目次


消費税は0%にできる

負担を減らして社会保障を充実させる経済学


[目次] [著者紹介]


表紙




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はじめに

日本は二つの重大な間違いをして、第三の敗戦を招いた
アメリカに軽視される日本
政権交代で甦るアメリカ
長期政権で停滞する日本は、もはや思考停止
「癒着のペンタゴン」で国民を羽交い締めにする自公政権
「戦争へ、戦争へ」に似てきた日本の現状
日本は財政危機ではない、こうすれば日本は甦る
これ以上国民が騙されないように、公開の席上で議論したい


序 章 なぜ政府は消費税引き上げに狂奔するのか


日本の税制は「三〇年前に失敗した時代遅れの考え」(オバマ大統領)
レーガン財政でアメリカは「双子の赤字」「債務国」に転落
「まやかしの経済学」で失敗したレーガン
小泉構造改革による税収激減のツケ回し
政権交代による政策転換が伝染病を治すカギ
五年で財政は黒字に転換、地方税である消費税率はゼロへ向かう
新自由主義でついにアメリカを破綻させたブッシュ大統領
大恐慌の回復策とクリントン・モデルで、アメリカ再興を図るオバマ大統領
日本の税制は「レーガン・モデル」の亜流、消費税引き上げの主目的は法人税減税
二〇〇七年度から地方税は「フラット税制」を採用
消費税を引き上げれば「二〇年デフレ」「国民所得半減」になる
「法人税の引き下げ」の経済効果はマイナス
法人税と所得税は引き上げるべきだ


第1章 国民はこんなに騙されている

1 国民を必死に騙す政府

最大の嘘は政府与党首脳の発言と政府統計
悪質な統計偽装「いざなぎ以来の景気拡大」
消費税の引き上げは「小泉構造改革」のツケ
「金融行政三点セット」がデフレを助長し経済を破壊した
惨憺たる日本経済──国民はこんなに苦しめられている
こんなに雇用と社会が破壊されている
市場原理主義が国民の心まで引き裂いている
地方から六〇兆円を召し上げた政府自公政権
地方交付税交付金と国庫支出金の社会的・経済的意義
公共投資削減で税収が激減した
「構造改革」が基礎的財政収支を悪化させた
なぜ必死に国民を騙しにかかるのか
日本は「一〇年ゼロ成長」「一〇年デフレ」

2 最大の国民騙しは「偽装財政危機」

海外では「日本が財政危機だ」と思っている人はどこにもいない
政府・財務省は金融資産を隠して「粗債務」だけで危機を煽る!
財務省の二枚舌「日本は財政危機ではない」
「財源不足」という嘘に騙されるな
「基礎的財政収支均衡策」そのものが国民騙し
「経済を死体」と考えて国民に増税を強いる政府・マスコミと曲学阿世の徒

3 新自由主義・市場原理主義の日本侵略──「規制緩和」「官から民へ」「小さい政府」

ミルトン・フリードマンという男──ユダヤ人の血の叫び
ポンドを空売りしようとしたフリードマン
市場原理主義は社会保障を否定する(「フラット税制」)
チリとアルゼンチンで国家を破綻させた
サッチャー改革で生産性低下、医療・教育システムを破壊
アメリカの国家権力を握って債務国に転落させた市場原理主義者
「グローバリズム」という名のアメリカニズム
東アジアで通貨危機を引き起こし、IMFの清算方式で「富を収奪」
ブッシュ政権で新自由主義が暴走、アメリカが国家破綻
ネオコンと結託した「けだものの論理」
日本の伝染病の伝道者──学者、ジャーナリスト、公務員、政府審議会委員

4 政府が必死に隠す「アメリカの対日年次要望書」

日本にだけ送られる年次要望書
レーガン政権から始まった新自由主義の対日侵略
小泉内閣になってから対日年次要望書が一挙に実現した
国家の三権に係る「カイカク」の要望、日本に独立性はあるのか
「基礎年金の税方式」は外資の要求、四兆円の国民負担が増加する
「法人税引き下げ」も外資の要求、経済効果はマイナス
「均衡財政」「財政収支均衡方針」はアメリカの要求か

ちょっと指導(1) なぜ日本はアメリカの民主党政権に尻込みするのか


第2章 こんな愚策は絶対に許してはいけない

1 「郵政事業民営化」は富の収奪、日本は金融恐慌になり財政が破綻する

郵政民営化の一番の狙いは「簡保民営化」
郵政民営化法案での衆議院解散は憲法違反
アメリカの広告会社首脳が小泉首相に面会し、選挙を支援
国民が騙されていた郵貯民営化の真実
郵貯・簡保マネーの吸収でアメリカ連邦財政の債務が安定化する
日本では財政構造が破綻し、長期金利が急騰、金融恐慌が発生し、財政が崩壊する
「かんぽ生命」「ゆうちょ銀行」の株式売却凍結法が絶対に必要

