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概要

人材育成ハンドブック

3第1章 理論編よう、導入時に提示することが求められる。?自己決定性の増大 成人は子どもと異なり、何をどうするかを自身で決定したうえで行動する。さらに、自己決定的でいること、自己決定的であると周囲から思われることを望むことから、その姿勢を尊重し、研修を進める必要がある。しかし、自発的に学ぼうと研修に向かったにもかかわらず、いったん研修が始まると、学生時代に身についた受け身で学ぶ習性が戻り、受け身で依存的な学習者になることがある。研修実施時は、学習者の学びに対する意欲的な姿勢を上手に維持させ、研修を進めることが望ましい。?学習資源としての経験 成人は、年を重ねた分の経験の蓄えを持っている。その経験の蓄積は学習資源となり得る。他方で、経験のゆえに固定された思考パターンやバイアスを持つこともあり、その場合は、経験がマイナスに働くこともある。長い経験によって習得したやり方が、状況や時代にそぐわなくなってしまうケースがあることを丁寧に説明し、新しいアプローチを展開できる枠組みを持つことが求められる。?学習へのレディネス(学習準備性) 成人は、現実の生活における課題をよりうまく対処する必要がある時に学ぼうとする。普遍的な人の発達段階、組織や個人特有の移行期などを考慮し、教育を受ける適切な時期を見極め、研修のタイミングを検討する。?学習への方向づけ 成人は学んだ知識を活用、応用したいと望む傾向がある。学んだことを応用することができるということがわかると、より積極的に学ぶようになる。業務に沿ったテーマや学習者が抱える課題に合わせたテーマを設定するとよい。?学習の動機づけ 昇進や昇給などの外発的な動機は学びの促進材料となり得るが、有力な動機づけは内発的動機である。研修後に仕事への満足感や達成感につながるよう設計されたカリキュラムは、学びが自身の利益につながることを実感できることから、従業員はさらに学びに対して積極的になり得る。