目次

新版 目標管理の本質

人の充足感と組織


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表紙




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[はじめに]i
「目標管理」は進化したのか?
まず「MBO思想」の確立を!
「そもそも論」の必要性
「セルフ・コントロール」の足踏み状態
「命令なき管理」の発展的普及のために


[第1章]MBOだけでは機能しないMBO
1.MBOの前提条件としての「経営思想」
2.拝金主義との訣別
 拝金主義にひた走ったこの20年
 資本主義の目的
 空振りに終わった警鐘
 「資本主義の目的」と「運営ルール」との混同
 「企業目的」と「利益の必要性」との混同
3.愚直なまでに「企業目的」を追求する
 「企業目的の浸透」とは「企業理念の実践」に尽きる
 簡単には消せない「農耕民族的集団主義」
 内部志向と集団主義が顧客蔑視を助長する
 小売業の近代化を促進した企業理念
 風化する小売業の企業理念
 モチベーションの源泉としての企業理念
4.企業の社会的責任
 企業が果たすべき「3つの社会的責任」
 (1)社会規範の形成と企業責任
  身勝手さと無関心
  企業の直接責任と間接責任
 (2)企業のコミュニティ責任
  ヒトは使い捨ての経営資源なのか?
  企業からコミュニティ機能を除去できるのか?
  企業は「共生の価値観」に基づく人間集団
 (3)企業の雇用責任
  企業主導の雇用関係
  現実になってしまった「ミドル・バーゲンセール」
  葛藤との対峙
  日本の経営者たちへの期待
  新しい雇用形態の試みを!


[第2章]MBOの本質は「命令なき管理」なり
1.そもそも、「MBO(目標管理)」とは何か
 「目標によって管理する」とは?
 マネジメントとは「人と仕事をうまく結びつけること」
 3つの「マネジメント機能」
 マネジメントには葛藤が伴う
 MBOは「チャレンジ目標」を手がかりとしたマネジメント
 「And Self-Control」をどう解釈するのか
2.『黒字浮上!最終指令』との出会い
 MBOは有効だった!
 『黒字浮上!最終指令』のあらすじ
 温かい心情と共感
 見えてきた「MBOの真髄」
 普通の人間はセルフ・コントロールの力を有している
 セルフ・コントロールは、自然には行なわれない
3.同時並行多面作戦が「命令なき管理」を実現する
 MBOとノルマ管理との違い
 システム的側面と人間的側面へのアプローチ
 伝統的マネジメントを超えるもの


[第3章]MBOはマネジメント・イノベーション
1.他律統制のマネジメントの限界
 直接的他律統制と間接的他律統制
 定型労働に有効な「他律統制のマネジメント」
2.科学的管理法の功績
 科学的管理法の3本柱
 テーラーの志
 テーラーの嘆き
 科学的管理法の見落とし部分
3.人間関係論の証明
 人間は「別格経営資源」
 人間関係論的マネジメント施策
 ドラッカーによる人間関係論批判
 MBOの提唱
 他律統制のマネジメントの限界
4.専門知識活用労働の特性
 「直接的他律統制」がきかない頭脳行動
 「教え込み型の教育訓練」が不可能な頭脳行動
 当事者でもコントロール不可能な「知恵の創造」
 「頭脳行動の“質的”部分」を直接的にコントロールできないアメとムチ
5.専門知識活用労働のマネジメントの押さえどころ
 「セルフ・コントロールのマネジメント」を決意する
 セルフ・コントロールによる「専門能力の開発」
 「アメとムチ」に代わる「内なる力」による動機づけ


[第4章]マネジメント・イノベーションの「停滞」
1.日本におけるMBOの変遷
 (1)マネジメント・イノベーションの草分け
 (2)昭和40年代の第1次MBOブーム
  未定着に終わったMBO
  「MBOの本質」の理解不足
  人間性偏重の業績軽視のMBO
  真面目さ欠如型のMBO
  第1次ブームの終焉
 (3)TQCと第2次MBOブーム
2.MBOの今日的課題
 (1)昭和40年代の失敗の繰り返し課題
 (2)近年、新たに生じた課題
  MBOと経営戦略との結合
  MBOと人事評価との結合


