ブックタイトルハゲタカ外伝 スパイラル

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概要

ハゲタカ外伝 スパイラル

27 第一章 発起の時飛べなくてどうする。「そういうご懸念があるのであれば、なおさら私は去るべきですね。私が長居をすれば、それだけ甘えの体質が強くなります」静かな茶室に、鹿ししおど威しの音が心地良く響いた。「なるほど。ただ、あなたがお辞めになる理由は、ほかにもあるのでは?」堀は微笑みながら鋭く突っ込んでくる。「手助けしたい企業でも出ましたか」「まだ、決心がつかないんです」芝野は、藤村の通夜で未亡人の浅あさ子こから相談されていた。「会社とは言うても、所詮は〝博士?あってのもんですわ。大黒柱を失って、正直、途方に暮れてます。芝野さんに来て欲しいなんて畏おそれ多くてよう言いませんけど、代わりにどなたかええ人を紹介してくれませんやろか」敬愛を込めて夫を〝博士?と呼ぶ未亡人にいつもの朗らかさはなく、抜け殻のように肩を落としている。だが、芝野にも妙案はない。彼女の言葉通り、社長のバイタリティと創意工夫で生き残ってきた中小企業にとって、社長の死は、同時に会社の死も意味する。今期のマジテックは、好景気と藤村の営業力、浅子のやりくりもあって、三期ぶりの黒字を予想していた。しかし藤村の急死によって、複数の取引先が発注の一時中断を伝えてきた。そして何より痛かったのは新規受注した部品開発の見合わせで、数千万円という設備投資費がマジテッ