ブックタイトルハゲタカ外伝 スパイラル

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概要

ハゲタカ外伝 スパイラル

20先ほどまで続いた会議では、新しい芝野イズムが遺い憾かんなく発揮された。さらに、問題の解決策についても次々と提案された。最後は若き経営トップによる判断で、方針が固められていく││。もう、ここは大丈夫だ。そう思った瞬間、ずっと張りつめていた緊張の糸が切れた。このあたりが潮時かもしれない。長い会議を終えて専務室に戻ると、窓の外にイルミネーションの海が広がっていた。芝野は不意に重い疲労感に襲われ、崩れるようにソファに座り込んだ。会議が長かったせいではない。むしろ充実した内容で、時間が経つのを忘れるほどだった。「俺も歳をとったということだな」?を膨らませて息を吐き出すと、ネクタイを緩めた。この二年半、経営危機のどん底にあった老舗企業の再生に寝食を忘れて取り組んできたのだ。疲れが出ないわけはないが、まだ老け込む歳でもない。頭は銀髪の比率が高くなってきたが、体力的にも精神的にも老いを感じたことはなかった。だが今日は遂に〝引き際?を意識した。企業経営の中枢に関わるようになって以来、健全な経営の維持には新陳代謝が欠かせないと身に染みて理解している。「老兵はただ去るのみ、か」独り言に応えるようにドアがノックされ、秘書が入ってきた。「専務、顔色がお悪いですよ」