目次


土壌汚染リスク

「現場」の実態と解決モデル


[目次] [著者紹介]


表紙




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まえがき

第1章 マンション直下の土壌汚染事件

 大阪アメニティ・パーク(OAP)の土壌汚染事件

  関西随一の地位の象徴……
  地下駐車場の不安
  元三菱金属鉱業従業員の話
  多くの死者を出したヒ素公害事件
  住民の間に走った衝撃
  真っ赤な「嘘」の文書
  「第三者機関」の正体
  三菱マテリアルが鉱滓にこだわった理由
  嘘がほころび、大阪市に提出された始末書
  恐るべき汚染実態を住民に明らかにしなかった大阪市
  検討委員会の方針
  「帰れ!!」 住民の怒り頂点に……
  驚愕の超高濃度汚染。セレンは基準値の五〇〇〇倍、ヒ素は一六〇〇倍
  汚染された土地の取引に関連する法規制
  超高濃度汚染を住民に隠してきた経緯
  健康被害、資産価値下落、周辺住民の訴訟
  マンション「アリアシティ」の解決事例
  OAP問題解決の条件
  公害等調整委員会による解決の提案

 大規模団地、高見フローラルタウンの土壌汚染事件

  高見フローラルタウンを見に行く
  取材を拒否したラサ工業
  『ラサ工業八〇年史』に見る真実

 マンションを買うなら、土壌汚染を疑え

  土壌汚染対策法は市民を守らずに、汚染者を守る
  購入する土地の前歴が問題の核心

第2章 「君津メソッド」のインパクト

 君津市=君津メソッドと東芝コンポーネンツの土壌汚染対策モデル

  バリアー井戸、汚染拡散防止の砦
  汚染物質、汚染液体、汚染空気が地下を汚染し、地上を汚染する
  内箕輪保育園のバリアー井戸
  汚染井戸はきれいな水が出るまで深く掘る
  曝気装置で汚染ゼロ
  東芝コンポーネンツと君津市との二人三脚はこうして始まった
  公害防止条例を盾に立ち入り権を行使
  「井戸台帳」のちから
  東芝コンポーネンツには立ち入り調査を受け入れる要因があった
  共同調査が始まった
  全国トップの有機溶剤汚染
  土壌汚染対策「基本計画」に合意
  東芝コンポーネンツの現場
  厄介きわまる有機溶剤の性質
  汚染者負担の原則を守り抜く
  失敗こそがチャンスだった
  徹底して情報を開示する
  住民が拒んだ「飲料にしていない地下水だから汚染しても問題はない」という考え方
  風評被害ゼロの奇跡

 ド素人が勝った、日本初の土壌汚染裁判—「白河裁判」

  提訴と勝利、当時の新聞を読む
  テトラクロロエチレンの毒性
  日本で初めての勝利、「白河裁判」の現実を現地に見る
  汚染者責任を問わず「汚染水は煮沸して飲めば大丈夫」と繰り返す行政
  「汚染源はどこか?」汚染源を答えない市役所・保健所
  「徳田の要求を一切拒否する」と池田工業
  最初の難関は弁護士探し
  君津メソッドとの出会い

 三矢工業に「君津メソッド」の実態を見に行く

  不況だからこそ、新しい事業として環境事業を選んだ
  Q社との契約にいたる経緯
  汚染の根本原因に迫る“君津メソッド”
  汚染の中心を探り当てる超高感度非破壊検査《GAS》
  《ネコドリル》で汚染の深度調査
  ピンポイントで汚染物質を除去する《地下空気吸引法》
  大地内部の仕組みに対する考え方
  「君津メソッド」特許を支える企業群

 六価クロム一〇〇万トンの投棄跡につくられた公園

  「六価クロム事件」とはどういう事件か?
  十数年前の現場の状態はどうだったのか?
  六価クロムの上に寝そべる老人、楽しく戯れる犬と人
  「風の広場」に吹き出した六価クロム結晶
  膨大な六価クロムが積み上げられる荒川ロックゲート工事現場
  なぜ東京都は汚染した土地を買い上げ、公園にしたのか?
  処分場の建設使用を差し止めた“毛細管現象判決”裁判

