ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月20日号

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週刊ダイヤモンド16年2月20日号

Special Feature 社は今でも大好きですよ。愛着はあります。ただあの状況では、誰かが人柱にならなければ会社は持たなかったでしょうから」 そう言って唇をかんだ田村幸一さん(仮名・51歳)は、昨年9月末、シャープを希望退職した。 その3カ月前。勤務していた奈良事業所(奈良県大和郡山市)の会議室に、45歳以上の社員たちが集められ、希望退職の説明を受けた。社内では傍流の部署で開発業務に携わっていたこともあって、うすうすは感じていたものの、いざ自分が対象となるとやはりショックだった。 帰り道、何も考えられず、気付けば最寄り駅を乗り過ごしていた。どうにか自宅に戻り、妻に告げた。「会社の希望退職に応募しようと思うんだ」 この先の生活はどうするのかと詰問されるかと構えたが、意外にも妻からは「あなたがそう決めたのだったら、反対しないわ」と言われ、肩の荷が下りた気がした。 普段は気にも留めない、ダイニングに置いた冷蔵庫や電子レンジにある「SHARP」のロゴが、なぜか霞んで見えた。 翌月、所属長との面談で開口一番、希望退職に応募することを伝えた。他の社員とも面談を繰り返し、疲れ切った様子だった所属長は、「分かりました」と答え、深々と頭を下げた。その姿を見て、「これでよかったのだ」と自分に言い聞かせた。 退職金は24カ月分の特別加算金が付いて2000万円超。当面の生活費には困らないが、大学卒業後、30年近くシャープに勤めてきた自分が辞めた後に何が残るのか、よく分からなかった。 その後、会社側は再就職の支援として、人材サービス2社を紹介してきた。 そのうちの1社は、担当者が説明会にすら顔を見せず、案内のパンフレットが置いてあるだけ。そ「会奈良労働局が2月に開催した就職面接会。元シャープ社員の姿も数多くみられた大企業に就職したものの、約束されていたはずの終身雇用は崩壊。年金受給は遠ざかり、社会保障費の負担だけは増える。そうした苦難を抱え込む不遇の50代の今を探った。崖っぷちに立たされた50代JIJI週刊ダイヤモンド 2016/02/20 32