ブックタイトル史上最大の決断

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概要

史上最大の決断

29| 第1章 |ヒ トラーの挑戦とチャーチルの英断に進駐、オーストリア、チェコスロバキア、そして、見てきたようにポーランドを既に手に入れていた。間もなく、英仏の意思が固いのを見て取ったヒトラーは、平和的解決が非現実的であることに気づき、陸海空三軍の首脳に対し、西欧攻撃の意図を明らかにした。「ドイツ陸軍はフランス陸軍より強い。空軍とセットになった装甲部隊の力を持ってすれば敵を蹴散らすのは簡単だ」というヒトラーの主張に対して、陸軍が強硬に反対したが、ヒトラーはあくまで攻撃に固執した。一度は11月12日を西方攻撃開始の日に決めたものの、天候が悪く延期された。それが何度も続き、最終的には39 回を数えたほどだった。軍の反対と天候不順。これがドイツの進撃が遅れた第2の理由である。翌40年1月10日、ヒトラーは1週間後の攻撃開始を発令した。ところがこの1月17日に、ドイツ第2航空艦隊の連絡将校がベルギー国内に不時着するという椿事(メヘレン事件)が発生した。その将校はヒトラーが企図する西部侵攻計画の全貌を記した文書を携行しており、その場で一部を焼却したものの、多くの部分がベルギー政府に接収されてしまった。ドイツ側は驚いた。秘密にしておくべき作戦計画が敵に筒抜けになったわけだから、いま一度、計画を根本的に練り直さなければならなくなったのである。これがドイツの侵攻が遅れた第3の理由である。それでも、「まやかし戦争」が終わる日がとうとうやって来た。グデーリアンが考案した「電撃戦」スカンジナビア半島で4月9日を皮切りとするドイツ軍のノルウェー侵攻が継続していた5月10日未明、重要目標への航空攻撃を皮切りに、いよいよヒトラーは西欧への進撃を開始した。ベネルクス3国とフラン