企業価値評価 第5版 【上】

企業価値評価 第5版 【上】 page 3/10

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第1章 なぜ、企業価値か? 5のため、価値は創造されず、企業価値も変わらない2。同様に、会計上の処理方法を変更しても、実際のキャッシュフローは変わらないため企業価値も変わらない。 さらに、持続的な価値創造....

第1章 なぜ、企業価値か? 5のため、価値は創造されず、企業価値も変わらない2。同様に、会計上の処理方法を変更しても、実際のキャッシュフローは変わらないため企業価値も変わらない。 さらに、持続的な価値創造は、長期的な努力の結果である。競争優位性やROICは、失われたり、低減する。したがって、長期的に企業価値を創造するためには、新たな競争優位性をつくり続ける必要がある。経営者は、短期的な業績に対するプレッシャーとも戦わなければならないが、株主にとっての価値創造とは、四半期ごとの利益のアナリスト・コンセンサス値を達成することではない。短期的な業績と、長期的な価値創造に向けた取り組みのバランスをとることが必要である。それは決して容易ではない。 本書では、価値創造のエコノミクス(たとえば、競争優位に立つ企業がどのように高いROICを生み出すか)と、価値評価のプロセス(たとえば、有価証券報告書からどのようにROICを計算するか)を説明する。これらは戦略・オペレーション上の意思決定や、投資のリスクとリターンの算定に役立つだろう。1 企業価値の重要性を忘れることの危険性 価値創造の基本原則や、そこから派生した企業価値不変の法則は、長い歳月を経て確立された。1890年には、アルフレッド・マーシャルが、資本収益率と資本コストの比較について言及した3。こうした単純明快な真理を経営者や取締役、投資家が忘れた場合の結末は破滅的な結果となる。1970年代のコングロマリットの盛衰、1980年代の米国の敵対的M&Aブーム、1990年代の日本のバブル経済、1998年のアジア金融危機、ドットコム・バブル、2007年以降の経済危機はすべて、多かれ少なかれ、企業価値に関する原理の誤解や誤用によって引き起こされた。ドットコム・バブル ドットコム・バブルの際に忘れ去られていたのは、何がROICを増加させるかという観点だ。1995年にネットスケープ・コミュニケーションズが上場                3 A. Marshall, Principles of Economics, vol. 1( New York:Macmillan, 1890), 142.