2. 嵐の六カ月——合理化への道
事業本部長時代にはじめた改革の試み
明暗が分かれた二つの改革チーム
逆風の中、たった一〇人で五〇〇〇人を説得する
労使の合意。そして合理化計画がスタート
個人面接による退職勧告と優遇措置
退職者の関連会社への“天下り”は厳禁
二〇〜三〇代の若年層を、あえてリストラの対象に
合理化の達成と、その夜の出来事
第二章 事業構造改革による、さらなる破壊——撤退、売却、そして再生へ
1. 事業構造改革——変化にこそ活路あり
「非鉄もまた国家なり」の、「つくれば売れた時代」は終わった
「強調」から「競争」へ。このままでは潰れてしまう!
収益構造改革——「大木経営」から「秀林経営」への転換
資産構造改革、有利子負債削減——遊休資産を洗い出し、借入金を減らせ
2. マーケットのない事業は黒字でも捨てろ
「選択と集中」の三つの基準——「市場」「競争力」「やる気」があるか
バブルの負の遺産、「東北ペプシコーラ販売会社」の売却
役割を終えた合弁会社の、黒字解散
餅は餅屋に、スーパーは大手スーパーに
伝統事業も、将来がなければ切り捨てる
3. 社員の熱意だけでは、事業は続けられない
一〇〇億円投じても、シェア三%なら撤退やむなし
真の「やる気」とは何か——MBOした社員たち
4. 赤字でも、将来性があれば残す
涙ながらの抗議の手紙——撤退方針を覆す
「破壊的合理化」で、再生へ
5. コアビジネスへの集中と創造
構造改革以前に頓挫した、中国進出
中国進出で、海外ビジネスの自信を回復
国内トップの地位を確立した環境ビジネス——ゼロからの出発
国が必要性を感じたものは、大きなマーケットになりうる
第三章 新しい会社へ——再生は「形づくり」から
1. 本社を破壊せよ
まずは、本社スペースを約六割に縮小
「改革の本丸」、役員室・秘書室の破壊
役員室・秘書室の解体で、社内の悪しき文化の根を断つ
書類の大半はゴミである
書類作成は仕事ではない
会議無用——「有料なら使わない」会議室を撤廃
会議はコスト以外の何ものでもない
本社を「丸の内」から「秋葉原」へ移転
脇机禁止でフリーアドレスを徹底
中間管理職の仕事は、部下の管理ではない
フリーアドレスは、ランニングコストが格段に安い
2. 「壁」破壊への、さらなる挑戦
五四歳の社長が誕生——業界の非常識
役職が人を育て、苦悩から人は育つ
「諸先輩、引退してください」。新しい水を新しい皮袋に
中途採用者の力で、ムラ社会を破壊
「社内スカウト制」で緊張感を与え、競争力を保つ
優秀な人材を引き抜かれる側に、責任がある
評価基準をオープンにした年俸制の導入
「自由出勤」「仮眠室」——仕事は時間でなく質である
人事部よ、変われ!——情報が人事の命
優秀な社員ほどよく叱れ。リーダーは社員におもねるな
3. さらなる飛躍のために——持株会社化の狙い
カンパニー制、そして持ち株会社化。壁なきスピード組織へ
事業会社間にも市場原理・競争原理を
市場原理が緊張感を生み、なれ合いを排除する
持ち株会社の欠点を補う、DOWA流の仕組み
第四章 徹底的に「開かれた会社」への転換
1. 社員一人一人に心を開く
もっともやっかいなのが、心の壁
七〇事業所を渡り歩いた、全社員との直接対話
非効率なフェイス・トゥ・フェイスにこだわる理由
トップの生の声を伝える『社長かわら版』
「手紙」のやりとりで本音をぶつけ合う
感想文を書けない・書かない職場。そこに問題が潜んでいた
2. 社外との対話——情報は常にオープンに
信頼を得るためには、繰り返し、すべてを公開する
残念な出来事——事故情報隠蔽という「壁」
地域との共生——植樹・花回廊の大プロジェクト
内部通報制度——弁護士事務所内の「DOWA相談デスク」
赤字でも配当を継続——数値よりも「何をしたか・できるか」
投資家に示すべきは「施策」と「決意」
持ちつ持たれつの、提灯記事などいらない
終章 壁破壊の改革から学んだこと
「未踏領域」への挑戦
1. 改革に込めた思い
会社は公器。だからひたすらに王道を歩む
「会社のために」という嘘
悪い本社からは、良い工場は生まれない
徹底的にオープンであることの大切さ
「何をやるべきか」より、「誰を船に乗せるか」
反対者こそ、会社の財産
利益を追わず、施策を追う
仕事を単純化して考える
効率化とは手抜きをすること
会社は「夢」や「いきがい」など与えられない
「動機づけ」や「力の集結」など、叫んでもムダである
「トップの先見性」など、気にしなくていい
人は管理できない——「人事管理」の誤解
伸びる人、伸び「られ」ない人がいる
2. 現地現物——「川の底が見えますか」
おわりに——我以外、皆我が師
若い人たちへ——今の仕事をしっかりやり抜けば、必ずチャンスがやってくる
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