[第5章]MBOの目的
1.何のためにMBOを導入するのか
 「ともにハッピー」を追い求める
2.企業のハッピーとは
 企業の3つのハッピー
 企業の生理的欲求としての「生存利益」
 「顧客の創造」なくして、企業のハッピーなし
 売上げの主導権は「顧客」にあり
 顧客志向の商品開発活動に必要な基盤整備
 働く人々の“事業に対する志”の確立
 「競争」に勝たなければ売上げは伸び悩む
 マーケティングとイノベーションの必要性
 「適正利益」が「次なる“顧客の創造”」を可能にする
3.働く人々がハッピーとは
 人はみな、幸せになるために生きている
 「働き甲斐」ということ
 (1)「金銭的欲求」の充足がもたらすハッピー
  金銭的欲求は無視できない
  「ハッピーの実感金額」の吊り上げ
(2)金銭的欲求と精神的欲求のバランス 64
  お金では買うことのできない「大事な宝物」
(3)「関心と愛情の欲求」充足がもたらすハッピー
  関心と愛情なしに、生きていくことは難しい
  「ストローク」とは関心と愛情を他者に伝える言動
(4)「自我の欲求」充足がもたらすハッピー
  人間は虚栄心の塊である
  人間の本性は「快楽的感受性」
  積極的な「自我の欲求」の充足
  「よい人間関係」とは「ストローク」と「自我の欲求充足」の交換関係
  多くの人々に適用可能な「幅広い欲求充足方策」の創造
(5)「自分の内面心理によって自らが満たす精神的欲求」がもたらすハッピー
  仕事が面白くなければ、ハッピーじゃない
  仕事を面白くするための前提となる「人生目標と仕事との統合」
  自分のなかから湧き出る「成長の実感」
  「自己実現欲求の世界」は人間の究極のハッピー感


[第6章]MBOの基本原理
1.「ともにハッピー」になるための「チャレンジ目標」
 「チャレンジ目標」と「セルフ・コントロール」という2つの基本原理
 触媒効果としての「チャレンジ目標」
2.MBOとノルマ管理は紙一重
 チャレンジ目標が「MBOとノルマ管理との混同」を引き起こす
 「ノルマ管理」とは
 「人間性尊重」とは、人間のホンネの世界を大切にすること
 「利己的側面」を容認し、「共生的側面」を発掘する
 ノルマ管理は悪なのか……
 普通の人間はアメとムチを必要とする
 ノルマ管理は否定しなければならないが……
 ノルマ管理との紙一重的訣別
 「見切り発車」も可能になる
3.セルフ・コントロールの全体像
 セルフ・コントロールに必要な「内なる力」
 動機づけに不可欠な「動機」と「業務目標」と「刺激」
 「外から与えられる報酬」によって動機づく
 「内発的動機づけ」のアプローチ
  ・自分で自分に与える「精神的報酬」によって「自己実現欲求」を刺激する
  ・「意味づけ」という「動機の掘り起こし策」を用いて「内発的責任感」を醸成する
  ・「目標設定の努力」によって「チャレンジ目標に対する納得感」を高める
4.「自己実現欲求の喚起」によるセルフ・コントロール
 自己実現欲求とは
 自己実現欲求の喚起は、なぜ、難しいのか?
 「強い欲求の発生」がもたらす「必然的な目標設定」
 「欲求」と「目標」との組み替えによる「自己実現欲求の喚起策」
 自己実現欲求の阻害要因
 (1)「知恵の創造」による「仕事の面白さの実感」
  「仕事の面白さ」とは「知恵」を出すこと
  知恵の創造を促進する「仕事の経営化」という環境づくり
  自ら進んでつくり出す「環境」
  「仕事の面白さの実感」は「有能感」を醸成する
 (2)「自分の持つ潜在的可能性」の確信
  「成功体験」が有能感を強化する
  上司に求められる「Y理論」のスタンス
  「Y理論の実践」と言うが……
  Y理論の弱点
  弱点の克服は可能である
  内発的動機づけの阻害要因の除去
 (3)阻害要因の除去策としての「下位欲求の充足」
  人間の本性は神代の昔から変わらない
  人間はみんなプライドを持っている
  絶対に言ってはならないことがある
  「期待」「ほめる」「フィードバック」がプライドを強化する
  ストロークは後天的なものなのか?
  「外発的動機づけ」に頼る危険性
  「自己実現欲求の喚起策」と「下位欲求の充足策」とのバランス
5.「責任感の醸成」によるセルフ・コントロール
 「欲求の論理」だけでは説明できないことがある
 「意味づけ」が責任感を醸成する
 「仕事ミッション」を意味づける
 責任感と欲求のシナジー
6.「チャレンジ目標の納得設定」によるセルフ・コントロール
 目標の「意味づけ」と「見通しづけ」による納得
 「上位計画の共感的理解」による納得
 「目標達成の見通しづけ」による納得
 365日、ありとあらゆる場面におけるコミュニケーション
7.コミュニケーション・コストの増大を覚悟せよ!
 MBOは「コミュニケーションによるマネジメント」
 肉声と体温が触れ合うような「直接コミュニケーション」
 コミュニケーションの質的向上は2つの側面から
8.人間関係円滑化のコミュニケーション
 人間関係円滑化の3つのポイント
 (1)聴く姿勢 110
 (2)コミュニケーション・ギャップの解消とは
 (3)感情のコミュニケーション
9.問題創造・問題解決促進のコミュニケーション
 (1)論理的納得とコミュニケーションの効率化
 (2)「問題解決の原始的フレーム」に見るMBOの問題点
  「論理的思考フレーム」の不備や共有化不足
 (3)「システム思考」に着目する
  システム思考とワークデザイン
  アウトプットと機能展開
  インプットとは
  意外と不明確なインプット
  インプットをアウトプットに変換するプロセスとは
  個別事象の一般化
 (4)システム思考の基本フレームを「問題の構造化理論」で補強する
  定期的な「仕事の振り返り」とは
  問題の明確化
  原因の全体像の把握
  [・制約条件に起因する原因]
  [・外乱の出現という原因]
  [・入力(目標達成手段の論理的不備)に起因する原因]
  [・目標達成手段の実行過程における原因]
  推論の種類
  推論の仕方
  推論の基本パターン
 (5)一般原則を手がかりとした「インプットのアウトプットへの変換策」の立案
 「成功と失敗の一般原則」を手がかりとした「目標達成の基本手段」の構築
  制約条件の取り扱い方
 (6)「システム思考・コミュニケーション・チャート」の今後の課題


