企業価値評価 第5版 【上】

企業価値評価 第5版 【上】 page 10/10

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12 第Ⅰ部 原理編 筆者の研究や経験によれば、国や地域を問わず、株主価値の創造は株主をはじめステークホルダーの利益を損ねない。そればかりか、価値創造に熱心な企業ほど、経済の強化、生活水準の向上、雇用機....

12 第Ⅰ部 原理編 筆者の研究や経験によれば、国や地域を問わず、株主価値の創造は株主をはじめステークホルダーの利益を損ねない。そればかりか、価値創造に熱心な企業ほど、経済の強化、生活水準の向上、雇用機会の創造にも貢献している。 たとえば、従業員というステークホルダーについて考えてみよう。労働環境が劣悪で、十分な給与を支払わず、福利厚生を削るなどして利益を少しでも増やそうとする企業は、よい人材を雇用し続けられない。このような企業の利益率が下がるのは、昨今の労働市場の流動性増加と教育水準の向上等を考えれば当然だろう。他方、従業員の待遇を改善すれば、気分よく経営ができるというだけでなく、業績にプラスでもある。 米国と欧州で過去15年間に株主価値を最も向上した企業は、雇用も増やしている。図表1?1のように、株主に対するリターン(TRS:Total Return toShareholders)が高い企業は、雇用も増加している。産業別にみても、同様の結果が得られる。 また、株主価値を強調する企業は近視眼的であり、売上の増加やROICよりも企業会計上の利益に目を向けがちだという議論があるが、それは間違っている。株主に対するリターンと研究開発(R&D)投資には正の相関がある図表1-1 株主に対するリターンと雇用の増加率の相関関係0-4040302010-10-20-30-40-30-20-10 0 10 20 30 400-4040302010-10-20-30-40-30-20-10 0 10 20 30 40米国(1987~2007年)株主に対するリターン成長率(年率・%)雇用の増加率(年率・%)EU15カ国(1992~2007年)雇用の増加率(年率・%)