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 暴走する市場原理主義

 アメリカの「タテマエ」の罪と限界


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表紙




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主要目次

序 論 市場原理を掲げて暴走するアメリカ
1 いまはタテマエが暴走


危機にはホンネに戻る

タテマエとホンネの使い分け

ホンネによる制度づくり(1945〜70)

タテマエが暴走した20年(1970〜90)

暴走が加速した10年(1991〜99)

本書の構成と目標

第一章 爆発寸前の借金とバブル——市場原理主義が国内で暴走

1 狂乱の消費ブーム 

収入の100%以上を使ってしまう人々

一見好調なアメリカ経済

株高に踊る

もともと低い貯蓄率

もっと低くなった貯蓄率

国の経済を支える個人の貯蓄

冷戦後の市場原理主義

2 バブルが膨らむその仕組み

株式市場の吸収力

アジアから資金を奪う

企業は買収合併ブーム

個人は投資信託に踊る

政府の予算も黒字

何より怖いドル安

逃がした引き締めのタイミング

70年ぶりの狂乱株価

ドル高維持政策への転換

3 借金が支える繁栄

カード・ローンの急増

備えなくとも憂えていない

200人に1人が破産

自信に満ちた消費者??

国際金融への無知

第二章 カジノになった国際金融市場 ——市場原理主義が世界で暴走

1 行き詰まった変動相場制

変動相場制の誤り

国際通貨改革の原点

資本自由化の行き過ぎ

借金を助長するドル本位制

国際通貨制度の歴史

基軸通貨国の強み

ヨーロッパのドル離れ

日米金融枢軸

米国経済に三つの処方箋

三大通貨圏の見通し

アジア通貨圏確立に向かう変化

市場原理の抑制と活用

時代遅れな国際金融制度

協調的な国際金融制度に向けて

国際金融改革の方向

情報収集

資本移動規制

融資資金の増加

2 打出の小槌でアジアを叩く

いきなり体格が六分の一に

インドネシアの子供の職業

アメリカの為替覇権

モンゴルのストリート・チルドレン

ロシアも倒れる

IMFの大間違い

3 アメリカ以外は劣等文明?

進歩のための費用

アメリカ資本主義の勝利宣言

重商主義の悪い習慣

二つの思想

強制力のある市場原理主義

人を動かす進歩主義史観

文明改造の試み

第三章 市場原理主義を支える経済理論——戦後アメリカ経済学の意義と限界

1 市場原理主義が米国で盛んな理由

2 サミュエルソンとニュー・エコノミックス

3 ニュー・エコノミックスの敗退と三人の子供たち 

4 供給経済学——現代の支配的謬説 

5 ニュー・エコノミー論の虚実 

6 市場原理主義の克服——複雑系と地域研究への期待 


第四章 実は政府主導というホンネで成功してきたアメリカの経済と軍事
——
市場原理一辺倒で猛進してきたわけではない

1 こんなにある介入と保護

手厚い農業保護

金融も自動車も規制

大きいヘッジ・ファンドはつぶさない

政府介入成功の歴史

世界経済の歴史を無視

2 ホンネに戻った二大改革

反独占/反トラスト法の制定

ニュー・ディール

最初の百日

アメリカの改革力

3 軍事覇権確立宣言

情報技術の優位

軍事問題での革命

システムのシステム

米国のアジアでの優位

軍事力がもたらす利益

兵器輸出による勢力の均衡

アメリカに有利な世界秩序

4 軍事覇権の代償

巨額の経済費用

アメリカの思想の退廃

アメリカの軍国主義

大きかったアメリカの功績

目標なき漂流

軍・産複合体の支配

第五章 偉大になれる個人と偉大になれない社会——日本への教訓

「偉大な社会」になれない国

敗者を放置する社会

家庭の崩壊

子を捨てて逃げる

多くの低い学力の大人たち

企業にも大きな負担

市場原理で借金漬け

総和の力で劣るアメリカ

アメリカの信条

アメリカの社会原理と公器としての国際金融制度






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梗概

そもそもこの大不況の原因は何か。米国流追随の無策の罪は大きい。人間が市場の下僕であっていいのか。

アメリカの「タテマエ」、市場原理主義に、ふりまわされるな!
その過ちの代償は、世界各国にとって、あまりに大きい。
そもそも、アメリカの「成功の歴史」自体が、実は、市場原理一辺倒などではなく、「政府介入」の歴史なのだ。

アメリカの借金漬けのバブもついに不況に入り、それがきっかけで世界経済が長期の停滞に入る可能性も出てきている。
この、アメリカの借金漬けと世界経済が世界長期不況に入り兼ねない危機状態を生み出した大きな原因は、先進各国が25年間も国際金融制度の改革に取り組まず市場の暴走するに任せてきたことである。

多くのアメリカ人は、市場原理主義の暴走がアメリカ社会にもたらす恐ろしいツケを理解していない。市場原理の適用範囲をもっと拡大すれば問題が解決するだろうと、ウスボンヤリ思っている人が多い。だが、アメリカ社会が偉大になれないのは、市場原理を適用してはならない領域にまで市場原理を適用しているからである。



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著者紹介


福島 清彦(ふくしま・きよひこ)

野村総合研究所(ヨーロッパ)社長

1967年一橋大学経済学部卒業。69年一橋大学大学院経済研究科修士課程修了。毎日新聞社入社、経済部記者。76年米国プリンストン大学国際金融学科留学、同大学客員研究員。帰国後77年12月まで毎日新聞社勤務。78年野村総合研究所入社。80年同研究所政策研究部主任研究員。米国ワシントンDCのブルッキングス研究所へ派遣、客員研究員。81年野村総合研究所ニューヨーク事務所勤務。ワシントン事務所開設準備委員長、ワシントン事務所長(初代)を経て、86年帰国。同研究所(東京)経済調査部副部長、経済調査部副部長兼政策研究室長、政策研究部長、研究交流部長、政策研究センター部長を経て、94年8月から96年5月まで米国ジョンス・ホプキンス大学高等国際問題研究院(SAIS, School of Advanced International Studies)客員教授。96年野村総合研究所社会産業研究本部主席研究員。99年野村総合研究所(ヨーロッパ)社長。

主な著作:『直接投資と地域主義』(94年、資本市場フォーラム)、『太平洋の時代—摩擦から協調へ—』(94年、東洋経済新報社)、『直接投資でアジアは伸びる』(編著、94年、野村総合研究所)、The New Wave of Foreign Direct Investment (ed., Singapore: Institute of South East Asian Studies, 1995)、『日米欧世界』(98年、筑摩書房)

1984年、論文「変貌する日米経済関係と日本の進路」で東洋経済新報社・第1回高橋亀吉賞を受賞。
1995年、論文「特別な国になる戦略と理論」で経済企画庁・第1回大来佐武郎賞を受賞。



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