ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年7月9日号

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週刊ダイヤモンド16年7月9日号

特集落語にハマる!公にはなれない。むしろ、「ドラえもん」ののび太くんのように、失敗ばかりする等身大の人物が主役としてスポットライトを浴びる。落語の世界では誰もが平等で、与太郎や粗忽者(そそっかしい人)、泥棒さんまでもが堂々と主人公になる。失敗したからといって村八分にされることもなく、長屋の連中にゲラゲラ笑いとばされて、「失敗もまあ面白かったから良しとしよう」と収めてしまう。 落語は、人間なんてそもそもそういうものなんだから、と「人間の業」を肯定してくれる。落語ネタに登場する、どうしようもない主人公たちに強く思いをはせてしまうのはそのためだ。実際に、落語ネタには人間の欲求に忠実な、いわゆる三道楽「(お酒を)飲む、(ばくちを)打つ、(女を)買う」に関わるネタが多い。そして、多くの主人公たちが誘惑に負けて意志の弱さを存分に発揮している。 これが、ハリウッド映画に出てくるようなヒーローやヒロインだったなら、こんな風にはならない。憧れこそあれども、「でも自分はそうはなれないよな」と距離を置いてしまうからだ。とても落語のようには共感できない。 笑点がスタートしてから半世紀。高度経済成長期からバブル、バブル崩壊、そしてグローバル経済の混迷期に突入した。 そんな時代に、なぜ今、人々が落語に引き付けられるのか││。落語は、経済合理性から遠く離れて、グローバル化に背を向け、失われつつある日本の良さ、日本人らしさを体現してきた。こうした落語の持つ定常的価値観を、人々が渇望していたのかもしれない。 落語の魅力とは、欧米の価値観に対するアンチテーゼであり、それに塗りつぶされようとしている現状への反発でもある。今のスター落語家が台頭柳家喬太郎・桃月庵白酒・柳家三三が真打昇進、春風亭一之輔が入門2000年代●非正規雇用の増加●拓銀・山一證券の破綻●長銀の破綻●日産ゴーンの人員削減●古今亭志ん朝③の死去●柳家小さん⑤の死去●六人の会の結成●SWAの結成●ソニーショック●大銀座落語祭●「タイガー&ドラゴン」放送●林家正藏⑨の襲名●5代目司会者に桂歌丸●「ちりとてちん」放送●らくごカフェオープン●リーマンショック●三遊亭圓楽⑤の死去●失業率が過去最悪の5・7%●「昭和元禄落語心中」の連載開始●立川談志⑦の死去●東日本大震災●アベノミクス推進●6代目司会者に春風亭昇太、新メンバーに林家三平②16 12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 99 98 97 94平成ブームの始まり*丸囲み数字は代数を表す。?は落語ブームのバロメーター。■字は笑点、■字は落語、■字は経済関係の出来事29 週刊ダイヤモンド 2016/07/092016年前列左から林家木久扇、桂歌丸、春風亭昇太、三遊亭好楽後列左から林家三平②、三遊亭圓楽⑥、三遊亭小遊三、林家たい平、山田隆夫(丸囲み数字は代数を表す)50周年「笑点」に見る 写真提供:日本テレビ