[第7章]MBOと経営戦略との結合
1.「溺酔型の戦略病」からの脱却
 日本企業は体験的に戦略の必要性を学習した
 戦略業務は組織の末端で混乱する
2.戦略実行を阻害する「断絶型の戦略病」
 笛吹けど現場は踊らず……
 戦略実行の阻害要因としてのミドル
 なぜ、ミドルに断絶病が起きるのか
3.混乱と不満を防ぐために「戦略の本質」を定義する
4.「フィードバック機能の強化」がもたらす功と罪
 経営に絶対不可欠な「フィードバック機能」
 フィードバック機能だけでは組織は死滅する
 資生堂の成功体験
 資生堂の「環境変化への不適合」
5.「フィードフォワード機能」を立ち上げる—
 (1)フィードフォワード機能の全体像
  2つのステージとその前段階
 (2)前段階としての「創造的破壊」と「カオスの出現」
  フィードフォワード機能に伴う「創造的破壊」
  「カオス」は「創造的破壊」と「価値の学習」とのつなぎ役
 (3)「価値の学習」ステージ
  「企業理念」が使命感と執念を醸成する
  「長期ビジョンと基本戦略」の策定が「価値の学習」を促進する
  長期ビジョンは実現可能性のある「将来像」
  ビジョンは将来に対する「思い入れ」
  「ある程度の将来予測」の「共有化」
  差別化的組織能力の明確化
  「経営基本戦略」はビジョン実現の大方針
  鋭い戦略をつくるための「ビジョンの数値化」
 (4)「方法の学習」ステージ
  「価値の学習」と「方法の学習」を区分する
  「中期経営計画の策定」が方法の学習の出発点
6.方法論を学習し、「戦略実行のシクミ」を構築する
 戦略抜きにMBOは語れない
 MBOと戦略とをつなぐ3つのポイント
 (1)「経営基本戦略」と「中期経営計画」の結合
  中期経営計画とは「経営基本戦略の実行計画」
  第一義は「体質強化目標」の設定
  「自社能力把握」と「ミクロ環境予測」
  杜撰になりがちな「事業所レベル」の中期経営計画
 (2)中期経営計画と年度経営計画の結合
  「日銭目標一色」にならないように
  「戦略目標設定」の2つのルート
  まず、「戦略目標」に資源配分を
  残った資源で、「日銭目標」達成の工夫を
 (3)年度経営計画と「定期的な“仕事の振り返り”」との結合
  「MBOの活動結果」の年度経営計画へのフィードバック
  制約条件の除去を提言する
  戦略目標と「よい目標の要件」との関係
7.よい目標の「9の要件」
 (1)チャレンジングな目標
 (2)目標達成の「見通しづけ」を伴った目標
 (3)仕事ミッションが盛り込まれた目標
 (4)自分の権限でコントロール可能な目標
 (5)上位計画と連鎖した目標
 (6)「戦略目標」と「日銭目標」のバランスとシナジー
 (7)仕事実態に即した「ピーンとくる目標」
 (8)「仕事プロセス」の目標化
 (9)結果の測定が可能な目標
  [定性目標の具体化方法1/状態記述による基準づくり]
  [定性目標の具体化方法2/代用数値化]
  [定性目標の具体化方法3/手順や手段の目標化]
8.絶対に必要な「底上げ的戦略教育」
 ミドルが主役の「プロセス型戦略論」
 エリート社員だけでは不可能な「戦略の実践」
9.「戦略業務」を人事評価に反映する


