目次


田原総一朗 誇りの持てる国 誇りの持てる生き方

早稲田大学「大隈塾」講義録1 2006-2007


[目次] [著者紹介]


表紙




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◆オリエンテーション
◎日本衰退論は間違い。誇りある国づくり・誇りある生き方はできる

 日本の将来は本当に暗いのか
 どの分野であれ付加価値の高い技術を磨け
 日本人であることにプライドが持てなくなったわけ
 世の中に役に立つために努力をせよ
 好き、素晴らしいと思えば、どんどんよくなる
 情報化社会は、やればどこかで必ず認められる社会


第 一 部 二大国アメリカ・中国とどう付き合うべきか

 講義を理解するための予備知識
 超大国アメリカと成長する中国、岐路に立つ日本

第1章 安全保障を議論すべき時がきた

◆ゲスト講師—石破 茂 自民党衆議院議員

◆講義のはじめに 
◎自衛隊海外派遣のときの防衛庁長官にして、安全保障の第一人者

◆ゲスト講義 
◎日本の安全保障と防衛について知識を持とう
 日米安全保障体制にどっぷり浸かっていればよかった時代があった
 日本の国益のために結ぶ同盟
 戦の火種に鈍感な日本人
 冷戦終結によって顕在化した地域紛争
 テロリストは国家を相手に戦わない
 日本を取り巻く安全保障環境はよくなっていない
 北朝鮮に経済制裁をしても効果はない
 開戦の前に敗戦していた日本
 安全保障と防衛についてまず知識を持つこと

◆質疑応答
◎日本の国益のために、自衛隊をイラクへ送り出した
 イラク戦争は成功だったのか?
 なぜ日本はイラクに海外派遣したのか?
 アジア集団安全保障は現実的か?
 アジア共同警察軍やアジアPKOは可能か?

◆田原総一朗の講義メモ

第2章 なぜ日本と中国はうまくいかないのか

◆ゲスト講師—岡本行夫 国際問題アドバイザー、元首相補佐官

◆講義のはじめに 
◎イラク担当の首相補佐官を務めた外交問題のプロフェッショナル

◆ゲスト講義 
◎このままでは日本はアジアから疎外される
 常任理事国立候補の味方はわずか一カ国
 欧州連合は加害者ドイツと和解する壮大なメカニズム
 ヨーロッパにとって靖国問題は、はた迷惑
 中国の愛国教育は「あの過去を忘れるな」
 戦争から逃げている日本人
 日本は戦争責任をはっきり認めて謝罪している
 アジアの中でどうやって生きていくかを真剣に考えよ

◆質疑応答
◎日本の利益追求が外交政策の目的だ
 日中友好の中での日米関係の維持は?
 対中国ODAは何だったのか?
 日本の歴史教育は変えられるか?
 日中と日韓の関係の違いはどの辺にあるのか?
 国益とは?

◆田原総一朗の講義メモ

第3章 「日米同盟」と「東アジア共生」は両立できるか

◆ゲスト講師—姜 尚中 東京大学大学院教授

◆講義のはじめに 
◎右の人とぎりぎり議論ができる左寄りの論客

◆ゲスト講義 
◎日韓、日中の冷めた関係が、日本に対するアメリカの風向きを変える
 一九九〇年代以降の日本の進むべき方向
 力の集中と拡散にリンクするヘゲモニーの変動期
 破綻国家の顕在化と富の不均衡
 中国の存在が大きくのしかかってくる
 対中関係改善は日米関係にメリット
 対北朝鮮、もう対話しか選択肢はない
 日米安保の限定された同盟関係の維持

◆質疑応答
◎地域的な集団安全保障体制と集団的自衛権とは別のものだ
 憲法九条第二項は東アジア共同体構想の障害にならないか?
 中国の反日教育にどう対応すべきか?
 終わりのない戦争を終わらせるためには?
 日本と朝鮮半島の関係を今後どうしていくべきか?

