ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年5月21日号

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週刊ダイヤモンド16年5月21日号

特集 背徳のシャープ正直分からないんですよね」。グラスを傾けながら、そう語った50代の管理職の顔は疲れ切っていた。 いまだに光明が見えないシャープは、液晶パネルなどの販売不振に加え、ホンハイに言われるがまま在庫の大幅処理を進めたことで、2016年3月期は最終赤字が3000億円を超え、連結ベースでは一時的に債務超過に陥った可能性がある。ホンハイがまたぞろ出資をほごにする理由にしかねないネタを与えてしまっている。 ここまで一方的に振り回されるのは、髙橋社長がかたくなに法的整理というカードを持とうとしな誰も受け止めなかった。 それもそのはずだ。4月2日の買収契約調印以降、郭会長をはじめホンハイチームは、大阪市の本社にたびたび乗り込んでは、「追加で2000人の人員削減が必要だ」と、強く経営陣に迫っていたからである。「従業員の雇用維持」という文言が契約書にある以上、出資前に、あくまで現経営陣が自ら判断し、実行したことにしろと言っているに等しかった。 郭会長の要求はそれだけではない。「夏までに、本社を堺工場に移転したらどうか」「液晶関連の契約は今後、(ホンハイ傘下の)群創光電(イノラックス)を通してほしい」など、無理難題を次々と押し付けている。若手が次々辞めていく「まるで戦後の日本やな」 進駐軍のようなホンハイの振る舞いを目の当たりにして、シャープでは若手を中心に人材の流出に歯止めがかからない。「苦しいけど、何とかみんなでがんばろう」。そう声を掛けてくれていた役員もとうにいなくなり、「精神的支柱というか、心のよりどころになるような人がいない。誰を信じて付いていけばいいのか、かったことも影響している。 実際に会社更生法の申請となれば、「大企業を倒産させた男」という烙印を押されることは避けられない。だが、時にカードをちらつかせることで、首根っこを押さえ付けているホンハイや銀行に対し、自分たちの要求を通すこともできたはずだった。「(法的整理で)迷惑を掛けることになる取引先の人たちの顔が、どうしても浮かぶんだ」。髙橋社長はそう心情を吐露するが、そのせいで首を切られる社員には思いが至らず、また新たな爆弾を抱え込もうとしている。状態が続いている。あの会社は人を引き抜いて、シャープをつぶそうとでもしているのか!」と批判を始めたのだ。 折しもその2日前、日本電産はシャープの大西徹夫元副社長が顧問に就くという人事を発表している。シャープの元社長で、現在日本電産の副会長を務める山幹雄氏が、優秀な人材を集めようと強力に裏で糸を引いていることが気に食わなかったわけだ。 ただ、この郭会長の発言を、人材の流出を何としても食い止めようという思いから出たものとは、もう辞めるという若手を引き留める人がいないのは歯がゆい。ホンハイの支援が決まっても、若手の人材流出は止まっていない。ホンハイや経営側から「もう大丈夫」というメッセージすらなく、支援が決まってひとまず安心という空気はみじんもない。(40代、管理)若手が櫛の歯が欠けるように辞めていく電子デバイスや液晶は、利益を出してもなぜか胴元(本社)に吸い取られ、表面上は利益が出ていないなどと整理されることが多々あった。どこかの地下労働者じゃあるまいし。ホンハイが変えてほしい。(50代、電子デバイス管理) 本社が利益を吸い取る意味不明な内部調整がなくなればよい虎の子のIG Z O 技術も今やアドバンテージはない。有機ELも2018年の量産開始が可能と思っている技術者はいない。韓国勢に追い付くのは相当厳しい。(40代OB、元液晶技術)この1 年間でシャープの液晶技術の開発スピードはかなり鈍っている31 週刊ダイヤモンド 2016/05/21