目次


中小企業のM&A 交渉戦略

適正な譲渡価格の決定と紛争防止の実務


[目次] [著者紹介]


表紙




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はじめに


プロローグ
未上場中小企業の譲渡価格は刻々と変化する


M&Aで交渉を有利に進めるポイント
〈本書の構成と内容〉


第1章 M&A交渉プロセスで遭遇するさまざまな問題とその解決策


1 株主の問題
ケース1 拒否権を持つ株主が他の株主と対立、特別決議が承認できない
ケース2 既存株主から、会社の意図しない候補先を相手とした譲渡承認請求がなされた
ケース3 株主間契約を結んである場合の影響
ケース4 少数株主を排除したい場合

2 経営陣の内部対立などの人的問題
買手企業が買収をためらう原因になってしまう場合も
大切なのはコーポレートガバナンスが効いていること

3 財務経理の諸問題
減損の可能性のある資産処理はどう行えばよいか
保証行為についてはどう取り扱うべきか
利害関係者との取引はどうすればよいか

4 金融機関・取引先・社内に話すタイミングの問題
取引金融機関に相談するベストタイミング
主要取引先に相談するベストタイミング
幹部社員・従業員にはいつ告知すべきか


第2章 「支配権の移動」を伴う資本再編の重要ポイント


1 「支配権」についての基礎知識とルール
「支配権」とは何か
株式シェアに応じて株主の権利はこう変わる

2 「支配権の移動」を伴う資本再編には3ケースある
3通りのケースと対処法

3 株式譲渡のケース
法的な意味合い
具体的な手続きとプロセス
財務的な意味と税務会計的な取り扱い体系

4 第三者割当増資(株式、転換社債型新株予約権付社債)のケース
具体的な手続きとプロセス
財務的な意味

5 組織再編のケース
合併(吸収合併)
株式移転および株式交換
会社分割


第3章 「企業評価」の考え方と手法


1 企業評価はこうして行われる
企業評価を左右する3つの価値
企業評価で使われる代表的な3つの手法

2 コストアプローチ——時価純資産額法
特徴——将来収益は織り込まず、時価で貸借対照表を評価
主な項目ごとの具体的な評価方法

3 インカムアプローチ——DCF法
特徴——将来計画に基づいて現在価値を出す
DCF法では事業計画がポイントとなる
キャッシュフローを算定する
割引率(WACC:加重平均資本コスト)を設定する
ターミナルバリュー(残存価値)を算出する
株式価値を算出する

4 マーケットアプローチ——類似公開会社比較法
特徴——わかりやすい方法だが、使い方に要注意
3つの手法で出した評価の違いを知る

5 支配権の価値と流動性の価値
算出した株式価値を株式シェアで調整する
プレミアム率やディスカウント率の算出法
DCF法の流動性ディスカウントの考え方


第4章 企業の価値評価を左右する「詳細調査」の実務ポイント


1 なぜ詳細調査が重要なのか
中小企業M&Aでは買手の有利に進みやすい
買手にとっても詳細調査は重要

2 売手(自社)による詳細調査——セラーズDD
事前調査と専属アドバイザーで万全の準備を
M&Aに関与する社内関係者を決定する
その他の関係者の関与のあり方
セラーズDDの内容と買手候補への情報開示プロセス
買手候補を絞り込むポイント

3 買手による詳細調査
売手に要求する資料とDDの進め方
DDの内容は5つに大別できる
フィナンシャルDDでチェックするポイント


第5章 「譲渡価格」を左右する4つの要因


1 マクロ経済要因——譲渡価格に最も大きい影響を与える
特に株式市場の動向からは目が離せない
市場の環境次第で株式評価はここまで大きく変わる

2 業界要因——対象会社の属する業界動向と環境
チェックすべき業界要因のポイント
買手側は複数の選択肢を検討すべき

3 企業要因(株主要因)——対象会社の状況変化や株主にも要注意
対象会社の状況が変化した場合は
問題となる株主の有無と対応策
望ましくない株主が会社の運命を決めてしまった事例

