目次


企業価値評価【実践編】


[目次] [著者紹介]


表紙




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第1章 財務諸表の再構成

◎……………本章では、エンタプライズDCF法を用いて企業価値評価を行う場合の標準的手順をまとめる。プロセスは大きく4つのステージに分類され、さらに20のステップで企業価値評価を行う。その過程で、各種計算モデルにおいて日本企業を評価する場合に必要となる要素(変数)について、筆者の考え方をまとめながら説明する。

  企業価値評価のフレーム
  STAGE1 過去の業績分析
  STAGE2 資本コストの推計
  STAGE3 将来キャッシュフローの予測
  STAGE4 継続価値の計算と企業価値の算定


第2章 基本ケース——東京製鐵


◎……………本章では東京製鐵を事例に、エンタプライズDCF法の基本手順を紹介する。東京製鐵は、電炉法、すなわち鉄のスクラップを原材料に、スクラップを熱して溶かし、成分を調整しながら鉄鋼を生産するという事業を営んでいる有力企業である。基本的DCF法の手順の紹介に東京製鐵を選んだ理由は、同社の事業はほぼ製鉄だけで、多角化しておらず、また製鉄業自体が短期間に極端な変貌を遂げるような業界でないことから、将来の業績予測やキャッシュフロー予測の基本形として取り上げるにふさわしいと考えたからである。本書の予測手法は簡略なものであり、大半の読者にとっては、本章の基本形だけでも十分に、日々の企業価値評価のニーズには対応できるだろう。

  STAGE1 過去の業績分析
  STAGE2 資本コストの推計
  STAGE3 将来キャッシュフローの予測
  STAGE4 継続価値の計算と企業価値の算定


第3章 事業部別ケース——カゴメ


◎……………本章ではカゴメを事例に、事業部門毎の価値算定の手順を紹介する。カゴメは、食品、飲料の製造を主たる事業とするメーカーである。同社を事例として取り上げたのは、投資家への情報開示に積極的で、詳細な部門別数値が入手可能だからである。本来ならば、事業部門の価値評価には各部門の詳細な内部財務データが必要であるが、ここでは、開示情報のみに基づいて、様々な仮定を置きながら各部門の価値評価を算定する手順を説明する。本章の手順は、より詳細な内部データによって、事業毎の価値を算出する際のヒントとなるであろう。

  STAGE1 過去の業績分析
  STAGE2 資本コストの推計
  STAGE3 将来キャッシュフローの予測
  STAGE4 継続価値の計算と企業価値の算定


第4章 詳細分析ケース——三共


◎……………本章では三共を事例に、より詳細な主力商品毎の将来予測に基づく事業・企業価値評価を行う手順を説明する。三共は、日本の製薬会社で第2位の企業である。同社を事例として取り上げたのは、製薬会社においては、研究開発、臨床試験、新薬としての発売、特許切れ、という取扱製品のライフサイクルが、企業業績に大きな影響を与えるため、総売上だけではなく、商品毎の詳細な分析が不可欠だからである。仮に社運をかけて企業買収や合併(M&A)を行う場合には、本章のような主力商品まで立ち入った分析手順を参考に、価値評価を行うべきだろう。

  STAGE1 過去の業績分析
  STAGE2 資本コストの推計
  STAGE3 将来キャッシュフローの予測
  STAGE4 継続価値の計算と企業価値の算定

参考文献



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[執筆者]

※50音順(なお、全員が中央大学専門職大学院国際会計研究科修士課程(MBAプログラム)修了生である)

小倉 千幸(おぐら ちさち)(第3章・第4章リーダー)
日系金融機関の投資銀行部門勤務。未上場企業への上場アドバイス、上場企業への財務アドバイス・企業価値評価コンサルティング業務を経て、現在ファイナンス関連業務に従事。

奥山 勉(おくやま つとむ)(第2章リーダー)
1987年早稲田大学政経学部卒業、同年西武クレジット(現クレディセゾン)入社。財務部、関連事業部、関係会社・財団法人出向、信用企画部等を経て、現在、保険金融部勤務。

杉岡 清誠(すぎおか きよせい)(第3章リーダー)
中央三井信託銀行を経て、現在、日本格付研究所(JCR)ストラクチャード・ファイナンス部 アナリスト。

田口 敏久(たぐち としひさ)(第2章)
東海銀行入行。桜通、大阪南支店を経て市場企画部から、証券子会社に出向後、同行戦略事業部にてUFJ統合に従事。その後、日興コーディアルグループ財務部を経て、UFJ銀行復職。

長谷川 直彦(はせがわ なおひこ)(第3章・第4章)
公認会計士。アーサーアンダーセン東京事務所にて日米の会計基準に基づく会計監査、デューデリジェンスや証券化・流動化などの業務に従事。2001年より、新創監査法人に勤務し、監査及び税務業務に従事。

長谷部 智一郎(はせべ ともいちろう)(第4章)
公認会計士。監査法人トーマツ入所後、信託銀行及び事業会社の日米基準による会計監査、株式公開支援業務を経て、2002年より知的財産グループ事務局長。日本公認会計士協会「知的財産専門部会」委員。

平本 政規(ひらもと まさのり)(第2章)
1990年一橋大学商学部卒業後、住友信託銀行入社。公的資金運用部、証券管理部等を経て現在、証券業務部。日本証券アナリスト協会検定会員。

藤田 宏康(ふじた ひろやす)(第4章)
証券業界団体に入社後、米国公認会計士資格取得。その後渡米し、Ernst & Young, LLPにて勤務。現在はNTTドコモ関連企業部にて主に国内出資案件審査業務に従事。

三河 武治(みかわ たけはる)(第3章)
日興證券入社、営業職に従事。商社の経理部門勤務を経て、現在、ソニー・ヒューマンキャピタル管理部勤務。

溝口 和彦(みぞぐち かずひこ)(第2章)
1991年神戸大学経済学部卒業、明治生命保険相互会社入社。1997年同社退社後、上場を目指すベンチャー企業の財務部長等を経て現在、株式会社オーヴ経営企画室長。


[編著者]

鈴木一功(Kazunori Suzuki)
1961年熊本市生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、富士銀行入社。1990年INSEAD(欧州経営大学院)MBA(経営学修士)、1999年ロンドン大学(London Business School)金融経済学博士(Ph.D. in Finance)。富士銀行にてデリバティブズ業務を担当の後、富士コーポレートアドバイザリーM&A部門(現みずほ証券)チーフアナリストとして、企業価値評価モデル開発等を担当。2001年4月より中央大学専門職大学院国際会計研究科(アカウンティングスクール)教授。
現在同大学院にて企業金融・企業価値評価の講義を担当するかたわら、みずほ銀行ALCソリューション部の企業価値評価外部アドバイザー。『証券アナリストジャーナル』編集委員会委員。主な著書に『MBAゲーム理論』、共著書に『MBAマネジメント・ブック(初版及び新版)』、監修書に『MBA全集4 ファイナンス』(いずれもダイヤモンド社)などがある。


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