ブックタイトル史上最大の決断

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概要

史上最大の決断

34を食い止めることはできなかった。正確に言えば、完全な空振りに終わってしまったのだ。なぜか。ディールとはブリュッセル東方20㎞ほどの場所を南北に流れる川の名前*である。連合軍は今度の大戦でも、ドイツはオランダとベルギーを足場にしてフランスに攻め込むはずだ、とにらんでいた。ドイツ軍が進撃を開始したら、英仏両軍はまずベルギーに入り、ディール川を防衛線として食い止めるというのが前年9月の対独宣戦布告以来、連合軍が練ってきた作戦「ディール計画」の内容だった。第1次世界大戦時の「シュリーフェン計画」そっくりの、ドイツが当初考えていた西部侵攻計画に対処するものだった。それは当時の参謀総長アルフレート・フォン・シュリーフェン元帥が考案したもので、結局は失敗に終わったが、フランスの東部国境沿いに敷設された強固なマジノ要塞線を避け、オランダ、ベルギーといった中立国を突破して、フランス北西部に達する作戦である。ところがこの計画は奇襲になるどころか、ベルギーを通過してくるだろう英仏の精鋭部隊とまともに衝突することが目に見えていた。ドイツ陸軍内では、敵を壊滅させる、もっと野心的作戦はないだろうか、という議論が起こっていた。まさにそのようなプランをもっていたのが、ルントシュテット率いるA軍集団参謀長のエーリッヒ・フォン・マンシュタイン中将だった。目指すのは、英仏軍が予期している右翼ではなく、中央に位置する、ベルギー南部からルクセンブルク北部にかけて広がるアルデンヌの森。すなわち、B軍集団が右翼からベルギー、オランダに侵入して連合軍をおびき寄せ、その隙に主力となるA軍集団が、よもや敵が攻めてくるとは考えていない手薄の中央部を強襲突破する、というものだった。その場合の主力として想定されたのが機械化された装甲師団である。フランス側には「アルデンヌの森を通ってドイツ軍はやってこない」という強固な前提があった。フラン*Map1-1(40頁)参照