ブックタイトル「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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概要

「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

22外に早く訪れた。「憲法と人権を考える集い」での出来事土本が証人となったパチンコ店放火殺人事件の公判から一カ月が過ぎた二〇一一年一一月二七日、京都産業会館で開催されたシンポジウム「第四一回 憲法と人権を考える集い」(京都弁護士会主催)に、僕と土本は、パネラーとして参加した。この催しのサブタイトルは「死刑、いま命にどう向き合うか」。もう一人のパネラーは、元刑務官で現在はノンフィクション作家である坂本敏夫だ。つまり森と土本は死刑廃止と存置それぞれの両端で、坂本は現場体験を踏まえて実践的な提唱をするポジションと位置付けられる。構図としては見事なトライアングルだ。もちろんシンポジウムなのだから、この人選は間違っていない。パネラーたちが同じような意見を言いながら互いに頷き合うだけのシンポジウムやトークショーならば、参加する意味はほとんどない。催しの第一部では、私立宇治高校の生徒たちによる死刑制度についてのレポート「高校生からの調査報告」が発表された。始まる前に控室で会った二〇人ほどの高校生たちは、この調査をする前までは死刑制度についての疑問や関心などほとんど持っていませんでしたと口をそろえた。人を殺した人は罰として殺される。とても当たり前のこと。全員がそう思っていたという。でもレポート作成の過程で被害者遺族やかつての冤罪死刑囚、教誨師や元刑務官などに会って話を聞きながら、彼らは少しずつ意識を変えた。もちろんあっさりと廃止派に転向などしない。