◆田原総一朗の講義メモ

第4章 日本の限界と強さ

◆ゲスト講師—村田晃嗣 同志社大学法学部教授

◆講義のはじめに 
◎アメリカの外交・安全保障に精通した、論理的な話し手

◆ゲスト講義 
◎日本の強みである言論の自由や人権を重視せよ
 米中国交正常化以後のアメリカの対中政策
 アメリカの対中政策は、大統領交替のたびに大きくぶれる
 共和党内でも立場の異なる人たちがいる
 価値を共有できない東アジア共同体が考えられるのか
 日米中の三角関係の中で、日本が一番弱いプレーヤー
 一九〇八年漱石の予言、一九九一年ビル・エモットの予言
 弱点を自覚することは、新たな強さを発見するチャンス

◆質疑応答
◎国際政治における三要素は、軍事、経済、価値だ
 小泉前総理は靖国参拝で、政治と経済は別というが?
 ソフトパワーは日米関係の方向性を変えられるか?
 日本は中国の民主化とどう向き合っていけばいいのか?

◆田原総一朗の講義メモ

第5章 アメリカ、東アジアのどちらを重視すべきか

◆ゲスト講師—田中 均 東京大学客員教授、前外務審議官

◆講義のはじめに 
◎総理大臣を北朝鮮交渉に導いたアメリカ、中国、北朝鮮をよく知る前外務審議官

◆ゲスト講義 
◎よりよきアジアづくりへの貢献が、日米の絆を深める
 国の力は軍事力、資金力、技術力、知力
 日米安全保障における日本の問題点は軍事力と知力だ
 「よりよきアジア」への明確なコミットメント
 東アジアは世界でも指折りの不安定な地域
 北朝鮮と静かな交渉ができるのは日本だけ
 中国との「グランドバーゲン」をつくれ
 当面は東アジア経済共同体をつくり上げる
 民主主義国のパートナーシップの強化

◆質疑応答
◎大きな合意が持たれれば、日中関係はいっきによくなる
 中国と日本では、歴史問題は共有できないのではないか?
 日本が中国に対して優位に立てるものは何か?
 なぜ北朝鮮は拉致問題で日本を裏切る挙に出たのか?

◆田原総一朗の講義メモ


第 二 部 新しい日本の可能性に挑む

 講義を理解するための予備知識
 成熟社会への移行期にある日本の現状

第6章 すべての人が力を発揮できる社会に

◆ゲスト講師—竹中ナミ (福)プロップ・ステーション理事長

◆講義のはじめに 
◎みんなが納税できる社会を目指す福祉界の風雲児

◆ゲスト講義
◎介護される生活からプロとして仕事をする障害者へ
 日本の社会福祉の常識を破り、施設を持たない社会福祉法人を立ち上げる
 コンピュータという道具を使えば働けるという強い期待
 チャレンジド。挑戦するチャンスを与えられた人
 プロップの講座で学んだ絵本作家くぼりえさん
 「足使ってもええっていうことを習うてきた」
 障害者が「支える側」に回るとき、社会の仕組みが変わる

◆質疑応答
◎「かわいそう」という言葉は魔物。それが人と人を分ける
 プロップの活動資金はどうやってつくられたのか?
 障害者を通じて学んだ、彼らの生き方は?
 可能性を見つけ出しながら人と付き合っていくには?
 変化している福祉の状況。でもまだまだだ、というところは?

◆高野孟の講義メモ

第7章 先の見えない時代の働き方入門

◆ゲスト講師—藤原和博 杉並区立和田中学校長

◆講義のはじめに 
◎リクルート、メディアファクトリーそして区立中学校長。新しいことに次々と挑戦する人

◆ゲスト講義 
◎最初の就職先にこだわり過ぎず、複数のキャリアをイメージせよ
 気になる「成熟社会」を追って、即行動
 教育、住宅、介護を中心とした医療。これを革新しなければ
 興味のあることだけをやるための環境づくりをしたら複線になった
 よのなか科や土曜日寺子屋では講師やボランティアの力量が試される
 悩むよりチャレンジ。人の行くほうには行かない、あえて逆張りを

◆質疑応答
◎知識、技術、経験のすべてを組み合わせる情報編集力が求められている
 生徒たちに生きる力を身につけさせるためには?
 冷めた中学生と向き合うとき、私はいったいどうすればいいんだろう?
 どうやってチャレンジしていくかが悩み。「よのなか科」スタートのきっかけは?
 倫理の崩れた二一世紀において、倫理をどのように考えるか?

