ブックタイトル【新版】グロービスMBAリーダーシップ

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概要

【新版】グロービスMBAリーダーシップ

8CASE「いよいよ来週から出向か……」 同僚たちが開いてくれた壮行会でしたたかビールを飲んだはずなのに、浅川大輔は心地よい酔いにどこか身を任せきれない自分を感じていた。深夜、自宅に向かうタクシーの座席に身を沈めて深くため息をつき、こうつぶやいた。「はたして、自分にあんな役割が務まるのだろうか……」 浅川は現在33歳。大学を出て中堅の総合商社、東城商事に入社し、名古屋支社のリテール部門を皮切りにキャリアを積んで東京本社の食糧本部に移り、いまは水産品の営業に携わっている。始めのうちは先輩の後について取引先である大手外食チェーンや水産加工会社を回り、商談に同席させてもらう日々だったが、徐々に顧客との関係構築スキルを身につけて独り立ちしていった。いまでは、部門の重要顧客である大手食品加工会社を一手に任されている。 浅川の所属する課には10名が在籍し、課長の木村友昭が、営業担当の8人とサポート職1人の課員を管理している。浅川には職制上の部下はまだいないが、課長補佐として木村を支えつつ、新入社員の指導役もこなす忙しい日々を送っていた。 そんなある日、木村から急な呼び出しを受けた。「浅川、ちょっといいか。大事な話があるんだが……」 木村に促されて入った会議室には、大井部長が待ち構えていた。「浅川君、急な話だが、来月から北武ストアに出向してくれないか。君にぜひやってもらいたい仕事があるんだ」 突然の出向話に驚いている浅川に、木村がこう続けた。「君にとってもいいチャンスじゃないかと思ったから、部長に相談されたときに君を推薦したんだよ」 経緯はこうだった。北武ストアは、もとは私鉄グループが持つ関東エリアの食品スーパーである。それが、経営不振を理由に、10年前に東城商事に買収されたのだった。1-1 リーダーに共通する特性は何か──特性理論