2 医療費圧縮はアメリカの要望と「構造改革」のツケ

財政赤字の拡大は医療費の増加が原因ではない
「構造改革」のツケが医療費に回っている
医療費が多くても、医療実績は低いアメリカ
サッチャー改革で病院がなくなった
混合診療に隠された罠──国民皆保険の崩壊を狙う
医療改革法で政府は国民皆保険制度を放棄した
どのようにして医療崩壊を防ぐべきか

3 日本はすでに「平成恐慌」

円安・輸出バブルの崩壊
昭和恐慌と平成恐慌の七つの類似性
平成恐慌はいつまで続くのか

ちょっと指導(2) なぜ日本は一党に統治されることに満足なのか


第3章 消費税は引き下げられる

1 財源はいくらでもある

財政支出の財源を明らかにする
一般会計と特別会計の両方で把握しなければ実態はつかめない
特別会計に一〇三兆円の備蓄金(埋蔵金)がある(中間搾取)
日本の財政の実態は黒字だ
日本にはこんなにたくさんの財源がある
国債整理基金で既発債の償還をしてはいけない
外貨準備の収入はすべて一般会計に移すべき
外貨準備残高は国民のために使え
「社会保障基金」の積立金は新規国債の担保になる
国民の資産を担保にして新規国債を発行
外資に狙われている日本の年金基金
アメリカと同じように、公的年金の運用は日本国債に限定すべきである
「財投債」と「内外投融資等」の二重記帳
「外貨準備」で減税はできる
日本の財政状況を悲観することはない
財政資金で景気対策を勧めるバーナンキ議長
経済の基本的認識に乏しい識者たち
国債格下げ理由を誤解する財務省とマスコミ

2 なぜ財政危機という錯覚が継続するのか

デフレと金融恐慌を起こした財政改革、加速させた構造改革
クリントンと国民に謝罪した橋本龍太郎元首相
財政構造改革法凍結で景気回復・税収増加につながった
「構造改革」は緊縮財政の再来
基礎的財政収支均衡策は財務省の責任隠しの正当化
政治的打開以外に道はない
財政規律の誤解が日本経済を破壊している
日本に蔓延する財政の一〇の誤解
国民に増税を要求する財務省の根拠は誤り
国民に謝罪しない財務省と御用学者
増税を煽る「曲学阿世」が国を滅ぼす
財務省が国を滅ぼす
基礎的財政収支均衡策の凍結し撤廃すべきである

3 日本の消費税は低すぎるという嘘

欧米と変わらない日本の消費税の水準
日本は三大税額に占める消費税の比率が高すぎる
法人税収の減少を消費税収の引き上げで補填してはいけない
医療機関の消費税は免除すべきだ
消費税は引き下げられる

ちょっと指導(3) 特別会計は「巨大な国立銀行」である


第4章 「財政の罠」に陥る三つのドグマ──「小さい政府」「均衡財政」「消費税病」

1 「小さい政府」の錯覚

常識となっている三つの間違ったドグマ
ワシントン・コンセンサスの盲従
「小さい政府」で財政の使命を放棄した
政府も民間も投資不足で、国家が陥没する
「小さい政府」が日本社会を破壊した
「小さい政府」が医療と国民皆保険を崩壊させた
政府の大きさよりも「機能する政府か否か」が問題

2 「均衡財政」の誤解

なぜ「均衡財政」は日本に適合しないのか
政府投資が一九九〇年代の日本を救った
債務増加の原因は「小泉構造改革」である
「均衡財政」と「消費税引き上げ」による沈没のシナリオ
日本は建設国債による政府投資を必要とする経済体質
財政赤字・政府債務は将来の負担にならない、長期国債は「国の株式」
改めていおう「国の借金は家計の借金と違う」
政府に巣くう市場原理主義者を一掃すべきである
グローバル経済下でも公共投資の効果は十分ある

3 自覚なき「消費税病」

レーガン、ブッシュの市場原理主義型欠陥税制の模倣
新自由主義・市場原理主義でアメリカは債務国へ転落
クリントン大統領は景気振興策と累進課税復活で財政黒字に
日本の所得税は低所得者にとってG7中で最高税率
これ以上消費税を頼りにするな
消費税は贅沢税、貧しい人に負担させるべきではない
「消費税は社会保障のため」と公言する政府の嘘
社会保障を名目GDPの成長率の範囲内に抑えるのは危険
「消費税引き上げ」による財政改革は幻想
消費税は上げるのではなく下げる方向へ

4 財政の使命を取り戻そう

市場原理主義型財政は「経世済民」ではない
財政の三つの機能を回復させよう
「財政の罠」に陥った日本、積極財政でデフレ解消を

ちょっと指導(4) アメリカ大恐慌からの脱出時の中央銀行の役割


第5章 「社会的共通資本」の拡充が国を救う

1 経済政策は歴史に学べ

歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す
教訓を学ぶアメリカ、学ばない日本
アメリカ大恐慌でも、フーバー大統領の均衡財政が経済を破綻させた
ルーズベルト大統領は公共投資で危機を救った
連邦準備制度(中央銀行)が国債消化を支援
昭和恐慌も政権交代で解決した
財政支出を増やせば国民の債務負担は減少する
財政出動したときの財政規律のあり方とは?

