ブックタイトル週刊ダイヤモンド17年2月11日号

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週刊ダイヤモンド17年2月11日号

特集子会社「族」のリアルした。だが、そのうち片方がある日突然、他社に吸収されてしまい、ただでさえ小さな会社で社内キャリアの芽が摘まれてしまった形だ。 子会社という存在が、なぜ世間から置き去りにされてきたのか。作家の橘玲氏は、大手メディアに同様の問題が内在していることも理由の一つに挙がると指摘する。 1年ほど前、ある大手新聞社の子会社の記者だった男性は、安倍首相が施政方針演説で「同一労働同一賃金の実現を目指す」と表明したとの記事を執筆していた。 これはあくまで、非正規労働者の待遇改善を指した政府方針だったが、男性は記事を書きながらふと思った。「同一労働同一賃金って、正社員に適用して考えると、うちの会社は全く当てはまらないな」。 基本給の格差に加え、長時間労働の多い親会社の社員には残業代による上乗せ支給も多かった。一方、男性の働く子会社は裁量労働制。残業代は基本的に付かない仕組みだ。企業年金や退職金などにも大きな差があり、生涯収入で見れば1億円の宝くじが当たっても追い付けない──。そんな、過酷な現実に直面した。 親会社での入社組は、これまでの話を特に「関係ない」と思われるかもしれない。だが、そんな人 千葉県在住のある30代女性は、以前勤務していた子会社で会社分割が行われ、望んでいた仕事の一部門が切り離されてしまった。 三菱商事傘下の人事系子会社に新卒で入社して数年後。人材開発とコンサルティングの二大部門のうち、所属と別のコンサル部門が会社分割で切り離され、他の企業との共同出資会社に統合した。 女性はもともと、社内の両部門を幅広く経験しながら、人事関連のスキルを磨きたいと思って入社親会社の方針一つで、会社の器そのものが変わる可能性すらある。 住友商事傘下のSCSKは、2011年に住商情報システムがCSKと合併してできた会社だ。住商情報システムに新卒で入ったある20代男性は、入社後間もなく合併を経験。CSK側に合わせて月給が数万円下がる憂き目に遭った。 企業再編の俎上に載りやすい子会社は、こうした待遇改悪だけでなく、仕事の一部が突如〝消滅〟する恐れとも隣り合わせだ。超)を保有する場合、この株を握られている方が子会社と位置付けられる。 50%以下でも、「実質的な支配」の関係にあれば子会社となり、さらに傘下で同様の関係にあれば親会社から見て孫会社。議決権20~50%なら関連会社で、これらを総称してグループ企業と呼ぶ。 サラリーマンなら誰もが関係し得る、子会社という存在。身近にありながら、実はその全貌をつかめる統計などはほとんどない。 その中で比較的網羅性が高そうな経済産業省の「企業活動基本調査」によれば、従業員50人以上、資本金3000万円以上の製造業を中心とした日本企業(金融・建設業など除く)で見た場合、国内の子会社数は約5万社に上る。子会社といっても規模はさまざまだが、仮に中小企業と定義される1社当たりの従業員数300人以下(業種による)から推定すると、関係者は1000万人規模になる可能性もあり、裾野は極めて広い。禁断の絶対格差残酷物語の数々合併で減給の悲哀 そんな子会社という名の砂上の楼閣は、待遇で劣るのみならず、親会社と子会社、グループ企業の関係性孫会社持ち分法適用会社会計上の扱い関連会社親会社連結子会社会計上の扱い子会社グループ企業意思決定機関を支配ガチガチの支配構造議決権20~50%の場合(または議決権15%以上で実質的な支配下に置いている場合)議決権のある株式の過半数(50%超)を保有している場合さらに支配下にある場合50%以下でも営業方針の決定権、役員の派遣状況、資金面などで「実質的に支配」している場合31 週刊ダイヤモンド 2017/02/11