第3章 土壌汚染対策の先進企業に学ぶ

 東京ガスに見る土壌汚染防止モデル

  汚染土壌の調査はどのようにやるのか?
  浄化方法とその手順
  学ぶべき、徹底した情報公開
  「土壌汚染対策法」施行以前から自主的取り組みを行なってきた理由
  一〇年で半減したCO2排出量
  自主的に形成された環境経営
  バイオ処理施設を見る

 清水建設の土壌洗浄プラント—オランダ生まれのMRP方式

  オランダ国民の土への思い
  土壌の細微にわたる分類技術
  東京ガスの土壌汚染対策への評価

 ゼロエミッション・モデル—富士写真フイルムの循環生産自動化工場

  自主的な環境基準の策定
  法定基準、条例基準より厳しい自主基準をつくり水を守る
  レンズ付きフィルム登場の衝撃
  循環生産自動化工場に足を踏み入れる
  CO2排出、六〇%減
  循環・自動生産工程をすべて見わたす
  「水の郷百選」に選ばれた水源
  二〇万都市に匹敵する巨大負荷工場が、ゼロエミッション工場に変貌
  PRTR法(化学物質管理促進法)による管理物資と自主管理物質
  営業部がISO14001を取得する画期的な意味
  売れることは良いことか? 循環生産システムなしで売れることは環境犯罪
  富士写真フイルムが生み出した価値の大きさ
  「ファクター4」という思想
  到達した循環生産の驚くべきシステム

 日本の銀行を変える滋賀銀行—汚染土壌担保に融資をせず

  土壌汚染した土地への担保評価と担保主義からの脱却
  クリーンバンクしがぎん、四つの構成要素
  地域との共存共栄、ペーパーレスで環境NPO活動への支援
  担保主義からの脱却
  事業の目利きをする専門家集団「野の花応援団」
  環境時代の「評価思想と評価基準」
  ユネップ東京世界大会の意義、講演を依頼された意味
  量産型社会の融資と環境時代の融資
  巨大さと投資効率、スケールメリット追求と見放された過疎地
  持続可能な発展を目指す滋賀銀行の出現

 食品汚泥ゼロ、悪臭ゼロ—山小屋のトイレに学んだ野の花「冨久や」

  滋賀銀からの融資で実現した理想の汚泥処理施設
  エコロジーでエコノミーな、バイオ排水処理
  山のトイレ浄化装置
  滋賀銀行の“命”
  巨木よりも強い、小さな野の花

第4章 日本の土壌汚染を鳥瞰する


  なぜ土壌汚染問題が急激に浮上したのか?
  過剰設備、過剰資産を廃棄し、工場跡地を売れるように税制優遇してくれ!
  アメリカ資本の進出と土壌汚染問題
  一九八〇年代、アメリカの多くの企業が汚染浄化の代償を支払った
  日本の廃棄物処理の歴史では排出者責任を取った企業は皆無
  ISO14015、環境監査でも土壌汚染を審査
  滋賀銀行土壌汚染土地を担保にせず、AIU土壌汚染浄化費用を補償
  ISO評価(金融と環境を考える会)

あとがき



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著者紹介

高杉晋吾(たかすぎ しんご)
ジャーナリスト。1933年、秋田市生まれ。早稲田大学文学部卒業。団体職員を経て、教育、医療、環境分野を中心に、フリーランスの評論家として執筆活動に入る。
著書に『産業廃棄物』(岩波新書)、『産業エコロジー革命』(日本経済新聞社刊)、『環境国家への挑戦——循環型社会を目指して』(NHK出版刊)、『循環型社会の「モデル」がここにある』、『北九州エコタウンを見に行く』(ともにダイヤモンド社刊)ほか多数。


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