ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月6日号

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概要

週刊ダイヤモンド16年2月6日号

特集 儲かる農業──昨秋、政府与党の農政を取りまとめる自民党農林部会長に就任しました。農政にどんな課題を感じ、何から着手しているのですか。 僕がまず言っておきたいのは、農業ほど伸びしろのある産業はないということ。すでに高付加価値化が進む製造業においては、数パーセント生産性を上げるだけでも苦労する。でも、農業では当たり前のことができていないから、やればどんどん生産性が上がるはず。農業の成長産業化──儲かる農業への転換は必ずできます。 ただし、そのためには発想の転換が必要。旧来型の「アグリカルチャー(農業)」と「アグリビジネス(農業生産のみならず、周辺の流通・消費などを含めた農業関連産業)」が互いに相乗効果を発揮できる環境が要るのです。 今までは、アグリカルチャーがとても強く、おまけ程度にアグリビジネスがある、という状態だった。そして、アグリカルチャーに属する人たちは、アグリビジネスが文化を破壊する敵だと思っている。民間資本が農業分野へ参入することを警戒するのも、同様のアレルギーがあるからです。 でも、僕の発想はそうじゃない。 歌舞伎を見てほしい。伝統芸能の世界では、(人気漫画の)「ワンピース」を題材にした歌舞伎公演を行って、新たなファンを開拓している。ビジネスとして成功させることで、真に残すべきカルチャーを守ろうとしています。農業も同じ。カルチャーとビジネスは敵味方ではない。両方が共存できる新しい農業を確立したい。──政府や自民党、農業団体が農家に補助金をばらまき、日本の農業の競争力を低下させてきた事実は否めません。政治から率先して改革するつもりはあるのですか。 もちろん政治から変えるのです。経済誌の「週刊ダイヤモンド」のインタビューなので、あえて触れますが、残念ながら、護送船団方式というものが、農業の世界にもある。それを変えなければならない。農業が抱える構造問題を生産者に押し付けることはあってはならない。政治も行政も農業団体も、そして産業界も、脆弱な農業をつくってきた責任があるのです。 今秋までにまとめる「骨太方針」では、生産者の自助努力では解決できないことに政治が乗り出す覚悟を示します。──TPP(環太平洋経済連携協定)の基本合意後に示されたのは、3000億円規模の補正予算でした。補助金のばらまきは温存されているのでは。 農業は経済合理性だけでは成り立たないし、世界でも農業を保護しない国などない。だが、保護政策ありきの農業ではいけない。 補正で予算を積み増したものに、畜産クラスター事業がある。この事業の趣旨は地域の収益を上げることにあるが、そうはなっていなかった。ある若手農家に聞いた話です。あまりにも人気のある事業で農家が殺到し、最後に予算が足りなくなってくじ引きで決めたというんです。これじゃダメだと。投資計画の事業性を評価して採択していない。今回から、農業団体を通さずに、採択までのプロセスに都道府県をしっかり絡ませるように運用を変えました。 TPPは、終わりではなく始ままずは政治からチェンジ補助金漬け農政とは決別する1P29出所:○○○○○○2016-02/06号 P029,031,033 1特_儲かる農業_Part0カーバー>担い手農家Ver.2013リニューアル イラストレーターCS5 オーバープリント済み ナカタ日本農業の厳しい現実農家数5年で2割減2015年の主業農家(兼業していても農業所得が主)は29万3000戸で5年前から6万7000戸減った平均年齢66.3歳農家の平均年齢は66.3歳。70歳以上になると急激に離農が増える。大離農時代が目前経営規模は米国の70分の1。農水省は全農地の8割を担い手農家に集約しようとしている農業収入は少ないが、そこに年金を中心とした農業以外の収入(平均146万円)が加わる補助金依存度コメ農家収入の18%農業所得(経営体当たり) 119万円平均農地面積(経営体当たり) 2.5ha15年はコメ農家の農業所得は前年比49%減。コメへの補助金半減と米価の低迷のため儲かる農業への転換が至上命題29 週刊ダイヤモンド 2016/02/06