目次


いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ

有効需要とイノベーションの経済学


[目次] [著者紹介]


表紙




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口絵

まえがき

第1章 いまなぜ、ケインズとシュンペーターか?

 ビジョンの有効性
 二人の残したビジョン
 生きているケインズ
 生きているシュンペーター
 栴檀は双葉より芳し
 経済学の中心地に学んだ二人
 師との出会い

第2章 シュンペーターの処女作

 処女作『理論経済学の本質と主要内容』
 安井琢磨による日本への紹介
 役割を終えた処女作の持つ意味
 消費財と投資財
 利子率をめぐる議論
 動学理論の胎動

第3章 ケインズの処女作

 挫折がもたらしたインドとの出会い
 現実の経済問題をとらえた処女作
 「自然の摂理」を超えて

第4章 第一次世界大戦がもたらした転機

 大戦時の二人
 パリでの講和会議
 一つの時代の終焉

第5章 シュンペーターの主著『経済発展の理論』

 書名をめぐるエピソード
 「日本語版への序文」で述べられた主題
 日本に対する敬愛の念
 理論に対する自負
 「新結合」が生み出す経済発展
 銀行家の重要性
 企業者とは何か
 企業者利潤と利子率
 シュンペーターの景気循環分析
 「不況なくして経済発展なし」

第6章 ケインズ三部作(1)『貨幣改革論』

 ケインズ経済学の序章
 リスクという回避可能なコスト
 金本位制下のゲームのルール
 大戦後のインフレに対する懸念
 インフレがもたらす資本主義の危機
 為替相場の変動と購買力平価
 マーシャル「貨幣数量説」との訣別
 購買力平価の理論
 二つの意味を持つ購買力平価
 為替レートの安定よりも物価と雇用の安定

第7章 ケインズのロシア行

 ロシア人バレリーナとの結婚
 福田徳三のケインズ批判
 ケインズの社会主義観
 理解するには遠すぎたロシア

第8章 ケインズ三部作(2)『貨幣論』

 ケインズが目指したアダム・スミスの栄光
 「貨幣数量説」の限界
 失敗に終わったケインズの「基本方程式」
 ケインズが示したデフレ経済への教訓
 万能ではなかった貨幣数量説
 オープン・マーケット・オペレーションの可能性

第9章 忘れられた経済学者シュピートホフをめぐって

 「過剰生産説」の代表的論客
 祖国の敗戦とシュンペーター
 ケインズ『一般理論』への道
 忘れられたシュピートホフ

第10章 世界大恐慌の始まり——二人のファースト・リアクション

 史上最悪の不況
 「実物的」な分析に徹したシュンペーター
 利子率の低下を重視したケインズ

第11章 ロバートソンと需要の飽和

 忘れられた「経済学の法皇」
 需要の飽和
 『蜂の寓話』
 処方箋としての公共投資
 経済学者のビジョン

第12章 ケインズ三部作(3)『雇用・利子・貨幣の一般理論』

 一大センセーションを巻き起こした問題作
 「期待」と「不確実性」
 貨幣から利子率、利子率から投資
 有効需要の理論
 投資の不安定性
 シュンペーターによる『一般理論』批判
 「理論」と「政策」
 賃金カットの影響
 Wise Spending!

第13章 シュンペーター『景気循環論』——忘れられた大著

 『景気循環論』の二つのテーマ
 「3サイクル合成理論」の失敗
 「新結合」と「イノベーション」
 マクロ的アプローチへの批判
 産業構造の変化とイノベーション
 シュンペーターの主張とは似て非なるもの
 「不況」はイノベーションがもたらす必然
 「失業」もイノベーションがもたらす必然
 財政支出に対する前向きの評価  188
 金融政策に対する醒めた目  190
 貨幣数量説の否定
 『景気循環論』最大の問題
 ケインズとシュンペーターが交叉する一点
 『一般理論』がシュンペーターに与えた影響

第14章 人口減少と経済——天才が考えたこと

 ケインズの講演「人口減少の経済的帰結」
 「Pの悪魔」と「Uの悪魔」
 人口減少に関するシュンペーターの文明論的視点

第15章 天才二人の経済学

 博覧強記のシュンペーター
 経済学の専門教育をほとんど受けなかった(?)ケインズ
 一般均衡理論をめぐる二人の相違点
 一八〇度異なる計量経済学への姿勢

第16章 シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』——資本主義は生き延びうるか?

 シュンペーターと社会主義
 資本主義に対する悲観論
 投資機会の消滅
 「ディオニュソス的」企業家精神の衰退
 少子化は資本主義衰亡のバロメーター
 社会主義への前進

第17章 ケインズ、最後の対米交渉

 アメリカという厚い壁
 移行期におけるイギリスの悩み
 「実体的」変化の役割

第18章 日本に与えた影響

 ケインズが日本のエコノミストに与えた影響
 ケインズが日本の経済政策に与えた影響
 シュンペーターが二一世紀の日本に与えた影響

第19章 二人の遺したもの

 二人の最期
 マクロ経済学のその後
 現実の経済政策にケインズが与えた巨大な影響
 ケインズ経済学とシュンペーター経済学の統合

参考文献

あとがき

写真クレジット

索引



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著者紹介

吉川 洋(よしかわ・ひろし)
1951年東京生まれ。74年東京大学経済学部卒業、78年イェール大学大学院博士課程修了(経済学Ph.D.)。ニューヨーク州立大学助教授、大阪大学社会経済研究所助教授等を経て、93年より東京大学大学院経済学研究科教授。専攻はマクロ経済学。
経済財政諮問会議民間議員(2001〜2006年、2008年〜)、日本経済学会会長(2002年度)、社会保障国民会議座長(2008年)等を歴任。
著書に『マクロ経済学研究』(東京大学出版会、1984年、日経経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『ケインズ:時代と経済学』(ちくま新書、1995年)、『転換期の日本経済』(岩波書店、1999年、読売・吉野作造賞受賞)、『マクロ経済学 第2版』(岩波書店、2001年)、『構造改革と日本経済』(岩波書店、2003年)等がある。


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