ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年2月11日号

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週刊ダイヤモンド17年2月11日号

Special Feature りがいの搾取〟だ──。新卒で大手損害保険会社の子会社に入社した20代男性はそう不条理を叫ぶ。 同じグループ企業で働くも月給は親会社の約7割、賞与は半分以下。親会社から出向中の社員と机を並べてほとんど同じ仕事をしているが、出向者は親会社の給与体系に基づく高待遇を享受する。子会社の社員(プロパー)が報われることはない。 そんなとき、親会社の人々が待遇格差の隠れみのとして持ち出すぶ立場を任され、これは一見、出世の早道で〝名誉なこと〟にも映るが、給料は一切上がらない。 子会社幹部は親会社からの出向者で占められ「ガラスの天井」が見えている。一方で責任とそれに伴う業務負担が増えても、待遇には全く反映されない。この子会社では構造的に、出世するメリットが見いだせない。だから入社後3年で半数の人が辞めていく。 現場の不満を尋ねれば、子会社族の多くはせきを切ったように、こうした不幸な実態を口にする。 周囲と数年違いで就職氷河期に直面し、早慶レベルでも大企業に内定できずに、子会社行きを余儀なくされた学生も珍しくない。 そんな一群を生み出す子会社の基本的な定義は左ページ図の通りだ。ある会社(親会社)が議決権のある他社の株式の過半数(50%果ては心理的な領域に至るまで、あらゆる面で子会社は親会社の下に位置付けられる存在──。そんな実態が半ば〝常識〟として、日本社会ではまかり通ってきた。 冒頭の男性の会社は、約10年前に現在の親会社に買収、子会社化された。「選択と集中」の名の下、取引額の大きい法人顧客の〝お得意様〟を次々に親会社に奪われていき、今や「親玉に上流の金山を献上して、下流で砂金集めをやらされているような状態」という。 親会社からの〝天下り〟役員は子会社を見下し、本社側の方法論を押し付けがち。一方でお上の親会社の意向をうかがうばかり、という「ヒラメ出向者」で溢れる。 ある大手航空会社の子会社に勤めていた20代女性は「ステップアップの無理強いがあった」と訴える。若くして「現場責任者」と呼のは「仕事のやりがい」という殺し文句だ。「子会社は現場の最前線を担う重要な存在」とうそぶき、士気を保とうとする。だが、待遇が改善されることはない。 いろいろな働き方がある中、今日では非正規労働者の格差問題に世間の目が向いている。だが、前述のような歴然とした待遇格差があり、不遇をかこちながら全く日の目を見てこなかった人々がいる。その一群こそが「子会社族」だ。 毎月の給料だけではない。年金から退職金、福利厚生や社内教育、“や週刊ダイヤモンド 2017/02/11 30見過ごされてきた格差問題闇を生きた子会社族の憂鬱親会社に意思決定機関を支配されている子会社。ここに内在する禁断の格差問題に、誰も向き合おうとしてこなかった。そんな闇を生きてきた子会社族のリアルな姿を白日の下に晒す。最後の身分差別!“子会社族”の叫び世の中にはさまざまな働き方があり、時にそのことから生じる弊害が問題視されてきた。しかし、これまで一切スポットライトが当てられてこなかった人たちがいる。“子会社族”だ。1Part yuoak/gettyimages