ブックタイトルすべての戦争は自衛意識から始まる
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すべての戦争は自衛意識から始まる
15第 1 章すべての戦争は自衛意識から始まる生計の糧としては執筆だ。かつてはテレビのディレクターをしていた。自主制作のドキュメンタリー映画を作っていた時期もあった。でもここ数年は、一日の大半を机の上のパソコンに向かい、キーボードを叩くことで過ごしている。新聞や雑誌への連載も複数あるし、著書として刊行された書籍もいくつかある。有名ではないがまったくの無名でもない。ここまで引用したのは、二〇一三年一月に上梓した『虚実亭日乗』(紀伊國屋書店)の冒頭の記述だ。この書籍で試みた手法はフェイク・ドキュメンタリー(モキュメンタリー)の活字版。主役である緑川南京は著者である森達也のようで森達也ではない。つまりフェイクだ。敢えてフェイクにしたというわけではない。活字や映像にかぎらず、表現とはそもそもがフェイクなのだ。そんな思いを込めたこの書籍刊行後に、「主人公の名前の由来は何ですか」と何度か質問された。でも明確には答えられなかった。「緑川」については自分でもまったく不明だし、「南京」についても南京虐殺から思いついたことまでは間違いないとしても、なぜ南京虐殺を名前に使おうと考えたのか、その理由がわからない。書籍を刊行した時点で、中国の南京に足を運んだことは一度もない。でも刊行してから