ブックタイトル研修開発入門

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概要

研修開発入門

第1章 研修開発とは何か? 21ア開発の機会を提供し、エンプロイアビリティを高めることが求められるようになってきました。 かつては、従業員のエンプロイアビリティを高めることは、離職につながるものとして忌避される傾向がありました。しかし、現在、そうした人と組織をめぐる関係は次第に変化しています。従業員が企業に期待するものの変化に応じて、企業も、従業員に提供するものの内容を変化させることが求められています。そこで、市場や事業の変化にかかわらず、あたかも漢方を服用するかのように、従業員が求める価値を提供し、組織と社員の関係を円滑にしていくことが求められます6 6。また、このように提供される能力開発・キャリア開発の機会を通じて、実務担当者からミドルマネジャーへの移行(トランジション)を円滑に進めることも、人材育成の機能のひとつ7 7といえます。3 人材育成・小史をたどる とにもかくにも、かくのごとく、人材育成は「企業経営に資すること」を目指します。経営における人材育成の位置付けを把握できたところで、我が国における教育、人材育成の歴史的発展の経緯を把握しておくことも、また無駄なことではありません。それは一見「遠回り」のように見えますが、過去の歴史に学び、過去に犯した過ちを現在において再生産しないことも、また大切なことです8 8。 人材育成には、いわゆる「研修」「OJT」などの施策・手段がありますが、その歴史は、この2つの間を「揺れる振り子」のように動き続けてきたもので6 企業と組織の「見えざる関係」の変化については下記が詳しいです。服部泰宏(2013)『日本企業の心理的契約 増補改訂版:組織と従業員の見えざる契約』白桃書房7 中原淳(近刊)『マネジャーになることの意味(仮題)』中公新書ラクレ8 人材育成は、国家の政策などによって、そのあり方が変わるようなものではないため、その歴史は非常に追いにくい傾向があります。たとえば、我が国の教育を規定する教育基本法は、1947年3月31日に施行されますが、人材育成においては、そのような文書が残されていることはまれです。よって、「いつ」から何が始まった、「いつ」に何が終わった、という記述を行うことは非常に難しいのです。以下では、各種の専門書から、その歴史を読み解き、論じることにします。ただしその歴史や傾向には、ある程度の「幅」があることをご承知置きください。