ブックタイトルハゲタカ外伝 スパイラル

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概要

ハゲタカ外伝 スパイラル

21 第一章 発起の時目ざとく芝野の変調に気づいたようだ。「大丈夫だ。ちょっと会議の熱気に当てられただけだよ」芝野は空元気を言って、立ち上がった。デスクの時計は午後八時を回っていた。「こんな時間まで残っていてくれたのか。お疲れさん、引き上げてくれ」「ではお言葉に甘えます。それと、ご不在の間に訃報のファックスがありました」積み上げられた未決書類の一番上に、黒枠の用紙があった。「確認するよ、ありがとう」彼女が出て行くのを確かめると、芝野は椅子の背もたれに体を預けて目を閉じた。今日はとっとと切り上げて帰るとするか。体を起こすと、訃報を手に取った。最初に目に留まったのは、発信元の会社名だった。マジテック……。馴染みのない社名に戸惑ったが、東大阪市森下という住所には見覚えがある。まさかと思い文面に目を走らせた。藤村登喜男││永眠。芝野は思わず声を上げた。途端にノックとともに秘書が顔を出した。「専務、何か」「これは何時に来たんだね」「午後四時頃だったと思います。正確な時刻はファックスのヘッダーに印字されていると思います」受信時刻は、一六時〇七分とある。「供花の手配をしますか」