ブックタイトル週刊ダイヤモンド15年12月5日号

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週刊ダイヤモンド15年12月5日号

特集 暴れる地球 気候変動の脅威森林浴をしたくなったり、星空を見上げたくなったりしますよね。恐らく、誰しもそういうふうに自然に寄り添いたいという気持ちを生まれながらにして備えているのだろうと思います。 農作物の成育にも影響が出始めています。気温や雨量の劇的な変化によって、将来的には果樹や野菜の最適な生産地がガラリと変わってしまうことが予想されています。私たちの食生活が一変してしまうとなると、気候変動が身に迫ったものだと感じられますよね。(この雑誌が店頭に並ぶ)11月30日には、全ての気象関係者が注目する国際会議がパリでスタートします。将来の温暖化対策の枠組みについて議論するCOP21(気候変動枠組み条約第21回締約国会議)です(関連記事については、ースウオッチ9」の気象情報の時間は約4分30秒です。限られた時間でも、日々の天気予報だけではなく、その根底にある気候変動について、もっと踏み込んで伝えていかなければいけないと実感するようになりました。四季が消滅失われる桜や紅葉の美しさ 気候変動の影響はそれだけにとどまりません。日本の四季が奪われることが懸念されています。暑い夏と寒い冬が長くなり、春と秋が短くなるというのです。桜や紅葉の時期が大きくずれ込むことで、本来の美しさが失われてしまうのは悲しいことですよね。 東京で暮らしていると、週末に36㌻参照)。パリではとても痛ましい事件が起こってしまいましたが、それでも各国の首脳級が参加を表明していることから、この会議の重要性が分かっていただけると思います。 京都議定書で温室効果ガスの削減が義務化されたあたりから、どうも日本人の間では、「気候変動は、何かを我慢しなければならないつらいものだ」「エネルギーを節約しなければならない」という印象が強まったように感じています。 欧州の学校では、気候変動はすでにあるものだと受け止めて、「じゃあCO2を減らすにはどうすればいい?」といった課題を授業に取り入れてゲーム感覚で楽しんでいたりするのです。日本でもそうした意識チェンジが必要な時に来ているのではないでしょうか。験したことのない規模の自然災害でした。もちろん、事前にある程度の予報はそれなりにできるのです。でも、現実は、その予報で想定したレベルをはるかに超えたりするものです。 その一例が、2014年の関東甲信地方の大雪。山梨県では積雪1㍍を超える大雪となりました。日本列島の南岸を発達しながら東へ進んでいく「南岸低気圧」は、雨を降らせるのか、雪を降らせるのかの判断が難しいケースになります。地球温暖化によって、ただ暑くなるとか、雨が増えるといった現象だけではなくて、大雪など冬も極端な現象が増えることが予想されます。そのときの大雪の理由は一つではありませんが、こうした極端な現象の背景には、気候変動の影響があるのだろうと思います。 いくらスーパーコンピュータを駆使して緻密なシミュレーションをしたとしても、過去の経験値だけでは計算できないことが、現実には起こっているのです。 NHKの夜のニュース番組「ニュ午後5時、番組スタッフが集合し進行の段取りを入念に打ち合わせ。表情は真剣そのもの手離せないもの。気象情報の持ち時間は4分30秒。本番前に時間を計ってリハーサルいだ・ひろこ/筑波大学自然学類化学科宇宙化学研究室卒業後、製薬会社勤務を経て、NHK静岡放送局などでキャスターを務める。この間に猛勉強して気象予報士の資格を取得した。趣味は料理とマラソン、ヨガ。29 週刊ダイヤモンド 2015/12/05Photo by Kazutoshi Sumitomo