[第8章]MBOと人事評価の結合
1.人事評価とMBOとの関係をアンラーニングせよ!
 (1)必死の努力から得られたものは?
 (2)「動機づけ」と「選別」の混同
  MBOは難題解決の特効薬か?
  さまざまな努力はしているが……
  MBOは人事評価ツールとしては50点
  不信感がMBOを阻害する
  アンラーニングの着眼点
2.MBOを人事評価の「上位概念」に位置づける
 本来的なMBOシステムに再挑戦を
 MBOの一環としての人事評価
3.人事評価スタンスを確立する
 (1)人事評価の「表と裏の目的」
  公式の目的
  貢献度の序列づけの隠された目的
 (2)優勝劣敗には限度がある
  働く人々は人事評価を肯定する
  適度な競争と報酬格差
 (3)「主観」も人事評価の公正性を担保する
  数値目標に客観性はあるのか?
  デジタル評価には無理がある
  神業に近い作業
  「期初目標の達成度イコール期末の貢献度」という問題点
  主観による公正性の担保
  ダイヤモンド鑑定の意味すること
  あんな人には評価されたくない!
  人事評価調整会議で何を調整するのか
  「人事評価統括責任者」のモデルは中小企業の創業社長
  評価者訓練と人事的方策
 (4)すでに顕在化している「人事評価に対する不満」の解消策を考える
  評価手続きのディスクロージャー
  誠実なフィードバック
  フィードバックが引き起こす新たな問題
 (5)絶対評価と相対評価をどのように取り扱うのか
  「絶対評価」と「相対評価」との違い
  「職能資格制度」と「期待理論」は絶対評価を必要とする
  序列づけとは相対評価のことである
  絶対評価主義の呪縛
  能力開発に必要な絶対評価
4.「MBO評価」から「優れた能力開発プラン」をつくり出す
 (1)MBO評価とは 190
 (2)MBO評価の目的 190
  MBO評価の第一義的目的は「能力開発プラン」の作成
  MBO評価の第二義的目的は「人事評価」への情報提供
 (3)MBO評価の5つのステップ
  [ステップ・/MBO目標の達成度評価]
  [ステップ・/目標達成プロセスにおける発揮能力の評価]
  組織として用意する「能力レベル一覧表」
  被評価者と1次評価者が準備する「行動観察記録」
  発揮能力の評価
  [ステップ・/「保有能力」の評価]
  [ステップ・/「開発能力の明確化」と「開発方法の検討」]
  [ステップ・/部下との能力開発プランの「すり合わせ」]
5.MBO評価と人事評価を「緩やか」に結合する
 「MBO評価と人事評価との結合」に関する基本スタンス
 「貢献領域一覧表」と「人事評価調整会議」が橋渡し
 「緩やかな結合」とは


[おわりに]
「アメとムチによるマネジメント」への逆行を許すのか?
悪気はないが罪深い「無意識のX理論」
モチベーションよりは能力開発を!
企業も働く人々も、ともにハッピーになりたい!



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梗概

「“チャレンジ目標”とセルフ・コントロール」による「命令なき管理」こそ、企業再生のためのナレッジ・ワークに求められている。依然として、個人的限定的目標設定に止まり、人事考課と混同し、ノルマ管理の手段に陥る弊から脱却する「新しいMBO」の実践的提唱。管理者研修の現場の声を反映した定本。



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著者紹介

五十嵐英憲
46年生。早大商学部卒。資生堂、リクルートセンター専属トレーナーを経て、現・五十嵐コンサルタント(株)代表取締役。(株)自己啓発協会常務理事。著書『問題解決的業務遂行』(自己啓発協会)、『目標管理によるチームマネジメント』(産業教育センター)他。



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