ブックタイトルハゲタカ外伝 スパイラル

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概要

ハゲタカ外伝 スパイラル

28クの経営に重くのしかかっているらしいことだ。浅子は粘り強く交渉を続けたが、最終的には白紙撤回された。「今ある仕事をこなせれば、何とか半年はもちます。そっから先は真っ暗や。このままやったら、会社は畳まなあきません」未亡人の行き詰まった様子に、芝野は思わず「じゃあ、私がお手伝いしましょう」と言いそうになった。だが、仮にも再建途上にある総合電機メーカーのCROを任された専務なのだ。情にほだされて、出来もしない約束をするわけにはいかなかった。その時は、「何とか探してみます」とだけ言い残して、恩人の家を後にした。その後は一度も連絡を取らず、再生を任せられる適任者を探すこともできないまま今日に至っていた。黙って話を聴いていた堀が小さなため息をついた。「マジテックに、再生の可能性はあるんですか」それが、芝野にも最大の悩みだった。ようやく景気は上向きにはなりつつある。だが、平均的な中小企業の未来は暗い。実際、曙電機が経営危機に陥った時には、数百社の下請け企業が倒産した。新生曙電機は、彼らの屍しかばねの上に立っていると言っても過言ではない。幸いマジテックに曙電機との取引はなかったが、主業は家電メーカーの金型製造であり、その傍ら〝なにわのエジソン?の特許で食いつないでいたのが現状だった。知恵袋を失ったマジテックでは、それまで取引がなかった先への新規営業は絶望的に厳しかった。