目次


したたかな生命

進化・生存のカギを握るロバストネスとはなにか


[目次] [著者紹介]


表紙




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プロローグ……「アキレスの踵」


第1章……したたかに生きる強さの条件

 ——ロバストネスとはなにか

システム論、代謝工学、ゲノム、複雑系等が折り重なる新しい分野
新たな枠組みが必要
システムとして理解するとは、どういうことなのか
四つある理解のレベル
システムで考える新しい思考の枠組み
避けられないトレードオフの関係
「ロバストネス」の定義
ロバストネスを向上させるにはどうすればいいか

(1)システム制御
  ネガティブ・フィードバックが基本
  事前に感知するフィードフォワード
  ポジティブ・フィードバックの制御
(2)耐故障性システム
  冗長性と多様性
  冗長性・多様性にも限度がある
  生物に見る冗長性
  種としての生存に関わる多様性
(3)モジュール構造
  モジュールにはデザイン・ルールが必要
(4)デカップリング(バッファリング)
  ロバストネスとホメオスタシス


第2章……強くなればなるほど弱点が生じる

 ——ロバストネス・トレードオフ

ニューヨーク大停電で露見したホテルのフラジリティ
ロバストにすれば必ずフラジリティが現れる
意外に強いライト兄弟の飛行機
オーディオアンプのトレードオフ
性能とロバストネスのトレードオフ
戦車の走行速度を上げるためには?
ロバストネス・トレードオフと病気
糖尿病はなぜ起きるのか
糖尿病は「進化的最適化」から生まれた
生きていくための機能が病気を引き起こす
インスリン抵抗性は、脂肪細胞の破壊を防ぐのか
肥満は炎症


インターミッション……ロバストネス・トレードオフと組織


ロバストな会社はどこか
フラジリティを認識していることが大事
吉野家はどういう戦略を展開するのか
ロバストネス・トレードオフをどう乗り越えるか


第3章……ロバスト・システムとしての癌

 ——癌をシステムで考える

癌はロバスト・システム
身体の正常な機能を利用する
癌は多様性をもっている
なぜ抗癌剤の開発は難しいのか
癌細胞だけを狙う「選択性」の問題
ロバストネスの発想で癌の治療を考える
癌のフラジリティを探せ


第4章……遺伝と共生をつなぐ進化のシステム

 ——ロバストネスによる新進化論

ロバストネスは進化の過程で獲得されたのか
「進化可能性」とは?
致死的でない突然変異
少ない回数の突然変異で新たな表現型を生み出す
ネットワークの「蝶ネクタイ構造」
蝶ネクタイ構造の免疫系システム
生物の進化は、制御システムの進化である
より劇的な進化的飛躍
自己拡張型の共生
ロバストネスと進化の相互作用


エピローグ……宇宙の中の共生

謝辞

参考文献



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著者紹介

北野宏明(きたの・ひろあき)
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所取締役副所長、特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構会長、財団法人癌研究会癌研究所システムバイオロジー部客員部長。東京大学客員教授、慶應義塾大学理工学部客員教授。国際基督教大学教養学部理学科物理学専攻卒業、京都大学博士(工学)。
著書・編書に『Foundations of Systems Biology』(The MIT Press)、『システムバイオロジー』(秀潤社)、『システムバイオロジーの展開』(シュプリンガー)などがある。
The Computers and Thought Award (1993)、Prix Ars Electronica Special Award(2000)、ベネチア・ビエンナーレ招待アーティスト(2000)、ニューヨーク近代美術館 Worksphere 展招待アーティスト(2001)。

竹内 薫(たけうち・かおる)
1960年東京生まれ。東京大学教養学部教養学科・理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了。理学博士(高エネルギー物理学専攻)。サイエンスライターとして、科学誌『Nature』などの翻訳も手掛け、テレビ・ラジオでも活躍。著書に『99%は論理力1%は直感力』(ビジネス社)、『闘う物理学者!』(日本実業出版社)、『99.9%は仮説』(光文社新書)などがある。


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