◆高野孟の講義メモ

第8章 世の中に役に立つことからビジネスは始まる

◆ゲスト講師—橋本英夫 株式会社ハッピー代表取締役

◆講義のはじめに 
◎日本全国をマーケットにするクリーニング業界の革命児

◆ゲスト講義 
◎しっかり汚れを落とすクリーニングで、クリーニング市場二兆円を目指す
 ◆特別仕上げでも汚れは落ちない
 「世の中の役に立つ」クリーニング業界に向けて改革する
 技術力よりアイディア。怒られるから頭を使う
 技術より理念。人の役に立ちたいということを目的にやってきた
 素直、謙虚、感謝、忍耐、継続が五つの約束

◆質疑応答
◎世の中の役に立ちたいという思いがすべての原動力
 ◆目標を見つけるにあたって、必要なことは何か?
 人様の役に立つという精神だけでやっていけるのか?
 最後に勝つのは気持ち

◆高野孟の講義メモ


第9章 地域で実践する循環型社会

◆ゲスト講師—菅野芳秀 養鶏農家、山形県長井市レインボープラン推進協議会会長

◆講義のはじめに 
◎町から出る生ゴミを周辺の農家が使うリサイクルで数々の受賞

◆ゲスト講義 
◎生ゴミを活用して食と農に参加する町づくり
 人の世がある限り、食料の生産をしなければならない
 農民からの、人の世のための対案、レインボープラン
 既存の利益関係が存在する中で、組み替えをどう行なう
 みんなのいいところを集めた地域づくり
 土は膨大な過去の命の蓄積
 命の源である土との、関係の取り方を間違っていないか
 弱った土から穫れる弱った作物しか食べられない子どもたち
 理想を追い求めたとき、志こそが支えだ

◆質疑応答
◎村にも町にも、ひたすら前へ進もうとする人たちが大勢いた
 プロジェクトの困難をどうやって乗り越えてきたのか?
 九〇億になる人類を養っていくには?
 自然や土とのつながりが希薄な環境で、どう応用して地域運動ができるか?

◆高野孟の講義メモ

第10章 大人のための食育

◆ゲスト講師—結城登美雄 民俗研究家、「みやぎ食育の里づくり」アドバイザー

◆講義のはじめに 
◎東北の農山漁村を六〇〇カ所訪ね歩いた民俗研究家

◆ゲスト講義 
◎日本の食料自給を高めるために私たちができること
 国家の最大事は食料なり
 肉と脂を大量に消費している日本
 わずか五〇年で農林漁業者は人口の五〇%から三%に減少した
 ばあさまやじいさまは働く場所があるから元気でいられる
 第三の食卓は地域にある
 人間は“生き物”を食べて生きている存在だ
 食育は生命の教え
 高齢化社会の日本で大事にすべきこと
 食べ物は命の薬。だから信頼できるものを
 地域づくりはお茶を飲んでおしゃべりすることから
 人の力を集めて支え合えばたいしたことができる
 沖縄の共同店の方法が宮城県でも成功した

◆質疑応答
◎食育の基本は食卓を囲むこと
 教師もテキストも場もない都市の子どもたちの食育は?
 食べ物を捨てないために、どうしたらいいだろう?

◆高野孟の講義メモ


用語索引



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著者紹介

田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県彦根市生まれ。早稲田大学文学部卒。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。テレビ朝日系列で87年より『朝まで生テレビ!』(毎月最終金曜日25時〜)、89年より『サンデープロジェクト』(毎週日曜日10時〜)に出演。テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。


早稲田大学21世紀日本構想研究所
国際レベルの日本再生プランを策定し、現実的な政策を国内外に提言する。国際経済、国際安全保障、日本の政治経済の構造改革という課題に対し、政治家、経済人、ジャーナリストと意見交換し、実証的かつ科学的な総合研究を進め、人材育成にも貢献している。


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