ブックタイトル週刊ダイヤモンド15年8月29日号

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概要

週刊ダイヤモンド15年8月29日号

特集 飲・食・農 乱奪戦ば国内メーカーの心中は穏やかではあるまい。 海の向こうでもABインベブの異変が話題になっている。「シンガポールでは、カールスバーグやハイネケンの駐在員たちが夜な夜な日本上陸の真意について議論している」(現地駐在員)という。 ここでは、ABインベブの真意に触れる前に、まずは彼らの正体を解き明かしていこう。超巨大企業の背景にバフェットと組んだ3人の投資家の影 ABインベブの成り立ちを知るには、ベルギーとブラジル││、この2地域のビールの歴史をひもとかなければならない。 ABインベブの始まりは、ベルギーのルーヴェンにて設立されたデン・ホーレン醸造所だ。その後、名をアルトワ醸造所に変え、1987年にベルギー国内でピードボーウフと合併。これにより、インターブリューが設立された。 一方、同じころ、ブラジルでは3人の男が共同で、世界のビールメーカーの大同団結を画策していた。ブラジルの投資会社3Gキャピタルの共同設立者、ジョージ・パウロ・レマン氏、マルセル・テかかわらず、成熟した日本へやって来たところに、彼らの日本市場への執着が見て取れる。 一体、彼らは何をしに日本に来たのか││。 ABインベブ上陸の意図について、国内ビールメーカー幹部たちにぶつけたところ、皆一様に不安そうな表情を浮かべた。 それも無理からぬ話だ。日本は世界でもまれに見る閉鎖的な市場であり、これまで外資参入の恐怖に晒されてこなかったからだ。 世界で大型再編が繰り広げられる中、日本では50年以上も前からアサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールの大手4社体制が続いてきた。「日本は世界7位の大きな市場ではあるが、再編が進まずプレーヤーが多過ぎる。参入してももうからない」(外資系ビールメーカー幹部)とされてきたのである。 加えて、ビール、発泡酒、第三のビールに分類をする複雑な酒税法も存在し、「ビールしか商品を持たない外資にとって参入障壁が高かった」(国内ビールメーカー幹部)。気付けば日本のビール市場は世界再編から取り残されていた。 しかし、ついにABインベブという黒船が襲来した。まして相手が世界一のビールメーカーとなれ010,00020,00030,00040,00050,000(億円)0成り立ちアンハイザー・ブッシュ・インベブブランド人脈戦略CNBC/gettyimagesSCOTT OLSON/gettyimagesABインベブを知るための主なトピックスABインベブの正体*数字は2014年12月期。為替は1ドル=120円で計算●CEO●設立年カルロス・ブリト1366年●売上高●営業利益5兆6500億円1兆8400億円2000年01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14発祥は700年前のベルギー経営は投資会社3Gキャピタルが握る世界的ブランドを複数保有〝銀行屋?と呼ばれる堅実な投資ベルギーの小さなビールメーカーがM&Aを繰り返し巨大化。2008年にはバドワイザーを持つ米アンハイザー・ブッシュを5兆5000億円で買収し、世界シェアの20%超えを握るビール界の巨人となった。現在のCEOはカルロス・ブリト氏。日本でも有名なバドワイザーに加え、世界180カ国以上で販売されているコロナ・エキストラも有す。ベルギーのホワイトビール、ヒューガルデンなど、多様な味の商品を持つ。ボードメンバーを3人送り込む投資会社3Gキャピタルが経営の実権を握る。3Gのレマン氏(上写真)はウォーレン・バフェット氏(下写真)とも組み、食の再編を進めている。M&Aが主な成長戦略。ビールは各国で地場の企業・ブランドが存在するため、地元の有力なビールメーカーを買収し、調達費や人件費などのコストカットで利益を生み出している。その投資手法が堅実なことから、ビール界の〝銀行屋?と呼ばれることもある。31 週刊ダイヤモンド 2015/08/29