2 財政政策の明暗──父ブッシュとクリントン

レーガン時代後半、数値目標の財政均衡法で失敗、デフレ傾向に
共和党の税制と財政政策は「反面教師、反面教材」
積極財政で成功したクリントン
メリハリのある歳出で、財政資金を投資項目に集中
高額所得者には増税、低所得者には減税
財政黒字を食いつぶした市場原理主義のブッシュ大統領

3 いま日本で実行すべきは「クリントン・モデル」

「成長・公平税制・増収・減税」がクリントン・モデル
クリントン・モデルが示している教訓(政府投資と税率引き上げの相乗効果)

4 「停滞・減収・増税」の構造改革モデル

日本の「構造改革モデル」の問題点
デフレと停滞を望む財務省と内閣府
「停滞誘導モデル」で日本経済を破綻に導く内閣府
政策を全面的に転換すれば、国は救える

5 日本復活五カ年計画

市場原理主義を一掃し、「新日本型資本主義」を構築しよう
社会的共通資本の拡充が必要
五つの成長産業育成分野──経済成長による果実が社会基盤をつくる
株主配当よりも雇用重視──日本の伝統的雇用制度の復活
輸出大国は終焉、このままでは国内経済は陥没してしまう
これが日本経済復活の「五カ年計画」
二〇〇兆円の財政出動で名目GDPの成長率は四〜六%に達する
(1)特別会計の埋蔵金一〇〇兆円を一般会計の投資項目に振り向ける
(2)「内需創出国債」を八〇兆〜一〇〇兆円発行する
(3)個人向けに無利息の「デフレ脱却国債」を二〇兆円以上発行する
財政支出の大きい国ほど社会が安定して経済成長率が高い
日本は消費税減税で社会大国が実現する

6 医療システム再構築が経済再生のベース

社会的共通資本としての医療を守れ
「経済を医療に合わせる」のが基本的認識
日本はG7のなかで医療・教育費の支出が最低
税収に合わせて支出を制限すべきではない

7 新自由主義・市場原理主義経済学は「まやかし経済学」

フリードマン経済学は似非経済学
マネタリズムはアメリカでも政策面で否定されている
「公共投資は効かない」は論理的に間違っている
マンデル・フレミング理論は日本には適合しない
消費税はゼロになる──社会保障費は消費税に頼らなくても十分可能だ

ちょっと指導(5) アメリカの社会基盤は大恐慌後の公共投資が始まり


おわりに 日本の財政の正しい考え方


参考文献

図表目次

索引



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著者

菊池 英博(きくち・ひでひろ)
1936年生まれ。1959年、東京大学教養学部卒業(国際関係論・国際金融論専攻)。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行。本部と内外営業拠点で国際投融資の企画と推進、銀行経営に従事。ニューヨーク支店外国為替課、ミラノ支店長、豪州東京銀行取締役頭取などを歴任。American Biographical Institute“Man of The Year 1990”受賞。1995年から文京女子大学(現文京学院大学)教授、同大学院経営学研究科教授。専攻は国際金融、金融論、日本経済。2007年4月からは、経済アナリスト、日本金融財政研究所所長。
1998年の金融恐慌に際しては、経営責任と株主責任の明確化を前提として大手行に公的資金注入(資金枠25兆円)を提案し法制化される。その後、衆参両院の予算公聴会に公述人として出席し、銀行の株式保有の制限、デフレ対策、純債務で見た日本の財政再建策を提案し、「日本の財政は純債務で見るべきであり、財源はいくらでもある」「積極財政により増税なしで医療・年金を賄うことが可能」「増税なき財政再建を実施すべきである」と主張している。
2007年から「日本の医療システムの崩壊をいかに防止するか」を財政面から提案、医療崩壊の防止に関する論文が多い。
著書に『銀行ビッグバン』(1997)、『銀行の破綻と競争の経済学』(1999)(いずれも東洋経済新報社)、『増税が日本を破壊する』(2005)、『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』(2007)(いずれもダイヤモンド社)などがある。
「エコノミストは役に立つのか」(東谷暁氏、『文藝春秋』2009年7月号)でエコノミスト25人中1位にランクされた。


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