ブックタイトル研修開発入門

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概要

研修開発入門

22あるということがわかります9 9。 具体的に言うと、我が国の人材育成の言説空間は、「教室における学習(研修)」か「現場での経験(OJT)」かという極に、常に翻弄されてきた、ということです。前時代のあり方を反省し、次の時代の構想を行う上でも、こうした2極に振れる「振り子」の議論に「振り回されないこと」が重要です。そのためには、人材開発担当者として、しっかりとした「歴史的認識」に関する軸を持っておくことが大切でしょう。 そこで、ここではあえて、工業化が進んだ戦後以降の人材育成の歴史を振り返ってみることにしましょう。 1940年代の人材育成の主なキーワードは、「米国」「軍隊」「研修」「官製輸入」です。それ以前は、組織が戦略的かつ定型的に人材育成を行うといった考え方は非常に希薄で、新人は「見習い」として職場に放り込まれ、先輩・親方・師匠と生活を共にしながら仕事を覚えていく、いわゆる「伝統的徒弟制」のような形で育成がされていました。生活と仕事の接近、そして、そこに学習が埋め込まれていることが、伝統的徒弟制の特徴ということになります。長期にわた9 人材育成に限らず、教育の言説とは、とかく「揺れる振り子」のように、右、左、右、左……と揺れ続けていく傾向があります。例えば、学校教育においては、長く「知識注入」か「経験重視」かという2極の間を、揺れ続けながら、教育のあり方が変化してきました。教育の言説は、いつも「極」に振れます。教育に携わる人々にとって、必要なことは「極に振れがちな言説」に翻弄されず、自己の文脈において必要なことは何かを冷静に考えることです。教室経験教育の言説は「揺れる振り子」