目次


改革の経済学

回復をもたらす経済政策の条件


[目次] [著者紹介]


表紙




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まえがき 不透明なとき——日本経済の改革をどうみるか?
 改革はどう進めるべきか?
 回復は続くのか?
 本書の視点(1) 基礎を重視する
 本書の視点(2) 複合的な問題は適切に切り分ける
 本書の視点(3) 政治経済学を重視する
 「回復と改革」という二つの課題

プロローグ——基礎の基礎から

 経済学にも論理トレーニングは大切
 論理と実証を欠く経済論戦
 問題の切り分けが大事
 輸入経済学は信頼するに値しないか?
 日本経済学とは何だったのか?
 日本経済の改革をどのようにみるか
 経済学と歴史


第1部 改革とは何か

第1部のはじめに

 経済学を二つの原則で要約すると?
 インセンティブが織り成す世界——大相撲、ストリート・ギャング団、開発援助
 ただのランチはない

第1章 年金問題の出発点とは何か

 政治問題にまでなった年金
 「人々はインセンティブに反応する」——制度設計の基本視点
 「ただのランチはない」——予算制約
 冷たい方程式?
 大停滞と年金問題
 経済学を踏まえた議論を

第2章 誇張された財政破綻論

 小説の描く暗い日本の将来
 財政破綻はありうるか?
 財政破綻とは?
 九〇年代に何が起きたのか?
 人口は下げ止まるのか?
 時間によって切り分ける
 長期的に必要なもの——政府支出の政治経済学
 短期的に必要なもの——高橋財政の誤解を解く
 金融財政一体化の思想
 日銀の新規国債引受
 公債漸減方針
 軍部への抵抗
 高橋財政に学ぶ

第3章 郵政民営化はいかに進めるべきか

 「小さな政府」?
 民営化の理論と実証
 極地探検にみる民営化の経済学
 最も批判的な研究でも民営化の利益はプラス
 郵政三事業は公営に残すべきか?
 組織と市場をあわせてみよ
 民営化の目標を間違えてはならない
 改革のロジックは経済学の知見に学べ

第4章 マクロ政策が企業家活動を促進する

 企業家と評論家エコノミスト
 実務家としての経済学者?
 二つの原則が企業家活動を支配する
 非生産的な企業家活動を防ぐには
 企業家活動と経済環境
 政府に企業家の直接支援はできない
 産業政策も有害無益
 最もゆがみの少ない産業育成手段はインフレ課税

第5章 「構造問題」とオリンピックの経済学

 オリンピックの経済学
 日本の生産性は低下したのか?
 日本の技術革新能力は低下したのか?
 短期と長期の関係が重要
 短期と長期を結ぶ視点が必要
 オリンピックの失敗の歴史に学べ

第1部のおわりに

 改革から回復へ——サッチャー改革の教訓
 構造改革にはマクロ政策が不可欠


第2部 改革を支えるもの

第2部のはじめに

 何が今回の景気回復をもたらしたのか?
 日本の失敗から学んだアメリカ
 重要だった為替介入と金融緩和のミックス
 「他人頼み」か「自然治癒」か?

第6章 マクロ経済学に人間は存在しないのか

 就職できないのはヤル気のせいか不況のせいか?
 マクロ経済学は失業をどう考えているか
 フィッシャーが発見していたフィリップス曲線
 マクロ経済政策抜きに問題の解決はない

第7章 嫌われたマネタリストとインフレ・ターゲティング

 リチャード・クー氏の誤読
 「あらゆる金融理論の中心」——貨幣数量説
 時代遅れになったマネタリストというレッテル
 なぜマネタリズムは嫌われるのか?

