目次


世界経済危機 日本の罪と罰


[目次] [著者紹介]


表紙




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はじめに


序論 一〇〇年に一度の経済危機

いま何が起きているのか?
誤りが多い一般の理解
どう理解するかで対応に差が生じる


第1章 崩壊した日本の輸出立国モデル

1 なぜ日本の株価が激しく下落するのか?

日本の株価下落率はアメリカより大きい
急激な円高が進んだ
景気回復はメッキ張りだった
大激変した日本の貿易収支
日本の貿易黒字はゼロになる

2 日本の輸出立国モデルは崩壊した

トヨタ・ショック
激減する上場企業の利益
大幅な減益となる輸出産業
為替レートが今後の動向を左右する
「改革で日本が変わった」という説明はまやかしだった
景気回復の基盤は脆弱だった
「外需依存」とは
脱工業化ができなかった

3 「日本の出番」どころか、日本の大危機

日本の傷は浅いか?
アメリカを助けてリスクを抱えた?

4 自慢できない日本の不良債権処理

日本における不良債権処理の実態
公的資金注入総額はいくらだったのか?
国民はいくらをどのように負担したのか?


第2章 アメリカを襲った金融危機の本質

1 アメリカ住宅価格バブルの膨張

目の当たりにした住宅価格バブル
値上がりをあてにしないと正当化できない価格
バブルかどうか意見が分かれていた
サブプライム・ローンとその証券化

2 金融危機の進展

AC−1[危機の顕在化]
ベア・スターンズの救済
AC−2[中間期]
為替レートの動き
国際資金移動に大きな変化
AC−3[リーマン以降]──危機が拡大、深刻化
投資銀行モデルの終焉

3 金融工学が元凶か?

証券化は目新しい手法ではない
格付けでリスクの評価はできない
分散化で対処できるのは個別リスクのみ
格付けに頼ったのが誤り

4 CDSとは何か?

信用デリバティブは「保険的な」機能を果たす
急増したCDS
CDSそのものは悪者ではない


第3章 モンスターを生んだアメリカの過剰消費

1 過剰消費でアメリカの経常収支赤字が拡大

金融危機の真の原因は経常収支赤字
アメリカ経常収支赤字は九〇年代末から急拡大
拡大が続いたのは資金が流入したから
赤字拡大の原因は消費増
日本、中国、産油国が黒字
アメリカの過剰消費の実態

2 経常収支赤字は持続できるのか

持続可能性への疑問
バーナンキやクーパーの主張
国内に投資しなかった日本
日本国内に投資すれば日本人は豊かになり得た
継続したアメリカの過剰支出
住宅価格=トヨタ・複合バブル

3 アメリカの経常赤字が日本の黒字を増大させた

増大した日本の経常黒字
GNPは国内支出と経常黒字の和に等しい
グリーンスパン、クーパー、バーナンキの主張の評価
マンデル=フレミング・モデルによる分析

4 アメリカの経常赤字の縮小は不可欠

経常収支赤字というモンスターはまだ生きている
日本の不良債権問題との違い


第4章 対米黒字の還流がグローバルなバブルを生んだ

1 資本取引による黒字還流のメカニズム

重要な意味を持つ資本移動
赤字で流出したドルはどのように還流するか
中国、日本の資本還流
オイル・マネーの還流
イギリスの資金仲介機能

2 円安バブルの進行

金融緩和と介入による円安
アメリカ住宅バブルと無関係でない円キャリー取引
円安バブルの発生
円安政策の「成功」
古い産業構造が円安で利益増

3 投機の破綻

ミンスキー・モーメントが来た
世界的資本取引の変調
資金の逆流による円高
史上最大のデフォルト
知恵に対抗するには知恵が必要


第5章 原油・食料品の価格問題は解消したのか?

1 暴騰と暴落──一次産品価格の動向

原油価格は下がったが、長期的には高水準
輸入物価が上昇
一次産品価格は金価格と同一歩調で上昇
一次産品価格に影響する三つの要因
原油価格を急騰させたのは投機
長期的には需要は増加する
需給の弾力性が高ければ問題は緩和される
世界経済はドルの新しい価値水準を模索している

2 金融政策の方向づけ

金融政策をめぐる政治経済学的構造の複雑化
大きな不確実性下での金融政策の運営

3 食料価格問題の解は自給率引上げではない

食料問題の本質は量不足でなく高価格
「カロリーベース自給率」のトリック
「買い負け」は問題の本質ではない
日本のコメ価格は異常なほど高い
コメ輸入を拡大すれば日本人の食生活は向上する
農家対策があるだけで農業政策はない
食料問題の解は自給率向上ではない
価格が上昇すれば供給が増える
価格高騰で必要なのは輸入規制の撤廃


第6章 世界経済と日本経済はこれからどうなるのか?

1 今後の経済危機はどのように進展するか?

アメリカの経常収支赤字が縮小するまで危機は終わらない
五%のマイナス成長もあり得る
堤防の一〇倍の津波がくる

2 株価と為替レートはどうなるか?

株価と為替レートの予測は原理的に不可能
バブルによる歪みの評価
株価は企業収益の減少を織り込んだか?
為替レートはまだ円高
ビッグマック指数では一ドル八〇円になる
一次産品価格の動向
不動産価格は低下する

3 投資銀行モデルの終焉

九〇年代に変貌した投資銀行
レバレッジ投資の危険性
二一世紀型の金融危機なのか?

4 デカップリングするアメリカ

アメリカ一極集中の終焉?
イギリスやアイルランドはどうなる?
利益増加率三五%で失望した投資家
経済学者ヴァリアンの驚くべきグーグル観


第7章 これから本格化する経済危機にいかに対処すべきか?

1 資産の運用はどうしたらよいか?

落ちてくるナイフをつかむな
何に投資したらよいか
「貯蓄から投資へ」の欺瞞性
『経済財政白書』の投資論には問題が多い

2 円高のメリットを正しく評価しよう

日本のマクロ経済政策のバイアス
日本人は円高のメリットを実感できない

3 必要なのは日本経済の構造大転換

一ドル七〇円で収益が上がる国際的に開かれた国に
グーグルとトヨタの違い
所得収支が重要である段階に入った
高度な金融専門家を育成する必要がある

4 危機こそチャンス

景気回復で危機感が薄れた
起業には危機がチャンス


[巻末資料]データへの道案内

図表目次

索引



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著者

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。
〈主要著書〉
『情報の経済理論』(東洋経済新報社、1974年、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、1980年、サントリー学芸賞)、『土地の経済学』(日本経済新聞社、1989年、東京海上各務財団優秀図書賞、不動産学会賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、1992年、吉野作造賞)、『1940年体制(新版)』(東洋経済新報社、2002年)、『現代ファイナンス理論』(藤井眞理子と共著、東洋経済新報社、2005年)、『資本開国論』(ダイヤモンド社、2007年)、『「超」経済脳で考える』(東洋経済新報社、2007年)、『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』(ダイヤモンド社、2007年)、『戦後日本経済史』(新潮社、2008年)、『円安バブル崩壊』(ダイヤモンド社、2008年)等多数。
◆ホームページ:http://www.noguchi.co.jp/


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