ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年9月10日号

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週刊ダイヤモンド16年9月10日号

特集「不敗」のビジネス書 孫子れているのではないかというのだ。 バブル崩壊後、日本が「失われた20年」といわれる時代の真っただ中にあった2000年代、日本でブームとなったのは『論語』だった。経済も社会も沈滞し、誰もが生き方に迷っていた時代だからこそ、「心の健康」を保つために論語が読まれたのだろう。 ただ、競争が激しい時代に孫子が読まれているのは、「勝つ」ためのノウハウが詰まっているからではない。孫子は兵法書でありながら、最上の策は「非戦」だと言い切る。いったん戦えば、多かれ少なかれ人も組織も疲弊する。それ故にまず、戦うべきかどうかを考えよと説いているのだ。 一般的な戦略論はいかに勝つべきかが主眼となるが、孫子は「不敗」の戦略で貫かれている。勝てない戦いはするな。もし戦うなら犠牲は最小限にせよ。当たり前だがなかなかできないことを、孫子はずばり指摘するのである。 もう一つ、孫子で注目すべきものが緻密な観察眼である。原理原則を大所高所から述べるのではなく、人間観察によるミクロの視点が厚みを与えている。それが孫子に普遍性をもたらしているのだ。 孫子はまさに〝知恵の宝庫〟なのである。29 週刊ダイヤモンド 2016/09/10cMASAHARU UEMURA/SEBUN PHOTO /amanaimages