第8章 歴史はどのように利用すべきか

 正しく理解されていない大恐慌の教訓
 二〇世紀マクロ経済学の古典『合衆国貨幣史』
 歴史的事実は立場が異なっても理解できる
 「二度と同じあやまちは繰り返しません」

第9章 リーダーシップの欠如が恐慌を呼ぶ

 リーダーシップの空白がもたらした大恐慌
 速水前日銀総裁の経済的帰結
 ミスター・インフレターゲットの柔軟な思考
 賢者は歴史から学び、愚者は……

第10章 なぜ構造改革派が企業救済をするのか

 清算主義が日本に浸透したわけ
 ねじれた清算主義
 歴史が教える清算主義の幻想
 マクロ経済の安定化論者が勝利したのか

第11章 リフレ政策こそ出口戦略

 混乱する出口の認識
 決して説明せず、決して言い訳せず——ゼロ金利解除の経験が語るもの
 七〇年前の「出口戦略」
 明確なリフレ政策こそが出口戦略

第12章 政策にコミットメントは不可欠である

 カルロス・ゴーンに学ぶコミットメントの意味
 誤解その(1) インフレ目標は硬直的である
 誤解その(2) コミットメントには明確で具体的な目標は不要である
 コミットメントを確実にするために

第13章 ハイパーインフレの誤解

 「不安としてのリスク」に答える
 ハイパーインフレが起きるのはごくまれである
 合理的期待とハイパーインフレの終焉
 ドイツのハイパーインフレはいかに鎮圧されたか
 ハイパーインフレの原因
 シャハトの政策
 高インフレも鎮圧できる
 今の日本にハイパーインフレは起こらない

第2部のおわりに

 今、そこにある危険
 金融政策転換のリスク
 制度としてのインフレ目標
 目線を上げて、もっと高い成長率をめざそう


第3部 改革への道

第3部のはじめに

 「そんなによい政策ならばなぜ採用されないのか?」
 よい政策が採用されないことはありうる
 議論の出発点は何か
 『昭和恐慌の研究』の残した課題

第14章 なぜ危機は危機を呼ぶのか

 現在と過去の危機
 発展する政治経済学
 危機の本質としての「無知」
 無視できない政策担当者たちの信念
 危機を歓迎する人々
 危機にいかに対応するか

第15章 適切な政策を阻害する世間知

 二つの経済論戦が教えるもの
 世間知と専門知はどう違うのか
 人々はとにかくインフレを嫌う
 重要なのは既得観念——「世間知」の経済学へ
 経済学者は自由市場信奉者か?
 真実をより分けるために

第16章 変節改論の経済メディア

 英語流行語大賞と英『エコノミスト』誌のミス
 経済メディアの実態
 過去にみるメディアの共通点
 経済メディアをいかに評価するか
 失敗からいかに学ぶか?

第17章 経済学者の役割とは何か

 一枚岩ではない経済学
 経済学をどうみるか
 大恐慌当時の専門知
 現在の専門知
 なぜ日本の経済学者は基本的なことにも合意できないのか?
 論理と事実に照らして経済学をみよ
 前日銀総裁の福音主義
 「人はパンのみにて生きるにあらず」
 「恒産無ければ恒心無し」

第3部のおわりに

 「政策の失敗」という「謎」
 (1)政策担当者
 (2)マス・メディア
 (3)国民
 (4)経済学者とエコノミスト
 何をなすべきか?

エピローグ——なぜ私はリフレを唱えるようになったのか?

 恥をさらす
 メディアと経済学
 「人為的なインフレ政策などもってのほか?」
 他の仮説?
 経済学史をいかにみるか

あとがき

参照文献

初出一覧

索引



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著者紹介

若田部昌澄(わかたべ・まさずみ)
早稲田大学政治経済学術院教授
1965年生まれ。87年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院経済学研究科、トロント大学経済学大学院博士課程修了。2005年より現職。ケンブリッジ大学、ジョージ・メイスン大学客員研究員を歴任。専攻は経済学史。著書に『経済学者たちの闘い』(東洋経済新報社)、『まずデフレをとめよ』(共著、日本経済新聞社)、『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、第47回日経・経済図書文化賞受賞)などがある。


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