ブックタイトル週刊ダイヤモンド15年9月5日号

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概要

週刊ダイヤモンド15年9月5日号

Special Feature 株価が表示されるスクリーンをじっと眺めていた元クレーン運転手の男性は、これまで取引をした石油関連銘柄で、大きなもうけを得たことをうれしそうに語っていた。運用資産は約200万元(約4000万円)。老後の生活のため、日々株の値動きをウオッチしているのだという。 お年寄りだけではない。いまや中国の株式市場の83・6%は個人投資家によって成り立っており、その4割以上が30歳以下の若者たちだ。彼らはスマートフォンを片手に、画面のタップ一つで売買している。 6月上旬のピーク時から坂道を転がり落ちるように下降していた相場も、きっと政府が立て直してくれると読んでいるのだ。「3600?ではないか」「いや3500?のはずだ」││。現地の金融街で働くプロたちの間で、政府が幾らを下限にして買い支えをするかについての予測が飛び交っていた。 そう考えるのも無理もない。中国では過去30年以上にわたり、指導者たちはある一つの約束を守ってきたからだ。それは共産党独裁という体制下にある限り、昨日より今日、今日よりも明日の方が、豊かな生活が待っていると国民に 代中国の「皇帝」である習シー近チン平ピンであっても、自分の思うようにならないことがこの世にはある││。電光掲示板に表示された株価の暴落は、そんな過酷な現実を告げていた。 8月25日、世界的な同時株安の震源地となっている中国では、パニックともいえる株式の売りによって前代未聞の株価下落が続いていた。この日の上海総合指数は3000?を割り込み、2000銘柄がストップ安に。1日の下落幅は7・6%と2007年に発生した世界金融危機以来の落ち込みを見せ、2日間で148兆円分の時価総額が吹き飛んだ。 これで過去1週間にわたる下落幅は上海総合指数で20 ・9%。それに連動するように、日本では同時期に日経平均株価が13・4%、米国ではダウ工業株30種平均が10・5%の下落を記録し、さながら中国版ブラックマンデーの様相を見せ始めた。 そんなことが起きるとは、夢にも思わなかったのだろうか。負の連鎖が起きるわずか1週間前の上海市内の証券取引所は、お弁当を持参したお年寄りたちが株の売買に興じていた。「私はウォーレン・バフェットよりも上手にやれるんだ」現週刊ダイヤモンド 2015/09/05 28「紅い皇帝」の自信と恐れ148兆円が蒸発した上海市場暴落の波紋Henry Horenstein/gettyimages、Pool/gettyimagesPrologue