4 金融機関要因——金融機関との関係がM&Aの成否を分ける場合も
問題となる2つのポイント
ディールプロセス要因


第6章 最終的な「譲渡価格」はどう決定されるのか


1 需給バランス——価格は最終的には需給バランスで決まるが
情報漏洩で需給バランスが崩れ、一気に不利に
提示価格は需給動向・心理で大きく変わる

2 売手の価格に対する考え方——売手はどのように売却価格を決定するのか?
売手が売却を決定するタイミングとその理由
最終的に売却を決める判断ポイント

3 買手の価格に対する考え方——買手はどのように買収価格を決定するのか?
買手による対象会社の評価プロセス
買手はどんな価値・提案内容を提示するのか

4 売買成立からクロージングまでのプロセス
売手、買手それぞれがクロージングまでに行うこと
支払いと株券の引き渡し


第7章 M&A交渉プロセスとそのポイント


1 一般的な交渉プロセスを知る
売手から見たM&Aの流れ
買手から見たM&Aのプロセス

2 売却交渉の順序と方法
最有力候補とコンタクトを取るタイミング
個別交渉期間を設けるか、それとも入札方式か

3 売手によって異なる意思決定プロセスとメカニズム
売手が個人の場合
売手は売却条件をはっきり示さずにおいたほうが有利
売手が未上場会社の場合
売手がファンドの場合
売手が上場会社で、保有株を売却する場合
売手が複数の場合

4 売手から見たM&A交渉プロセス——システム開発会社が子会社を売却したケース
主要取引先が有力な買手候補として浮上
ディールの硬直化を機に他社候補にもコンタクトを開始
一次入札、さらに二次入札を経て2社に絞り込まれた
二転三転したものの、誠実な対応が功を奏しM&A成立へ

5 買手によって異なる意思決定プロセスとメカニズム
買手が個人の場合
買手が未上場会社の場合
買手がファンドの場合
買手が上場会社の場合

6 買手から見たM&A交渉プロセス——上場を目指す会社が未上場会社を買収したケース
ニーズの合う2社間で株式100%譲渡へ
売手側の開示情報が急変、譲渡価格がアップ
事例に学ぶ教訓

7 売買における心理的メカニズム
いかに事実のみに基づいて判断できるかが勝負


第8章 ケーススタディ——中小企業のM&A現場の主な事例


1 典型的な事例——取引先との間で行われるM&A
売手、買手それぞれがM&Aを決意する背景とは
買手候補はライバルの出方も予測して「提示価格」を検討する
提示価格がついに決まるまで
見逃せないM&Aの価格以外の成功要因

2 LBOスキームを用いた従業員への売却事例——特に身内に後継者がいない企業に有効
LBO方式とは
今後、中小企業のM&AではLBO方式が増えていく
実際のケースで見るLBO方式のプロセス
このケースで可能な今後の選択肢は

3 増加している再生案件としてのM&A事例——日産プリンス兵庫販売が再生にいたるまで
破綻寸前だった当時の会社の状況
まずはスポンサーによる企業評価を予測するところからスタート
M&Aによる再生計画の方針を決める
経営トップ交代で見えてきた再生への道
大胆な経営刷新、そして大幅収益増へ
マクロ経済が不透明感を増す中、金融機関の支援を獲得
複数のスポンサーが登場、ついに再生に成功


終章 中小企業M&Aにおいて大切なこと


中小企業M&Aで成否を分けるポイント


エピローグ

あとがき


巻末資料集

1 売買契約書(株式譲渡契約書)サンプル
2 セラーズDD資料
3 買手DD要求資料
4 佐藤システム開発(買手)による、山川システムズ(売手)とのシナジー分析
5 買手による提案内容例
6 岩橋産業と上條工業の統合効果算定サマリー



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著者

岡本行生(おかもと・ゆきお)
1968年香川県生まれ。92年、東京大学理学部情報科学科卒業、97年ペンシルベニア大学ウォートンスクールMBA(アントレプレナリアル・マネージメント兼ファイナンス専攻)。92年、野村證券入社。99年、アドバンストアイ株式会社を設立、代表取締役に就任。中小企業に特化したM&Aアドバイザーとして活躍する。東京中小企業投資育成株式会社の経営アドバイザーとして、同社の投資先のM&Aなど経営支援に携わる他、早稲田大学でのベンチャー企業マネージメント論におけるM&A講師などを務めるなど、中小企業やベンチャー企業の活性化に注力している。
日本の企業社会、特に中小企業においては、会社や事業の売却が経営上の選択肢に成り得ていないこと、また仮に売却となった場合でも、形式的な評価によって売買条件が決められていることに疑問を感じて、中小企業のM&Aアドバイザーを志す。
「顧客企業を誰よりも理解する」をモットーに、顧客企業のサービスや製品の使用はもとより、企業文化の理解のために各種イベントや社内行事にも参加するなど、徹底的に顧客企業の価値を理解しようとする姿勢が高い評価を得ている。
また、顧客企業の内側に深く入り込んで共に将来計画の修正や立案をする手法は、単に売却を成立させるだけにとどまらず、顧客企業の経営改善と企業価値向上に大きく貢献している。

連絡先:okamoto@advi.co.jp


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