つながりすぎた世界 page 6/6
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概要:
24〇年には三万人だったシカゴの人口は、一九世紀末には一五〇万人を超える。起業家や発明家も数多くこの地に住みつき、商業・製造業の一大中心地となった。機械式刈取機を開発したサイラス・マコーミックや寝台車を....
24〇年には三万人だったシカゴの人口は、一九世紀末には一五〇万人を超える。起業家や発明家も数多くこの地に住みつき、商業・製造業の一大中心地となった。機械式刈取機を開発したサイラス・マコーミックや寝台車を発明したジョージ・プルマンなどの富豪も生まれた。 一九世紀になると、これまでの物理的な結びつきに加えて情報通信にかかるコストも大幅に低下した。カタログや書籍にかかる印刷代や発送費が下がったばかりでなく、電報が登場したことで重要な情報を大量にやりとりできるようになったのだ。 やがて、情報のリンク(電報)と物理的リンク(鉄道網)のあいだに相乗効果が生まれた。まず、情報のおかげで鉄道の安全性が格段に増した。当時の鉄道はほとんどが単線だったため、対向車両が来るかどうかは事故防止上きわめて重要な情報だったからだ。また、貨車の現在位置を逐一把握できるようになったことで可載重量いっぱいに荷物を積み込めるようになり、運行効率も高まった。さらに農家にとっても、電報を使うことで作物をどこに出荷すれば最高値で取引できるかがわかるようになった。 長い列車を牽引する黒く図体のでかい蒸気機関車と、光ファイバー網を光速で行き交う情報。一見無関係に思えるこの二つだが、実はよく似ている。鉄道は当時、最新にして強力な「結びつき」だったのだ。鉄道のおかげで新たな金融商品が生まれ、情報満載のカタログが家庭に届けられるようになった。また、電報の力も手伝って農家は首尾よく出荷作業を行えるようになり、市場の効率性が高まった。鉄道という結びつきによって、街も農場も変容していったのである。