企業価値評価 第5版 【下】

企業価値評価 第5版 【下】 page 4/10

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6 第Ⅳ部 管理編ルやノウハウをもっている。これらのスキル・ノウハウは、製品開発、製造プロセス、販売・マーケティングなど、ビジネス・システム全体にわたって存在する。重要なのは、このようなスキル・ノウハウ....

6 第Ⅳ部 管理編ルやノウハウをもっている。これらのスキル・ノウハウは、製品開発、製造プロセス、販売・マーケティングなど、ビジネス・システム全体にわたって存在する。重要なのは、このようなスキル・ノウハウが、事業を成功に導くカギとなっているかどうかだ。たとえば、優れた製造技術力をもつ企業は、一般消費者向けの加工食品事業の適したオーナーとはいえないだろう。加工食品事業における製造原価の比重は、企業の競争ポジションに影響を及ぼすほど大きくはないからだ。 むしろ、ブランド開発やマーケティングで差別化できるスキル・ノウハウが、ベスト・オーナーとなるうえで重要な要件になる。たとえばプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、洗濯機用洗剤、美容用品、ペットフード、おむつといった幅広い事業領域において、2009年の売上高で10億ドル以上のブランドを23、5億ドル以上のブランドを20も保有している。しかも、10億ドル以上のほぼすべてのブランドは、その市場で1位か2位にランキングされている。P&Gの差別化要因は、これらのブランド開発をそれぞれに適した方法で使い分けていることにある。タイド(洗剤)やクレスト(歯磨き用品)といったブランドは数十年前からあり、ジレット(かみそり)やオーラルB(歯磨き用品)は過去10年以内に買収したブランドである。さらにファブリーズ(消臭剤)やスウィファー(清掃用品)は過去10年以内に自社開発したものである。このようにさまざまなブランド開発手法を織りまぜることで、2001~2009年の間、グループ全体で年間11%の売上増を果たしている。ガバナンス・システムの改善 優れたオーナーは、日常的な事業運営に直接関与せずとも、優れたガバナンスの仕組みを導入することで付加価値を創造する場合もある。優れたガバナンスの仕組みとは、長期的な価値創造の最大化を目指して、企業の保有者(または、その代理人)と経営者がうまく意思疎通できている状態を指す。たとえば、優れたプライベート・エクイティは、単純に有利子負債を増やして資本構成を変えるだけでなく、ガバナンスの仕組みを改善することで、企業の業績を伸ばしている。 筆者の同僚2人が、代表的なプライベート・エクイティ11社で成功した60の投資案件について分析を行った。その結果、3分の2の案件については、プライベート・エクイティが経営者と効果的に連携することで価値を創造し